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危険な甘いショコラ~ショコラティエ×特捜~part29

その《脅迫状》が届いたのはレ・クランの定休日の朝だった

何にも書いていない封筒がポストに入っていて

潤君が朝刊と一緒に持ってきた物だった

「…で、開けて見たらこの脅迫状が出てきた訳ですね」

花井さんが確認するように潤君を見ると、カチコチに固まって顔をひきつらせたまま潤君は頷いた

「大丈夫よ潤君。リラックスして」

香月さんがわざと明るく潤君の顔を覗き込んだ

「う、うん…あ、あのさ…この封筒、俺、触っちゃったけど、指紋とか付いちゃったよね?」

「まぁ…そうね。でも受け取った一吹さんも触ったでしょ?」

香月さんがそう言うと一吹さんも頷いた

「あとからひったくって読んだ俺の指紋もな」

仁さんは腕を組んだまま微動だにしない

「俺は…触ってない」

ちょっと申し訳なさそうに三斗希君が首をすくめた

「つまり三斗希と華恋ちゃん以外の3人の指紋は付いている訳だ」

一吹さんが冷静にみんなを見回した

「潔く指紋は採取されろ潤」

仁さんがぎろっと潤君に視線を送った

「お前は警察にビクビクするような悪い事をしたのか?」

「してないよ!そんなの…警察より仁兄と一吹兄の方が怖いのに…」

最後の方の声は消え入りそうだった

妙に納得する私は葵井家に馴染んでいるって事だと密かに思った

「この封筒には恐らく犯人の指紋は付いていないでしょう」

花井さんは冷静に封筒に目を落とした

真っ白な封筒

何も書いていない

つまり、郵便局を通さずに、直接葵井家のポストに投函されたものだ

だとしたら、当然手袋とかしているだろう

「ですがほんのひとかけらでも付いているかもしれません。それがあなた方の物ではないと証明するために指紋採取のご協力をお願いしたいのです」

花井さんの冷静な言葉に全員が頷いた

脅迫状…

それは笑っちゃうぐらい古典的だった

「今時、雑誌の文字を切り抜くなんて…」

「再放送のドラマでも見んぞ」

「これを送った人はパソコンを持っていないか…」

「兄貴達ぐらいアナログか…痛てっ!暴力反対!」

三斗希君、仁さん、一吹さん、潤君が銘々に喋るのを香月さんはにこにこしながら

花井さんは鋭い眼差しで見つめている

不意にその花井さんが私に視線を向けた

「一ノ瀬さんはどう思われますか?」

「私…ですか?」

そう聞かれてもう一度開かれた脅迫状を見つめた



『MOFコンクール  に  出 場  する  ナ !!  する と  誰か オンな が 死』



大小、色とりどりの文字が切り抜かれて便箋に貼られている

便箋?

ううん…これは

「コピー用紙ですよね」

一瞬白い便箋かと思ったほど白かったけど、何にも線のない紙はコピー用紙っぽかった

「ですね…しかも上質紙ね」

香月さんが私を見る

「一ノ瀬さんの会社って上質紙?」

「いえ…分けてます。お客さんに提出する書類は真っ白な上質紙だけど、社内でプリントアウトするのはもっと黄ばんだ再生紙です」

「そうよねぇ~うちだってほぼ再生紙だもん!久しぶりに白いコピー用紙見たわ」

「さすが官公庁…」

「節約よねぇ」

「編集部も一緒ですよ」

私達は妙な所で意気投合した

「じゃあ、犯人は金持ちの会社?」

潤君の素直な感想に笑っちゃう

「暗に警視庁と宝船社は貧乏って言ってるよ潤…」

「あっ!そそそそそういう意味じゃ!」

またまた挙動不審になる潤君をお兄ちゃん達は苦笑して見ていた

「それ以外にも引っかかる事はいくつもあるな」

花井さんはじっと脅迫状を見つめる

「気になる?」

仁さんがギロッと目を上げる

「それは…捜査に関わる事なので」

花井さんは妙に挑戦的に仁さんに対峙した

「この脅迫状はこちらで預からせて頂きます」

花井さんは丁寧にビニール袋に入れるとスーツの内ポケットに入れた

「誰が狙われるかわかりません。とりあえず瀬名を置いて行きます」

瀬名さんを見ると親指を立てて笑ってくれた

そう…

当面一番狙われるのは私だ

コンクールに出るのは仁さんで

その仁さんの恋人として一番近い所にいるのは私だ

脅迫状にも『女』ってあるし…

さっきまで何でもなかったのに急に恐怖がやってくる

ぶるっと震えた私の手を仁さんが強く握ってくれた

「よろしくお願いします」

一吹さんが頭を下げた

「家の中なら俺が守る…だが会社に行くとなると…」

仁さんの言葉に香月さんはコクリと頷いた

「大丈夫です。私達が必ず一ノ瀬さんをお守りします」

力強い言葉の横で花井さんも頷く

「外では俺が守ります」

「…なんか突っかかってこられてる気がするな…」

なんだかよくわからない火花が仁さんと花井さんの間で飛び交っている

「大丈夫!私、ちゃんと黒帯だから!」

細い腕で力こぶを作って笑ってくれる香月さんの笑顔に、ようやく肩の力が抜けた


~つづく~

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Category - 愛しのショコラティエ

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