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夢恋城へ…ようこそ…

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春は…~一吹~

「…えっ?一吹さん、今、なんて…」

私は生まれて初めて血の気が引くという感覚に襲われた

頭が真っ白になる

目の前にいる大好きな一吹さんの言葉が理解できなかった

「華恋ちゃんには悪いと思ってる…」

何を…?

「だけどもう、どうにもならないんだ…」

だから何…?

「ごめん…俺は彼女を愛してる…」

一吹さん?

「華恋ちゃんとはもう一緒にいられない」

一吹さん!

「俺の事は忘れて…」

一吹さん!!

「さようなら…」

一吹さん!一吹さん!




「一吹さん!」

全身から汗が噴き出していた

目の前が真っ暗だ

真っ暗…

ああ…夜だから?

心臓の音がうるさくて

息が止まりそうな程、脈拍が早い

ギュッと無意識に何かを掴んでいた

…布団?

ゆっくり手を開くと手汗が凄かった

夢を見ていたんだと理解するまでにどれだけ時間がかかったんだろう

夢…

夢だったんだ

なのに生々しくって…

夢の中でも一吹さんは気を遣っていた

優しく微笑もうとして、でも困ったような顔をしていた

他の人を好きになった…?

だから…

さようならって言って背中を向ける一吹さんを私は追えなかった

足が竦んで動けなかった

嫌だ…そんなの

急に寒気が来てブルッと震えた

パジャマが汗でべったりだ

もう一度シャワーを軽く浴びて新しいパジャマに替えよう

気分転換にはそれが一番だと思いついて、新しいパジャマと下着を持って浴室に向かった

軽く汗だけ流してパジャマを着替えてお水を飲みにキッチンに入った

「あ…」

そこには先に一吹さんがいた

似合いすぎるタキシードに身を包んでいる

今日はデパートで行われていたショコラ展にレ・クランも出店していて

大好評のうちに終了したお祝いと慰労会

要は打ち上げなわけで

お店がある為、一吹さんだけが出席していたのだ

「お、お疲れ様です…お帰りなさい」

さっきの夢のせいかぎこちなくなっちゃった

「うん。ただいま」

一吹さんはいつものように優しく微笑んでくれた

「華恋ちゃんもお水?」

「あ、はい」

一吹さんは何にも変わらずにグラスにミネラルウォーターを入れてくれた

渡してくれる時にちょっとお酒の匂いと…女性の香水の匂い

パーティーだからダンスとかあったかな

それともまた優しくされた女の人が勘違いして抱きついてきたかな

いちいち聞きたくないけど…特にさっきの夢の後だから

「華恋ちゃん?どうかした?」

「う、ううん…何でもないです」

一吹さんに振られた夢を見ましたなんて言えないよね

「何でもないって顔してないよ」

一吹さんの手がそっと頬を包んだ

「何かあった?」

「えっと…特別そんな…」

夢だし…

「先にシャワー浴びてくるよ。その後部屋に行っていいね?」

一吹さんは時々有無を言わせない強い姿勢の時がある

今もそう…

一吹さんに隠し事はできない

私は頷いて部屋に戻った

15分くらいですぐに一吹さんは部屋に来てくれた

「今日は遅くなっちゃってごめんね」

「ううん…お仕事だし」

ソファに並んで座って肩を寄せ合った

温かいな…夢じゃない

「もっと早く帰ろうと思ったんだけど…浅葱さんがね」

「浅葱社長も一緒だったんですね」

「うん。一緒なのはいいんだけど…結構人がいる所で『葵井さんの結婚式はいつですか?最優先で予定を空けておかないと』って言い出して…」

「えっ?!」

思いもかけない言葉にビックリして一吹さんを見上げた

「そうしたら周りの人達に囲まれちゃって…」

ちょっと困ったように眉をひそめながら、でも照れくさそうに笑った

「大勢の前で華恋ちゃんの事、ノロケてきちゃった」

「…ノロケ…って」

私の事を婚約者だって宣言してくれたの?

公の場所で私を…

一気に顔が赤くなった

まだお互いの親にも挨拶してない

編集長にも言ってない

プロポーズらしき事をされたのを知ってるのは優里だけ

後は仁さん、三斗希君、潤君だけ

あ…レオンさんとディーノさんと時田さんも

あれ

結構、知ってるのかな

「それからデパートの外商さんに指輪は是非うちで買ってくれとか、系列のホテルで式を挙げてくれとか、営業攻めにあっちゃった」

目に浮かぶけど…

「それは華恋ちゃんと2人でゆっくりと決めたいからって逃げて来たんだよ」

一吹さんはそっと髪を耳に掛けてくれた

「…いいよね?」

悪いわけない!

私はギュッと目を閉じて大きく頷いた

「よかった…さて次は華恋ちゃんの番だよ。何があったの?」

にっこり微笑む一吹さん

ずるいなぁ…

もう私の夢の話なんて笑い話になっちゃう

わざとそうしてくれたのかな

私は怖ず怖ずと夢の話を語り始めた

一吹さんはいつもと変わらずに黙って聞いていてくれた

「それは、逆夢だったのかな」

「逆夢?」

「うん。だって華恋ちゃんが夢の中で俺から別れようって言われてる時に、俺はみんなに華恋ちゃんと結婚するって公表してたわけだから」

逆夢…

そうなのかな…

「いや…やっぱり正夢かも」

「え…」

「今までの俺が華恋ちゃんの前から去ったのかもね」

一吹さんはちょっと溜め息をついて私の髪を撫でた

「もう優柔不断な昔の俺は華恋ちゃんの前から去ったんだ。今、目の前にいる俺は…」

一吹さんは髪を撫でていた手を止めた

「…華恋しか見えない」

真剣な瞳が強く私を見つめていた

「他に欲しいものはなんにもない…華恋だけが欲しい…」

「一吹さん…私…」

「一生そばにいて…」

「はい…」

もう何も迷わない

ずっとそばにいる…

一吹さんと私は自然に1つに重なった

もうどんな夢を見ても怖くない…

私は幸せを一杯噛み締めて、一吹さんの胸に顔をうずめた

そして夢を見る余裕も無いほど熱く抱かれた

体中に一吹さんのしるしをたくさん貰いながら…




翌日一吹さんはみんなで朝食を食べている時に言い出した

「アポを取って欲しいんだけど」

って

仁さんがまたイベントか?ってちょっとめんどくさそうな顔をする

「あっ!潤!俺のソーセージ!」

「ヘヘッ!もーらい!」

三斗希君と潤君はいつもと一緒だ

「違うよ。華恋ちゃんのご両親に…そろそろご挨拶しなきゃね」

「ほぉ…」

「へぇ…」

「マジっ!?」

……私は言葉がなかった

「俺も逢いたい!!」

騒ぐ潤君を仁さんがヘッドロックした

「一緒に住んでるんだし、頃合いだろうな」

仁さんの言葉に一吹さんはにっこり微笑んだ

「その後は、お袋か」

「だね」

一吹さんのお母さん!

うわっ…

どうしよう!

「華恋さん…百面相」

三斗希君、つっこまないで!

「大丈夫だよ…って俺も緊張するけど」

一吹さんは全然緊張してない顔でコーヒーを口にした




いよいよ…

一歩進む

私と一吹さんの未来に



「頑張ってね!《お姉ちゃん》」

潤君の声に涙が出そうになる

春はもうそこに来ていた



󾀼END󾀼

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Category - 愛しのショコラティエ

4 Comments

chika  

結婚したらなんて呼ぶんだろうね

まぁ名前のままかね(笑)

仁「姉貴」
三斗希「姉さん」
潤「姉ちゃん」

かな

呼ばないか(笑)

2015/01/27 (Tue) 07:07 | REPLY |   

織姫  

ほんわか癒されるお話でした~(*´∇`*)

いよいよ結婚へ向かうんですね♪
お姉ちゃんと呼ばれる場面、
想像してジーンとしました♪

2015/01/26 (Mon) 20:59 | REPLY |   

chika  

潤君はどこに行っても愛されるからねぇ♪

仁さんの挨拶は無愛想だろうなぁ
みっちゃんはできるだろうか(笑)

一吹さん連れてこられたら世の中のお母さんは狂喜乱舞よねぇ~

2015/01/26 (Mon) 19:29 | REPLY |   

Kまる  

一吹さん、佳境に入ってきましたね♪
待ってました!!の御成婚 (*´ з`)/\(´ε`*)
夢や諸々‥不安になってる華恋ちゃんを安心させてあげてね(*^^*)
あともう一息♡ がんばれー!一吹さん。。。

華恋ちゃん御両親への御挨拶...潤くんの「俺も…」発言、かなりツボでした(笑)

2015/01/26 (Mon) 18:35 | REPLY |   

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