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海の彼方から…王子×ショコラティエ part.52

「いっちのせちゃ~ん!ちょっと休憩し…ボフッ!」

私がドアに向かって思い切りクッションを投げたと同時に、タイミング悪く潤君が扉を開けた

あっと思った時にはまともに潤君の顔面にクッションが直撃していた

「ご、ごめんっ!潤君大丈夫?!」

「ら、らいりょうふ…」

真正面からクッション受けながら、潤君は片手でトレイを器用にバランスを取って持っていた

トレイの上には小さなポットとケーキが乗っている

差し入れを持って来てくれたんだね

「煮詰まってんの?イライラしてるなら尚更甘いものを食べなよ!」

…優しいなぁ潤君…

うるっときてしまう

「なになになに~!って鈴木奈々じゃないけど、なにぃ~?」

わざとおどけながら潤君は私の隣に座ってパソコンの横にトレイを置いた

そしてちらっとパソコンの画面を見て顔をしかめた

「あじゃ…見ちゃった?これ」

「潤君知ってたの?」

「うん…日本に帰って来てすぐに見つけたよ」

「じゃあ一吹さんは…」

「もちろん仁兄もみっちゃんも知ってる」

じゃあ、知らなかったのは私だけ?

教えられなかった疎外感と、きっと気を使ってくれたんだって気持ちがシーソーのように揺れ動く

「こんなの芸能人と一緒でさ、全く知らない情報通とか旧知の友人とかボウフラみたいに湧いてくるのさ」

潤君は軽く笑いながらマグカップに紅茶を入れてくれる

わかってるんだけど…

でも一吹さんも私も芸能人じゃないし!

「う~ん…有名な行列のできるラーメン屋とか予約の取れないイタリアンレストランとかのシェフと同じ扱いっぽくなってきちゃってるかもね」

一吹さんがテレビに出たり、仁さんがJCCで優勝したりと立て続けに目立ったから世間から注目を浴びすぎた

だからといって…これは…

「酷いよね!まじムカつくよ!」

潤君はよいしょっと私の横に腰を下ろした

「だってこの《アルバイトの女性》は、たらしの長男を手玉に取って、次男三男にも色香を使い…って!じゃあ四男は?!」

え?

「すっかり俺だけ数に入ってないじゃん!俺だってこんなに一ノ瀬ちゃんの事大好きなのにさ!忘れるなっつーの!」

…そこ?

「そこ大事でしょ!男としての股間…じゃなくて沽券に関わるっしょ!」

…ぷっ!

思わず吹き出しちゃった

「やっと笑った!」

潤君はそう言うと急にハッと目を見開いて後ろを振り返った

そこには扉に背を預けた一吹さんが腕組みをして苦笑しながら立っていた

「一吹兄!気配消して後ろに立たないでよ!」

「どさくさに紛れて人の婚約者を口説くんじゃないよ」

「口説いてないよ~コクっただけさ」

「十分だろ…はい、交代」

「ちぇ…今から一杯ハグして慰めちゃおうって思ったのになぁ」

「10年早いよ」

「10年!?28までお預け?!勘弁してよぉ!」

ぶつぶつ言いながら潤君は部屋を出て行った

優しい子…

笑ったら涙も怒りも止まった

「身近にライバルがいすぎだよ…気が気じゃない」

バタンと扉をゆっくりと閉めると一吹さんは小さく溜め息をつきながら私をすっぽり腕の中に包み込んだ


~つづく~

Category - 王子×ショコラティエコラボ

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