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海の彼方から…王子×ショコラティエ part.38

一吹さんが微笑みながらも固まっているのが遠目でもわかった

「それでね、彼女は僕との初めてのバレンタインデーだからとケーキを作ってくれたんだよ。僕の大好きな薔薇を一杯飾り付けてね」

エドワード王子は嬉しそうに一吹さんに話し続けている

「彼女が一生懸命作ってくれたんだよ!それは天使が分け与えてくれたアンブロシアのようでね」

「アンブロシア…ああ、ギリシャ神話の神々が召し上がる食べ物ですね」

「そう!まるでレイラが作ってくれたケーキはそれぐらい神々しかったんだよ」

…そうなの

神々しいケーキってどんなのだろう

っていうか、話を合わせられる一吹さんって…

「だから誰にもあげたくなくて独り占めして食べたんだ。3段あったんだけど…」

「3段…っ お一人で?」

ウエディングケーキじゃん!

それを1人で召し上がったの!

愛だわ…

エドワード王子の愛ってある意味広くて深い…かも

「それで僕もお返しをしたかったから同じようにケーキを作ろうと思ったんだけど…」

パティシエに作らせればって思うのは庶民の意見でしょうか…

「どうやら僕には指先から生み出す芸術の才能がないみたいなんだ」

要はぶきっちょさんって事よね…

「か、か、華恋…つっこみたくてもここはじっと我慢するのよ…」

ジェシカさんが震える肩を押さえながら小声で囁く

「慣れって怖いな…日常会話にしか聞こえない…笑えない…」

ウィル王子の呟きすら笑えてしまいそうになる

「5段のケーキを装飾する技術を神様は僕に与えてくれなかったんだ」

「5段…」

さすがに一吹さんは笑わずに対峙している

いや、笑えないんだろう

エドワード王子は至って真面目に話しているのだから…

「あれは普段から本心を隠して生きているね…違う?」

ギクッと肩が震えた

そうか…一吹さんは王子様の前だから我慢しているんだと思っていたけれど

違うんだ

普通なら笑ってしまうような事も一吹さんは本心に蓋をして笑顔でいることが出来てしまうから平然と対応出来ているんだ

…悲しい習性

ウィル王子はそれを見抜いた

「俺もそうだったから…」

ウィル王子はちょっと寂しそうに微笑んだ

「でも、今は大丈夫…愛する彼女がいるから」

ウィル王子が言うとジェシカさんが小さく頷いた

「何とかしなきゃ~とか、支えてあげなきゃ~なんて気負う必要なんてないの。ずっとそばで笑顔でいてあげれば堅い殻も緩んでくるものよ」

いささか天然気味でもいいのよってジェシカさんが言うと一瞬ウィル王子が睨んだ気がした

一吹さんは私といることで笑顔の鉄仮面を外してくれつつあるのかな

そして私は一吹さんといることで令嬢の黒い影を消していけるのかな

私はエドワード王子と談笑する一吹さんをじっと見つめた


~つづく~

Category - 王子×ショコラティエコラボ

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