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危険な甘いショコラ~ショコラティエ×特捜~part7

花井さんがレジカウンターに目を移した

そこにはビニール袋に入った紙袋が置いてあった

ビニール袋に入ってるって事は何かの証拠なんだろうか

「今、オーナーにお聞きしましたが、この紙袋はこちらのお店の物に間違いありませんか?」

ゆっくり確かめるように花井さんが私に語りかける

私はコクリと頷いた

それはレ・クランのロゴの入ったケーキ用の一番大きな紙袋だった

レ・クランの紙袋は他のお店と違うと私が言うと、花井さんはフッと目を細めた

「ケーキ箱をよくある横長の袋に入れると持ち歩いている間に重心がずれて、紙袋の端に箱が寄っちゃって、ケーキが崩れちゃうんです。だからレ・クランの紙袋はケーキの箱に合わせて正方形です」

「正解。真四角だった…」

浅野さんが答えを言えた生徒を見る先生のようにちょっと微笑んだ

この紙袋は一吹さんのこだわりで作ったんだと仁さんに教えて貰った

ケーキじゃなくても、ショコラを大量に買われたお客様の時も、どの小箱を組み合わせてもきっちり収まるように計算し尽くされているんだって

「オーナー、几帳面なんですね」

八千草さんが素直な感想を口にする

一吹さんは軽く微笑を返した

「せっかくの作品を不様な姿に晒したくはない。それだけだ」

なのに仁さんはぶっきらぼうに答える

もう…

営業下手なんだから…

「それ以外にお気付きの点はありませんか?」

花井さんに促されてもう一度紙袋を見てみる

よく見ると…

「これって…ホワイトデーの時の袋じゃないですか?」

私は視線を一吹さんに向けた

「え?」

一吹さんが目を丸くして紙袋に近づいた

「だって、紙袋を最後にシールを貼って閉じるじゃないですか」

私は微かに残る紙袋の口についたシールの欠片を指差した

レ・クランでは袋に入れた後、口をロゴ入りのシールで止めてお客様に渡す

通常は金色の四角いシールだけど

バレンタインデーには赤いハート型

ホワイトデーにはクリーム色のハート型

クリスマスには赤と緑の四角いシール

それも一吹さんや仁さんのこだわりで発注した

ちゃんと在庫チェックの仕事もしたから知ってるもの

「だから…ここにクリーム色のハートの端っこの形のシールが残ってますよ」

私がそう言うと全員が紙袋を覗き込んだ

「本当だ…白い袋にクリーム色だから気付かなかったよ」

一吹さんが目を丸くした

「よく気付いたな」

仁さんがワシャワシャと頭を撫でた

犬じゃないんだから!

「ワシャワシャ…」

「修介さん、そこに反応しちゃダメです!」

なぜか私を見つめる浅野さんを八千草さんが引っ張った

「ホワイトデーにこんな大きな袋って使います?」

香月さんはちょこんと首を傾げる

「よっぽど大量に買ったか、ホワイトデー用にケーキ1ホール買ったかでしょう?」

「大量の義理チョコ?」

八千草さんがまだ商品が並んだままのウィンドウを覗いた

「1個300円として…でも1個入りのチョコレートって売ってないですよね~2個で600円。10人で6000円!」

「10個ならもう一回り小さい袋を使いますよ。あの袋なら30個以上かな」

一吹さんの言葉に

「18000円…」

と浅野さんが呟いた

「大手会社の幹部か…」

「香月ちゃんみたいに1ホール食べる胃袋の彼女がいる人かも…」

「瀬名ならチョコ1人で60個いける…鼻血出ない?」

花井さん、八千草さん、浅野さんが銘々に喋っている

あちこちツッコみたい気分…

「私前提で言わないでください!1ホールは2回に分けます!もったいないから!」

そこもツッコみたい…

なんか不思議な刑事さん達だ

「それなら絞り込めるな…ホワイトデーに大量に買った客なら覚えていませんか?」

花井さんに見つめられて一瞬ドキッとする

改めて…カッコいいな~なんて思っちゃう

けど、すぐに脳天に仁さんのチョップが飛んできて我に返った

「あの袋に入れる位の大口のお客様なんて…」

私はとっさに一人の男性が頭に浮かんだ

「一吹さん!」

「…それは違うと思うよ」

私が名前を出す前に一吹さんが軽く首を振った

でも、大量に買ったのって…

「思い当たるんですか?名前とかわかりますか?」

花井さんがグイッと前に来たと同時に仁さんは私の手を引いた

…っとととと

よろけながら胸にぶつかる

ヤキモチ?まさかね

それならちょっと嬉しいかも

とにやけかけたけど、顔を引き締めた

「…言っていいんですか?」

私が一吹さんを見上げると、一吹さんはやれやれと肩をすくめた

「違うと思うけど…」

「それは我々が判断します」

言い渋る一吹さんに花井さんが食い下がる

「じゃあ…えっと、野村忠信様。警視庁お勤めの…」





一瞬空気が止まった

そう

私も野村さんだと思った

思ったけど

警視庁お勤め?!

あの軽~い感じの人が?!

「…野村さんなら…ある」

「確かにうちの上司です…」

「副参事官ですし…」

「じゃあ私、食べました!」

4人が顔を見合わせている

微妙に会話がズレている気がする

ツッコみたい…



「取り調べ…します?」

香月さんの声に男性3人は天を仰いだ


~つづく~
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Category - 愛しのショコラティエ

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