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夢恋城へ…ようこそ…

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とある葵井家のbath time~一吹~

ようやく終わった…

あのクライアントとの打ち合わせは無駄に長くて気疲れする

しかも男だしね

綺麗な女性との打ち合わせなら多少長引いてもいいんだけど

なんて言うと仁に怒られるかな

近頃は華恋ちゃんがそばにいてくれるからアイツも丸くなった気がするけど

女の子の力って凄いね

あの仁の角を取って丸くできるんだから

女の子が、じゃないか

華恋ちゃんが凄いんだ

運命の赤い糸はどこでさまよっているのかわからないものだな

そう思うと胸の奥深くがチクリと痛んだ

俺の赤い糸は…

華恋ちゃんに繋がっていなかった

それは誰にも言えないけどちょっと残念…

それが仁に繋がっていたならよしとしなきゃね

さて…熱いシャワー浴びて寝ようか

ん?

脱衣場のドアが少し開いていて、灯りが漏れている

誰か入ってるのか

部屋へ戻ろうとして踵を返した時、中から声が聞こえてきた

「じっとしてろ!洗えないだろうが」

仁?

誰と…って愚問か

三斗希や潤と入るわけないもんね

華恋ちゃんと…か

また胸の奥の奥の方がチクッと痛んだ

「自分の髪ぐらい自分で洗えますって!」

「包丁で指を切るような鈍臭い奴に拒否権はない」

「ほんのちょっとじゃないですか!絆創膏で充分だし」

「それでも絆創膏は貼ってるだろう」

「今時の絆創膏は防水がしっかりしてるから大丈夫…ってもう!そんなに乱暴にしたら一杯抜けちゃう!」

「女は禿げん」

「そういう問題じゃないですってば!」

……

……

…色気もなにもない

幼かった潤が華恋ちゃんに替わっただけでまるで兄と妹だ

まぁ仁らしいと言えばそうなんだけど

肩をすくめて戻ろうとした時…

「仁さん…!ンン…だめ…」

急に華恋ちゃんの声のトーンが変わった

つい足が止まる

「だめ…髪乾かさなきゃ…仁さん…あとで…」

初めて聞く華恋ちゃんの甘えた声

仁にはそんな風に甘えるんだね…

シャワーが流れっぱなしの音の中…華恋ちゃんの甘えた声が途切れ途切れに聞こえる

それはいつしか妹の声から快感に身悶える女の声に変わっていった

「あ…あぁぁん…仁さん…だめ…ここじゃ…」

ったく…仁の奴

ベッドまで我慢できないのか

胸の痛みが苛立ちに変わる

俺が抱けないのならせめて優しく扱ってあげてほしい

俺は自分の心にも建前を並べた

本当は俺が…

奥深くに封印したパンドラの箱がガタガタと揺れ出す

華恋…ちゃん

華恋…

「ああ…仁さん…好き…愛してる…」

華恋ちゃんの声でハッと我に返った

彼女が愛してるのは仁なんだ…

華恋ちゃんが抱かれたいのは仁唯1人…

俺はそっと開いていた扉とパンドラの箱を閉めて階段へと向かった

その時、不意に携帯が鳴った

着信を見ると…女性の名前がディスプレイに映っていた

誰だっけ…

取りあえず出てみる

『あ、あの…葵井さん、ですか?』

遠慮がちに話す声と言葉遣いに頭の中のアドレス帳を高速で捲る

…ようやく名前と顔が一致した

「ああ、貴女でしたか。お元気でしたか?もう海外留学から帰って来たのかな?」

クライアントが主催したパーティーで会った有名デパートの社長令嬢だった

パーティーの後、短期留学すると言っていたのを話しながら思い出していた

『覚えていてくださったんですか?』

「ええ。もちろん。今は日本?行ってくれれば空港まで迎えに行ったのに」

…俺は嘘つきなんだろうか

もし本当に彼女から電話があって手が空いていたら迎えに行っただろう

ただ積極的にいつが帰国日なのかを聞かなかっただけだ

『一週間前に帰ってきて…その、葵井さんにお電話しようか、どうしようか悩んでる間に一週間過ぎでしまいました…』

消え入りそうな声が少なからずも男心を擽る

「遠慮なんていらないですよ」

かと言って空港に着いたから迎えに来てと1度会ったきりの男に言う女の子は苦手だけどね…

「では無事に帰国されたお祝いでもしましょうか?」

俺の言葉に受話器の向こうで凄く喜んでいるのがわかった

一夜限りの遊びをする訳じゃない

この彼女が俺と赤い糸で繋がっているのか確かめるだけさ…

俺はポケットの中のキーをチャラっと鳴らした

「一吹兄さん?また出掛けるの?」

キッチンに降りてきた三斗希と目があった

「うん…朝の仕込みまでには帰るよ」

「…気をつけて」

ちょっと心配げな三斗希の視線を背中に感じながら玄関の扉を開けた

赤い糸…

無いなら無いで構わない

けれどあるのなら…





俺は神様に何を願うんだろう

問いかけすら中途半端なまま夜空を見上げた

来年の今頃、俺は何をしている?

そして、誰といる?



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Category - 愛しのショコラティエ

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