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夢恋城へ…ようこそ…

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今宵貴方と…miracle moon…一吹☆4

案内された部屋はすっごく綺麗で

広くって

眺めが最高に良かった

街の街灯は全然見えなくて

大きな満月だけが漆黒の闇の中、山並みのシルエットを照らしていた

微かに聞こえる川のせせらぎ…

木々のざわめき

風の音

落ち葉の香り

見上げた夜空には満天の星達が輝いていた

すごい…

慌ただしい現実が遠い昔のように消えていく

「お互い…心を洗い流そう」

一吹さんはそう言って肩を抱いてくれた

「これからずっと華恋ちゃんと長い人生を歩いて行くと、きっと今みたいな仕事に追われて心に余裕が無くなる日もあると思うんだ。お互いにね」

一吹さんはそっと髪を撫でてくれた

優しい手つきで…

言葉と一緒に染み込んでくる

一吹さんも忙し過ぎた

お店の拡張

参加依頼殺到のコンテスト

秋の新商品作り

増える客注

押し寄せるマスコミ

そんな中でも笑顔を崩さなかった一吹さん

力になりたいって思っていたくせに、私は何もできなかった

自分の事が精一杯で

逢えない寂しさを仕事のせいにして

逢える努力をしないままイライラして、勝手に仲間外れにされたみたいな被害妄想に陥って

なんて勝手な私

弱いし

小さい

一吹さんに甘えてばかりでごめんなさい

今日だって私の為にここに連れてきてくれたんでしょう?

ありがとうございます…

私は一吹さんの胸に顔をうずめた

「それはお互い様だよ…俺も華恋ちゃんに逢えなくてイライラして弟達に当たっていたかな」

一吹さんが?そんなに感情的に?

「う~ん…俺はそのつもりなんだけど誰も気付いてないかも…」

ちょっと大げさに眉間に皺を寄せる顔に涙が止まる

一吹さんらしい気遣いね

「だから2人でリフレッシュしよう」

一層ぎゅっと抱きしめてくれた

何もかも忘れて2人っきりで…




美味しいご馳走を頂いて、宿自慢の大きな露天風呂に入る

部屋にもついているけど小さいし

「華恋ちゃん不足の俺には混浴は拷問だよ」

という一吹さんの言葉で、ちゃんと男湯と女湯に分かれて入った

何人か女の子同士で来ているグループと一緒になって

さっき男湯に入っていった男の人が凄くかっこよかったって話が聞こえてきたりする

きっと一吹さんの事よね

いいも悪いも目立ってしまうんだから…

逆ナンしてみる?なんて声にギクッとして

ちょっと急いでお風呂から上がる

それでも出口の暖簾を潜ると一吹さんが待っていてくれた

「早かったね…ちゃんと暖まった?」

さりげなく繋いでくれる手をそっと指で絡めると優しい微笑みが上から降りてくる

後ろでさっき一緒のお風呂だった女の子達の落胆の声が聞こえた

ああ…編集部を出る時とおんなじだ

そんな一吹さんの隣にいる幸せと責任感をひしひしと感じる

でも今は…

リフレッシュするために甘えていい?

「もちろん…おいで…」

部屋に戻って窓際の椅子に座る一吹さんの少しはだけた浴衣の胸に飛び込んだ



~つづく~

Category - 愛しのショコラティエ

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