FC2ブログ

Welcome to my blog

夢恋城へ…ようこそ…

Article page

海の彼方から…王子×ショコラティエ part.55

一吹さんとM.O.Fホテルのそばまで車で乗り付けた

途中までだったのは工事による交通規制が引かれて通行止めになっていたからだ

後は歩いてホテルの近くまで行ってみる

そこは…



瓦礫の山だった



重厚な歴史あるホテルの面影は全くなかった

潤君が見た鉄球はもうなかったけれど、大きな蟹バサミのような爪をした重機がギリギリ建物であった形にトドメを刺すようにざっくりと轟音をたてながら破壊していく

「どういう事だ…?」

一吹さんの呟きは、その近辺にいた人達と同じだった

「私…今日蝦蟹ビッフェ予約してたのよ!」

「今夜泊まるはずなのに…」

切羽詰まったような、

ううん

通り越して唖然としている人達

それは一般の人達だけでなく…

「聞いてないぞ!今朝まで通常営業だったじゃないか!」

「いきなり取り壊しって有り得ない…」

おそらくM.O.Fホテルの従業員だろう

ホテルマンやコックさんの姿のまま立ち尽くし、ある人は地面に崩れ落ちていた

「あ…!」

いきなり1人の男性が一吹さんを見て駆け寄って来た

「あんたか?!あんたがやったのか!!」

「えっ…」

詰め寄られた一吹さんは目を白黒させる

相手の男性の目は血走っていた

「レ・クランの悪口を流したからその腹いせか?!」

「腹いせ…?」

一吹さんは唖然として詰め寄ってくる男性を見下ろしている

「俺は…っ!俺はお嬢に命令されてやっただけだ!仕返しならお嬢にしろよ!俺は関係ねぇよ!!」

お嬢…

それはあの令嬢の事を言うのだろう

そしてこの目の前の人が令嬢の命令を受けて有りもしないデマをネットに流した人…なんだ

私は咄嗟に鞄に入っていたボイスレコーダーのスイッチを入れた

「お嬢の命令は絶対なんだ!!俺達は逆らえないんだよ!悪気があってやったんじゃないんんだ!!謝るから!ネットで訂正するから!ホテルを返してくれ!」

「そんな…俺達に権限はないですよ」

あるとしたら天罰…

私達ではどうにもできない

ホテルを誰が壊せと言ったのか

誰が命令したのか

私達には全くわからない

ホテルはどうなったのか

令嬢やその親のオーナーはどうしたのか

私達もただ茫然と解体作業を見守るしかできなかった



家に戻ると、仁さんが冷めてしまったポトフを温め直してくれていた

「全く心当たりはないのか?」

「ないよ…あるわけない」

仁さんはテーブルの上にポトフとガーリックピラフを置いた

「従業員の人達が今朝まで通常営業だったって言ってたし…本当に急な事みたいだ」

「現実的な話をするとだな」

仁さんは一吹さんの前に座ってスプーンを手に取った

「昔のバブル時代に立ち退かない住民の家を地上げ屋が勝手に壊していたのとはスケールが違う…民家とホテルじゃ使う重機のランクが違う」

「ああ」

「そこらの連中が腹いせに調達できる代物じゃない」

「うん…」

仁さんの言葉に三斗希君も潤君も黙って頷く

「この都心の大通り沿いで解体するのに無許可じゃ無理だ。しかも数日前に国に申請しなきゃいけないはずだ」

「そうだね…すぐに壊すことなんて日本の法律じゃできないよ」

一吹さんが言うと潤君がすぐにスマホで検索し始めた

「7日前までに申請だって。どれくらいの規模でどれくらいの廃棄物がでるか審査が必要だから」

「それに道路を閉鎖するんだから警察とか道路を管理する所にも言っておかなきゃ…」

三斗希君も潤君のスマホを覗き込んだ

じゃあ、最低でも7日前には解体が決まっていたって言うこと?

でも、従業員の人達は知らなかったし、ビッフェや宿泊の予約を入れていた人達に何の連絡もしていない

突然何かがあったのか計画的だったのか矛盾だらけだ

想像もつかないでいると不意に電話が鳴った

一吹さんがディスプレイを見て目を見張った

「浅葱さん…?」

浅葱グループ社長からの電話みたい…なんだろう



~つづく~

Category - 王子×ショコラティエコラボ

0 Comments

Post a comment