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ヤコフの回遊録~part2~

Category - 番外編
俺とセルゲイはアルタリアから陸路でフィリップへと入国した

「違う国同士が国境の検問もなく列車で繋がっているなんて不思議な感覚だな」

俺の隣に座るセルゲイが眉間に皺を寄せながら窓の外の流れ行く風景を見つめている

車窓は原色の多い華やかなアルタリアから、落ち着いた伝統の国フィリップへと移り変わっていく

「それだけ両国が友好的って事だろう」

俺がそう答えるとセルゲイは未だに腑に落ちないように首を傾げた

それはアルタリアとフィリップだけじゃない

アルタリア→フィリップ→ドレスヴァン→シャルルとノーブル・ミッシェル城を囲んで1周できる

シャルルと海を挟んだ島国リバティは海中トンネルで

フィリップとリバティは海上を巨大な橋で

近くオリエンスとアルタリア

オリエンスとリバティも何らかの陸路が計画されているという

「ふん…金持ちの国はいい気なもんだ」

セルゲイが鼻を鳴らす

「その金持ちの国にシアベルもならないとな」

「お前ならできる。というかお前しかできない。これから何十年もかけてシアベルを豊かにしろ」

「わかってる…いつかこの国々の国王達を俺の前に跪かせてやるさ」

目標は高い方がいい

そう意気込んで、いわゆる敵情視察に来たのだが…

いきなりアルタリアで挫かれた

予想外の能天気さ

いや、それだけ平和が長く続いているということか

平和を長持ちさせる事もシアベルの次期国王としての俺の目標だが…何か違う

「国民性が違うからシアベルの国民はお祭り人間にはならないさ」

そうだろうが…

俺はもっと世界をいろいろ見るべきだと思いながらフィリップへと足を踏み入れた



フィリップの街並みは伝統と近代化が絶妙に混ざり合っていた

最新のスポーツカーが走っているかと思えば、馬に乗った衛兵もいる

ファッションは…

「なんなんだ…これは」

俺は目を見張った

やたら同じ服の奴らがいる

白地に金の刺繍…

王族の衣装っぽく見えなくはないが…妙に安物だ

髪を塗りたくったような金髪にしている奴

ウィッグとあからさまにわかる奴

手作り感満載の衣装や、その姿に段ボールで作ったであろう馬を胴体に通している奴

中には犬までが金髪のウィッグに白い衣装を着せられている

「おそらく、おそらくだが…」

セルゲイが珍しく言いよどみながら周りを見回す

「フィリップのウィル王子の仮装だろう…」

…言葉がない

一庶民がこんなに自国の王子を仮装でちゃかしていいのか?

フィリップはもっと王家に対して尊敬の念を抱かないのか?

「今日は…ウィル王子の王位継承が正式に決まった日を祝う行事のようだ」

セルゲイが近くに貼られたポスターに目を向けた

王位継承記念日…

フィリップ国王はシアベル現国王と違ってまだまだ頑強だ

まだ王位を譲りはしないだろうが次の国王の座を公式に約束をしたわけで

要は俺と同じだ

ただ違うのは…

「シアベルの国民は俺の王位継承をこんなには祝っていない」

宿敵グスタフ一族を元老院と共に退け、俺が正式に次期シアベル国王にと決定した

「当たり前だ。国民はお前にどれだけの力があって、自分達に何をしてくれるのかを知らないからな」

セルゲイはハッキリと言い当てやがる

俺はまだまだ国民に認知されていないんだ

「メディアを使ってアピールする事だな。お前は嫌いだろうが」

「メディアは編集次第で善にも悪にもなる諸刃の剣だ」

「まぁ、せいぜい人受けのいい笑顔の練習をしておくんだな」

ふん…

仏頂面のセルゲイに言われたくねぇよ

そんな悪態をつきながら歩いていると

遠くから数人の悲鳴が聞こえてきた



~フィリップ編 つづく~

Category - 番外編

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