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夢恋城へ…ようこそ…

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海の彼方から…王子×ショコラティエ part.70

レオンさんはスプーンを持ったまま、レリーフを凝視していた

じっと、固まったままだ

「…イブキ」

そう言ったレオンさんの声はいつもの明るい声ではなくて、真剣な低い声だった

「これ…どうしたの?」

「頂き物だ」

「誰から?」

「…それは言えない」

一吹さんも声を落として言う

そう

言っちゃいけない

ドレスヴァンの大使館の方が最後に言っていった

『確かにこれはドレスヴァン本国よりお預かりし、お渡しいたしました。ですがこの事は他言無用に願います。なぜ、あなた方に直接送らなかったか、その理由はご推測ください』

それはすぐにわかった

証拠を残さないためだ

本当なら大使館の人に受け取ったというサインもするべきなのだろうけど、それもなかった

ドレスヴァンからだと知れてはいけないもの…

『言ってはなりませんが、店内にお飾りください。今後ずっと末代まであなた方をお守りするものですから』

末代って…

一体何なんだろう

それはわからないけど、きっと口を滑らせた時には私達はあのホテルのように跡形もなく消されてしまうのだろう

「言えない…か」

レオンさんはふうっと息を吐いた

「イブキはドリアポスって知ってる?」

一吹さんはレオンさんの言葉に一瞬息を飲んだけれど、何事もなかったかのようにちょっと首を傾げた

「さあ…それは新しいスィーツか?」

一吹さんのポーカーフェイスは筋金入りだ

「…あったとしたら怖くて手が出ないかな」

「レオンは何のことか知っているのか?」

「イブキは本当に知らない?」

「ああ。全く」

「そう…」

私は心臓が胸を突き破って出てくるんじゃないかって思ってた

よく似た外見の2人の化かし合い…

私は震える手を後ろでぎゅっと握っていた

「ミーだって貴族の《切れ端》だからね」

端くれですが…

突っ込めない

「貴族にはみんな紋章がある。日本でもあるよね?キャノンだっけ?」

「それはカメラのメーカーだよ。家紋だろ?」

一吹さんは冷静だ

いつも通りレオンさんの方向音痴のように路頭に迷った日本語を訂正する

「そうそう!それと一緒だよ。このレリーフに透かし模様のように紋章があるだろう?」

「そうなのか?」

今知ったように一吹さんはレリーフを覗き込む

「これはね、多分…」

レオンさんは眉間にシワを寄せて口を開いた





その夜…

一吹さんの部屋で私はノートパソコンを開いていた

「古代ミッシェル国…ですね?」

「うん。レオンはそう言ったよ」

一吹さんに言われて検索する

う~ん

あんまり無いけど

「多分、あのドレスヴァンから見えたノーブル・ミッシェル城の昔の国なんじゃないかな」

一吹さんは少ない情報の中から読み取ってくれた

「でもレオンさんが言ってた紋章とはちょっと違うような…」

でも似てなくもない

「ジャンさんがくれて、尚且つ口止めされた事を考えると、あれはドレスヴァンじゃなくて、ドリアポスからの贈り物だと思った方がいいね」

だと思います…

私は大きく頷いた

「だとしたら、あの紋章はミッシェル城というより、ドリアポスの紋章だよ」

ドリアポスの紋章入りレリーフ…

確かに知っている人から見たら怖いものかもしれない

めったに世に出る物じゃないはずだ

「ドリアポスは6カ国の協力の元に作られていると思ってたけど…違うのかも知れない」

違う?

王子達の有り余る資金でできた団体じゃ…

「この紋章があるという事は…」

一吹さんは画面を指差した

そこには悠然と佇むノーブル・ミッシェル城

「その王子達を裏から支えているのがノーブル・ミッシェル城…つまりノーブル・ミッシェルという人物だよ」

一吹さんがクイックすると、現在のノーブル・ミッシェルと言う白髪のお爺さんが画面に現れた

人の良さそうな、サンタクロースみたいな長い髭を蓄えたお爺さん

「この人の許可なくして古代ミッシェル国の紋章を元にした物をドリアポスの紋章に出来ないだろう」

じゃあ、このお爺ちゃんがドリアポスのラスボス?

「だと思う…王子達だけで好き勝手に成敗出来ないんじゃないかな」

あの王子達より上に君臨するノーブル・ミッシェル城城主

じゃあ、私達を助けてくれたのもこの人の許可を得てできたこと?

「そうだね…王子達が単純に俺達に同情してくれて、道楽で人の人生を狂わせた訳じゃないってこと…かな」

私達は思わず顔を見合わせた

私達の未来はもの凄く厳選されて守られたものなんだ

「より一層、大切にしないとね…もちろん最大級に大切にするけど」

一吹さんはそう言って優しく微笑むと、私の頬を撫でて

そっと唇を重ねた


~つづく~

Category - 王子×ショコラティエコラボ

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