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夢恋城へ…ようこそ…

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海の彼方から…王子×ショコラティエ part.73 final

潤君が指差す方にはあの令嬢の姿があった

服装やカバンを見る限り、令嬢がどこか海外に行くのを両親が見送りに来てるという感じだ

「全財産没収されたんだろ?海外に行く余裕なんてあるのか?」

仁さんが訝しげに眉を潜める

「恐らく、手元にあった財布の中身位は残ったんじゃないのか?」

「それにアキバでメイドしてたしね~お給料あるじゃん」

そんなの前の令嬢にしたら微々たるものだろうけど今の彼女にしてみたら、とても海外旅行に行けるような余裕はないはず

私達は訳が分からず立ち止まってしまった

「大丈夫よ!お父様、お母様」

広いロビーに彼女の高い声が響いた

「ちゃんとメイドの本場で腕を磨いたのよ!フィリップに行ったって全然平気だわ!」

メイドの本場…って

「まさかとは思うけどアキバのメイドカフェの事?」

潤君が不安げに一吹さんを見上げた

確か潤君はレオンさんと一緒に令嬢らしき人を秋葉原のメイドカフェで見たっていうのを確認しに行ったんだっけ

「めっちゃ顔ひきつらせて『にゃんにゃん󾬏』ってやってたよ」

…想像できる

彼女の引きつった顔

プライドの固まりのような彼女だから…お腹の中のマグマが沸騰していたんじゃないかな

「なんでメイドカフェなんかを選んだんだ?SMクラブならともかく…」

ちょっ…!仁さんってば!

「メイドじゃなきゃいけない理由があったんだろうね…」

一吹さんも複雑そうな顔で首を傾げた

それは彼女の次の言葉でもっと不可思議になる

「メイドだって言っても日本のチャチなお金持ちのお屋敷じゃないのよ!フィリップ王室なのよ!貴族よ!王族よ!見てて頂戴!必ず玉の輿に乗ってリベンジだわ!」

私達は顔を見合わせた

「フィリップ王室って…」

「ウィル王子のとこ?」

私と潤君は一吹さんと仁さんを見上げた

「…そんなに簡単に入り込める場所じゃないぞ」

「王室関係者のツテでもなきゃ…ね」

仁さんと一吹さんも唖然としている

よくわからないけど上流貴族、ましてや王室のメイドになろうとするなら、執事の学校があるようにメイドの学校もあったはず

その卒業生や、元々貴族のお嬢様がお嫁入りする前にちょっと行儀見習いで働けるものだと思う

身元チェックだって厳しいだろうし…

「一吹、お前ホテルのオーナー一家の嘆願をジャンさんに言ったんだろ?」

「うん…6カ国がドリアポスだって認める事はないってわかっていたけどジャンさんには伝えたんだ…生き延びるすべを残してやって欲しいって」

「で、なんだって?」

「『我々には預かり知らぬ事ですが、葵井様のお気持ちが天に届く事をお祈り致します』ってさ」

「まるで胡散臭い教会の神父だな…」

仁さん、容赦なさすぎ…

「そのお気持ちとやらが届いたって事か」

仁さんはニヤリと口角を上げた

「それがなぜフィリップ王室のメイドなんだろうね」

ウィル王子がそんなに面倒見が良さそうに見えないんだけど…

それならロベルト王子の方が2つ返事で使ってくれそうな気がする

「フィリップのメイド修行が6カ国1緩いか、逆に1番キツいか…だろうな」

「1番キツい方だと思う!」

一吹さんの言葉に仁さんと潤君の声が重なった

「もし、そうなら提案者はアイツだ」

仁さんが笑うと何となく赤い王族の衣装がちらついた

よっぽど性格が悪いらしい…

「でも良かったですね。彼女、元気そうだし」

私の言葉に一吹さんはクスッと笑った

「優しいね…華恋ちゃんは」

そっと頭を撫でられる

「華恋ちゃんがいなかったら俺はドリアポスという目に見えない影に怯えながら生きて行ったのかもしれないね…勇気を持ってジャンさんに電話してよかったよ」

結論が出たっていうこと?

「ああして彼女がフィリップ王室に向かうなんて偶然過ぎるし、普段の一般人の生活から王室への関係が出てくる事も稀だと思う」

「だったらドリアポスと決めてもいいか」

「ああ…俺達はたまたま帰国してすぐにホテルが消えて無くなったから6カ国の王子達の仕業だと気付いた。そして経済界に通じている浅葱さんからドリアポスの存在を知らされた」

そうだった…元はそこからなんだ

そうじゃなければただの偶然…

天罰として片付けられたんだ

知らなきゃよかったのかもしれない

けれど小さな小骨のような疑惑が残ってしまったなら

取り除く前に、せめて何の小骨か知っておきたい

正体もわからず、取ることもできずに一生過ごすなんて嫌だ

「かと言ってドリアポスの正体を深く追求しようとしたら…消されるな」

「うん…だからジャンさんにもドリアポスの事は直接言葉にしていないよ。ただ、彼女に生き延びるすべがあるなら与えてあげてほしいと華恋ちゃんが望んでいるから、俺もその希望に添えたいって言っただけ」

「正解だな。恐らく話の始まりはお前らの女子会だろう」

女子会って…私と真鈴様とジェシカさんの?

「プリンセスの為に俺達を日本から呼ぶ寄せるようなジョシュア王子だ。プリンセスがお前と一吹の話を聞いてなんとかしてあげれないかと言えば、あの王子なら動くぞ」

そう…なのかな

「だから終息させるのも、嘆願するのもお前が望んでると一吹が名前を出したのは正解なんだよ」

仁さんは意外にも優しく微笑んでくれた

「それだけお前には人を動かすわけのわからん魅力があるって事だ」

「さすがに仁はよくわかってるな…でも渡さないよ」

一吹さんは私の肩を抱き寄せた

人前!外!空港だし!

私の顔に体中の熱が集まる

「俺だって一ノ瀬ちゃんの魅力くらいわかってるんだけどな~」

潤君がぶうっとむくれた

「もちろん潤にも渡さないから安心して」

一吹さんがわざと耳に息を吹きかけるように言う

もうっ!

私は恥ずかしくて口をパクパクさせた

「さ、帰るぞ潤。飯は2人だから食って行くか」

「やったね!一吹兄達はどっか行くの?」

「空気読めって言ったろうが」

仁さんは潤君の背中を押すと少しだけ振り向いた

「よろしく言っといてくれ」

「わかったよ」

一吹さんも小さく笑って手を上げた

ん?どこか行くの?

「秘密」

ダメです!

私がちょっとむくれると、一吹さんはゆっくりと私の手を取った

「俺が結婚したい人がいるって言ったら早く会いたいってうるさくって…」

だ、誰が!?

「ん?母さんだけど?」

まさか!まさか!今から一吹さんのお母さんに会いに行くとか?!

「そうだよ。祖父母も首を長くして待ってる」

ちょっと!本気ですか!

私、普段着!美容院行ってない!薄化粧!!

「いいんだよ。普段の華恋ちゃんで。それに前もって言ったらスッゴく緊張するでしょ?」

それって三斗希君の人見知りの荒療治のやり方じゃないですか!!

無理!!無理!!無理!!

「俺のお嫁さんになるのも無理?」

……っ

それは…全然無理じゃないです…

「じゃあOKだね」

そんなぁ~󾬆




腕を引かれる後ろでサンクト・シアベル経由フィリップ行きのアナウンスが流れる

ゲートに消えていく令嬢の姿がはっきりと眼の奥に刻まれた



遠い昔…

一吹さんのショコラに魅せられた少女がいた

その少女が大人の女性となり、笑顔を失った時、一吹さんのショコラが彼女を救った

そして今度はその彼女が一吹さんと私の未来への道に明るい灯をくれた

幸せのショコラは人を幸せにする

純粋な気持ちはいつかそっと自分に返ってくる

心を込めたショコラが暖かい心を巡らせてくれる

一吹さんの目指すところはそんな日だまりのような場所

そこに一緒に歩いていけるなんて…

一生大切に生きていかなきゃね

「華恋ちゃんのご両親に会いに行くときは事前に言ってね」

ずるい!!

ずるいけど、きっとソツなくこなして、私の両親は狂喜乱舞するんだろう

私は目一杯の愛情を込めてあっかんべーをした

ずっとずっとこの人と一緒

それは神様がくれた最高のプレゼントだった



󾀼END󾀼

長編にお付き合いいただきありがとうございました󾬏󾬏

Category - 王子×ショコラティエコラボ

8 Comments

まひろ  

終わってた(笑)
ファイナル見て、その1個前見て、なんだかハッピーに終わってそうだから(中飛ばしハナハダシイ・・・)よしとしよう!・・・ナニサマ(笑)

長いの書いたね~。
お疲れっした!

2014/10/31 (Fri) 12:26 | REPLY |   

chika  

個人的には令嬢VSクロード 巻き込まれるノエルを書きたいけど(笑)

そのうち考えるわ~

華恋ちゃんは恐らく一人っ子だよ

私は兄弟がいないからよくわからないけど、みたいなセリフがあったような…

season1だと思うよ

さてさて…

特捜天王寺さんも終わらせて

ヤコフ6カ国の旅とリュークになったケヴィンも書かなきゃ!

おっと!第7章続きもだ!

2014/10/30 (Thu) 10:18 | REPLY |   

yc  

長編完結、ありがとうございます。

本家と同じく、プロポーズまですませ、あとは両家の顔合わせ……。
いやいや、まだ葵井母の全貌が見えない。(華恋ちゃんは、家族構成も不明だが)
何となく、性格は竹を割ったような人…かなぁ。仁さんに近い?みっちゃんが一番葵井父似だから、一吹さんが母似?

ん~…。
夢恋城版葵井母、楽しみにしてます。


それにしても、お嬢様…フィリップ城で「にゃんにゃん?」してたらどうしよー。真鈴ちゃんや瑠璃ならわかってくれそうだが…。
ロブたんはよろこびそーだ(笑)

特捜コラボ、楽しみにしてまーす!

2014/10/30 (Thu) 09:38 | EDIT | REPLY |   

織姫  

長編ありがとうございました(*^^*)

凄く幸せな最後で
あったかい気持ちにさせて貰えました♪

ドキドキ
ハラハラ
ワクワク
うっとり…

本当に素晴らしかったです~(*≧∀≦*)

また楽しみにしています!

2014/10/30 (Thu) 05:19 | REPLY |   

chika  

ありがとうございましたヽ(^0^)ノ

不定期に配信してたのにお付き合いいただきましてありがとうございましたヽ(^0^)ノ

ついつい長くなっちゃう悪い癖ですね~(笑)

次回はショコラティエと特捜のコラボと考えてますが、さて、誰のヒロインでいくか

なぁんにも考えてません

思い付いたら書き出します!

また不定期ですがお付き合いくださいませ

2014/10/29 (Wed) 21:04 | REPLY |   

はやみん  

chikaさん長編お疲れさまでした!
とってもとっても素敵なお話をありがとうございました(*≧∀≦*)♡
王子とのコラボ最高でした!!
仁さんとキース様が並んでる立ち絵を妄想してどれだけ悶え転がった事か!!

一吹さんも素敵な一吹さんらしいプロポーズで幸せいっぱいでしたし
ハラハラさせられたりと本当にchikaさんの創り出す世界は素晴らしかったです♡

感謝しきれませんっ!ありがとうございます!!

2014/10/29 (Wed) 17:14 | REPLY |   

Kまる  

わぁ!!とうとう終わっちゃった~!
とっても素敵なEndでした♪
ありがとうございました&お疲れ様でした(^^)

そして...葵井母!まさかのこちらに登場\(^o^)/
さすがchikaさん!! 素晴らしい展開です♡
大きな山を力を合わせて無事乗り越えられて、本当に良かったです(^-^)

華恋ちゃんとの“結婚”を決意した一吹さんや、仁さん、そして三斗希くん達 レ・クランの皆のこれからが益々楽しみです♪♪

これからも…ラブラブ♡キュンキュン♡させて下さい(*≧∀≦*)

2014/10/29 (Wed) 13:55 | REPLY |   

ゆうしい  

長編、お疲れ様でした。

毎回、わくわくしながらめっちゃ、楽しみにしていました。

まさかのコラボ!すっごく、楽しかったです。chikaさんはやっぱ、すげーよ!!(←すいません、ため口で。)

またまた、次回も楽しみに首をながぁ~~っく、して待っております。

2014/10/29 (Wed) 13:33 | REPLY |   

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