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夢恋城へ…ようこそ…

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海の彼方から…王子×ショコラティエ part.30

それは数時間前のこと…

15分後に城に着くとジャンはジェシカから連絡を貰い、急いで書類を片付け始めた

「真鈴様が御帰城なさいます」

「ああ…わかった」

ジャンの言葉にジョシュアも軽く片付けると立ち上がる

「今日のディナーは…」

言いかけてジョシュアは口を閉じた

メニューなど聞いてどうする…真鈴が一緒に食事をしないのに味も何もない

すべてが空虚だ

一緒に食べ、飲み、話をして笑いあえた事がいかに重要だったか

それがない今…味覚も感じなくなってしまった

食べる行為が栄養を取る為の行為でしかない

あの日以来…真鈴から笑顔が消え、2人の間にクレパスのような大きな溝ができてしまった

遠い異国に出張していた時、真鈴からお腹の子供の心音が聞こえなくなったと泣きながら電話をもらった…

すぐに帰ると言ったものの悪天候で飛行機が飛ばないと言う

嵐に強い軍用機を出せとジャンに怒鳴った

無理です!と叫んだジャンの目にも涙が光っていた

聞きつけたキースがリバティの軍用機を差し向けると言ってくれたが、国交を結んだばかりの国に世界一の軍事国家リバティの軍用機をドレスヴァンの為に入れる訳にはいかない

結局…嵐が治まるまで帰国できず

3日後、帰国した時には全てが終わっていた

お腹の子の死を1人で受け止め

1人で決断し、

1人で手術室に向かった真鈴

たった1人で初めての我が子を弔った

全てを気丈に行った彼女はジョシュアが帰国した時、脱け殻のようになっていた

それでも彼女は大丈夫だとジョシュアに気を使った

翌日から公務も再開していた

まるで何事もなかったように振る舞おうとした

ジョシュアは自身の公務を、そして真鈴の公務を全てキャンセルさせた

今は…向かい合って傷口を癒さなくてはいけない

真鈴を治せるのは自分だけ

ジョシュアのその強い思いは逆に重荷になってしまった

ジョシュアに普通に振る舞おうとすればするほど真鈴の体は変調をきたし

気付いたらチョコレート以外は何も受け付けられなくなっていた

何を食べても吐いてしまう

チョコレートだけがなぜか大丈夫だった

けれどそれも機械的に口にするだけだ

そんな中で

日本の家族から送られてきたレ・クランのチョコレートだけは美味しいと少し微笑んで口にした

ジョシュアはジャンに命じてレ・クランのショコラティエを呼び寄せた

チョコレートなんてどれも同じだと高をくくっていたのだが…

彼女が初めて微笑んだ

オーナーと顔見知りだったらしく、昔話に花が咲いておいででしたよとジャンの報告を受けて

いつもならヤキモチの1つでも妬くジョシュアがただただほっと安堵の息を吐いたのだ

その夜、ジョシュアの元にジャンがレ・クランのショコラとワインを持ってきた

「チョコレートとワインか?」

「ショコラとワインでございます」

言い直すジャンにジョシュアも微妙に言い返る

「…ショコラな」

「ショコラでございます」

にっこり執事スマイルで答える

そしてテーブルの上にショコラとワインを置いた

1口かじってみる

甘いというよりほろ苦い

また、他のショコラはピリッとした刺激があった

「ブラックペッパーだそうです」

「チョコ…いやショコラに胡椒か」

「はい。私も近くで見ていてビックリ致しました」

ジャンは興味本位で見ていた訳ではない

王家が口にする物をいきなり来た他国の人間に任せっきりにするわけもなく…

出迎えに行き、親しくなったジャンがさり気なくずっと監視していたのだ

「…美味いな」

「ショコラティエ達にお伝え致します」

「ああ…」

ジョシュアが3つ目のショコラに手をした時

コンコン…とノックがした

ジャンはゆっくりとワインをジョシュアについでから扉に向かった

彼にとってジョシュア以上に優先すべきものはない

そんなジャンも扉を開けてびっくりした

慌てて頭を下げる

「真鈴様…っ」

「真鈴だと?」

ジャンの声にワインを口にしていたジョシュアが思わず立ち上がった

彼女と部屋を別々にして何日が過ぎたか

自分といることが負担になるからと別々の部屋にする苦渋の選択をしたのだ

彼女から訪ねて来るとは…

「ジョシュア…」

「ああ…」

なんと答えていいのか

考えすぎて分からない

真鈴は困惑気味のジョシュアの元に歩み寄る

「レ・クランのショコラ食べてくれた?」

「ああ…美味いと思った」

「よかった…ジャンさん、私もグラスもらっていい?ジョシュアと一緒にショコラで飲みたいの」

「あっ!はいっ!かしこまりましたっ!」

ジャンは急いでグラスを用意した

「飲める…のか?」

いや、俺と一緒でいいのか?

聞きたい気持ちを抑えてジョシュアはソファに真鈴を導いた

「美味しいものは貴方と一緒に食べたいもの」

「そうか…」

ジョシュアの顔にようやく笑顔が浮かんだ

ジャンは2人にワインをつぐとそっと席を外した

その後、厨房に真鈴からの要望だとローストビーフの注文が入り、わっと歓声が湧いたのだった

それが昨日の事で

今日、真鈴はジェシカと共に久しぶりに外出したのだ



ジョシュアはジャンと玄関ホールへと向かった

王子であるジョシュアがプリンセスを迎えに行く事は無いのだが、待っていられなかった

「ただいま帰りました」

車から降りた真鈴は真っ直ぐにジョシュアの元に向かった

「疲れていないか?」

ジョシュアはそっと肩に手を置いた

「はい。メロンも順調に育ってましたよ」

そう微笑む顔に無理は見えなかった

「久しぶりにいっぱい歩いたからお腹空いちゃいました。ジャンさん、今日はなぁに?」

真鈴の言葉にジョシュアもジャンも絶句した

「食べれる…のか?」

「お腹すきましたもの」

「そうか!ジャン!真鈴の食べたいものを作らせろ!今日の予定の料理はみんな変更しても構わん!」

「はいっ!」

ジャンの声が大きく響いた




そして……

「華恋!」

ジョシュアは一吹と華恋のいる部屋に入るなり華恋を抱きしめた

「なななな…っ!何ですか!?」

パニクる華恋にジョシュアは満面の笑みで体を離した

「ジェシカに聞いたぞ!お前は凄いな!」

ジョシュアが言えば言うほど華恋の目は何度もまばたきを繰り返したのだった



~つづく~

Category - 王子×ショコラティエコラボ

2 Comments

chika  

そうなんです(笑)ジョシュアがヤキモチ妬かないなんて、キースがリュークを褒め称えるぐらい珍しいことよー

2014/07/29 (Tue) 08:44 | REPLY |   

はやみん  

ジョシュア様がどれだけ嬉しかったのかがよくわかりました(T-T)
一吹さんに嫉妬する事がないなんて(゜ロ゜)

2014/07/28 (Mon) 22:25 | REPLY |   

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