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夢恋城へ…ようこそ…

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すぐそばにある光~ケヴィン~19

Category - season2番外編
ゼンが国王との謁見を終えて帰路につくというので見送りに出た

本来ならリバティの運転手が空港まで送る

行きもそうだったからな

けれどふっと思いついて…

俺はとっさに運転手に言ってその送迎を代わって貰った

運転手はびっくりしていたが、そこは執事同士の深い打合せがあるからと丸め込んで納得させた

「それで…深い話と言うのは何でしょう?」

後部座席に座ったゼンは興味深そうにルームミラー越しに微笑んだ

ある程度察しはついているだろうに…

俺は一見裏表の無さそうに見えるゼンをチラッとだけ振り返った

「キース様のお妃選びの事です」

そう切り出した俺にゼンはふっと笑みを浮かべた

「それは直属の執事であるリュークの方がわかっていることでは?」

「わからないから…聞きたいんです。キース様が何を考えておいでなのか。瑠璃様を大切に思っているはずなのになぜお妃選びを繰り返すのか…理解できなくて」

「理解できないからキース様御本人に噛みついたと?」

…図星だ

本来なら見習い執事如きが次期国王である王子にくってかかるなど許される行為ではない

それは何十年と仕え続けた執事の中でもスチュワートと呼ばれる階級クラスにならないと主人と通常に会話などしてはならない

一方的に命令を聞くだけだ

ミッシェル城のゼンとリバティのアレックだけがその資格を持っている

本来リュークのような正執事でもない見習い執事は王子の目の触れるような表舞台には立てない

なのに俺はついキース王子と対等に意見を言ってしまう

本物のリュークが見たら卒倒するだろうな

「リュークはキース様のお立場をどこまで理解しているかな?」

どこまで?

「今の君を見ていると、王子と執事というよりは同じ王子同士の会話のように聞こえるのだが」

…す、鋭い

俺はいつの間にかキース王子と執事のリュークとしてではなく、時代は違うが同じリバティの王子ケヴィンとして食い下がっていた

厳密に言えば祖父と孫なのに、ここでは23と28の男同士で、更に俺の方が年上なんだ

それが周囲から見たらどれだけ生意気なんだか…

リューク、今から謝っておく

悪い…

「キース様は数年先には間違いなくリバティ王国の国王様になられる。わかっているだろうが、リバティの国王様は国の象徴とかではなく、政治経済においての最高責任者だ」

そんな事わかってる…

「つまり国民の生活はキース様の肩に全てかかってくる。そのキース様に多大な影響を与え、また、次世代に優秀な後継者を繋げる重要な役割を担うのがお妃様だ」

ゼンは出来の悪い生徒に言い含めるようにゆっくりと俺に言う

「国民が納得し、素直に祝福できるお妃様であることが望ましい」

それは…

好きという感情だけではだめだということか

「もちろん愛情深いお2人であることが国民も好意的に受け止めるだろうが…」

結局は釣り合う身分という肩書きが必要なのか

そんなに貴族ってヤツは偉いのかよ

おんなじ人間じゃねぇか

「まだまだ階級社会を推奨する人々もいる…それはキース様に近い人ほどそうだろう」

キース様に結婚を勧めに来る親戚や大臣達には公爵だの伯爵だのの余分なものがくっついている

瑠璃様にはそれがない…

それだけなのに奴らのカテゴリーから排除されてしまっている

「その壁を破るだけならキース様がわがままを通せば済む。けれど破らず越えようとされている…それが今、だと思う」

…わかんねぇ

それが貴族の姫との大量見合いかよ

「帰ったらキース様と瑠璃様のご様子を改めて見てみるといい。キース様は不器用なりにフォローされている筈だから」

そう言うとゼンは柔らかく微笑んだ

それは年の離れた長男が末っ子を見ているような…

何となくそう思った

拾われていきなり住民になった俺を受け入れて、色々教えてくれた村の年上の奴らをなぜか思い出した

未だに釈然としないが…

城に戻ったら今一度キース様と瑠璃様の様子を見てみよう

そう思っていたんだけど…

戻ったら大騒ぎになっていた

~つづく~
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