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2課の彼の恋~八千草瑛希~2

半年程前…

僕は公休で近所のお店にランチを食べに行った

まだオープンしたてで、支払いの時にオープン記念のくじを引いたら、大盛無料券が当たって

明日、香月ちゃんにあげたらきっと太陽のような満面の笑みで喜んでくれるだろうな~なんて思いながら歩いていた

大通りから外れて歩いてみると、平日の昼下がりで、車も少ない

自転車で通り過ぎる若いお母さんがたまにいるくらい

子供の笑い声がいっぱい聞こえてきたって思ったら、近くに幼稚園が見えた

いつもは駅から家まで直行するか、スーパーに寄るくらいで

こんな所に幼稚園があるなんて知らなかった

平和だなぁ~って思う

スズメの鳴く声とかあんまり意識した事ないし

遠くに聞こえるピアノのたどたどしい音も

布団をパンパン叩く音もいつの間にかシャットアウトしていたのかもしれない

平和が一番

…なんて思ったのも束の間だった

急に男の叫び声がして

女性や子供達の悲鳴が響いた

反射的に声の方に走り出す

現場は…幼稚園だった

若い男が何かを叫びながら一人の子供を捕まえて

手にナイフ?!

僕は2課に電話をいれながら走った

「子供を離してっ!」

保母さんだろうか

男の前に女性が立っていた

目を横にずらすと他の先生達は子供達を連れて園内に逃げ込んでいた

そっちは安全だろう

後は人質の子供と保母さん

僕は体勢を低くして幼稚園の入口に回り込んだ

男は何かわめいてる

幼稚園だから金品目的じゃないだろう

何にしろ子供を人質にするなんて許されることじゃない

恐怖で泣くことさえできなくなった子供は固まっている

「子供を返して!!人質なら私がなるから!!」

まだ若い保母さんが必死で男に言っている

おかげで僕の存在に気づかれないけど、彼女危ないな…

非番だから拳銃持ってないし

どうしようか

そう思っている間にも保母さんは少しずつ男に近づいていく

「人質なら私がなるって言ってるでしょ!未来ある子供を傷付けないで!傷付けるなら私にしてよ!私なんかどうなったっていいんだから!!」

ちょっと聞き捨てならない言葉だけど

僕は更に男の死角から近づく

「その子のために泣く人はいっぱいいるんだから傷付けちゃだめ!!私みたいに誰も泣く人がいない人を人質にすればいいの!その方が罪が軽くなるんだから!!」

…罪は一緒なんだけど

つっこんだり、お説教したり、説明は後にしてあげよう

彼女はどんどん男に詰め寄って行っちゃう

マズい!

男は後ずさりしながら大声を上げてナイフを子供に押し付けている

「刺すなら私を刺して!!」

保母さんが子供に手を伸ばす

男がナイフを振りかざした

危ない!!

僕は咄嗟に飛び出して彼女と子供を腕に掴んで転がった

上からナイフが来る!!

体の下に保母さんと子供を抱き寄せて身構えた

「おんどりゃぁ!!おとなしくせぇや!!」

「取り調べできる程度に抑えろ!筋肉バカ!」

聞き慣れた声が聞こえて

振り向く前にホッと安堵の溜め息が出た

男はあっという間に豊さんに羽交い締めにされ、一沙さんに手錠をかけられていた

「瑛希さんはMでしたか?刺されに行ったように見えましたけど」

「…瑛希はS…」

克之さんと修介さんが僕の元に駆けつけてくれた

「子供と女の子は無事か?」

「おーし!頑張ったねぇ!僕、強いぞぉ~」

お父さんのようなボスと
お母さんのような香月ちゃんが手を差し伸べてくれた

子供は香月ちゃんに抱っこされた途端にホッとしたのか思いっ切り泣き出した

「おっとっと!どこか痛い!?」

「瀬名さんはまだまだ母親になれませんね…」

「その前に相手…」

あたふたする香月ちゃんと全く手助けする気のない克之さんと修介さんに妙に安心しながら、僕は覆い被さっていた保母さんに目を移した

茶色っぽい長い髪がクリンクリンとしてツインテールで

くまさんのアップリケのエプロンが砂まみれになっていた

「もう大丈夫だよ」

僕が言うとまだ放心状態のまま目を丸くしていた

なんか…レッサーパンダみたいだなって思った

動画サイトで見たっけ

立ち上がるレッサーパンダ

あんな風にちょこんと立ったレッサーパンダがハイエナに向かって行ったんだ

どうしようもなく無謀…

そのレッサーパンダちゃんが、レッサーパンダちゃんらしくないセリフを言ったよね

まるで私は死んでもいいって言わんばかりに

ちゃんと話を聞いた方がいいかな…そう思った時

「先生~!」

「○○先生~!」

避難していた子供達が一斉に飛び出してきた

子供達は○○先生と呼ばれた彼女に我先にと抱きついた

「先生~凄い!強いね!」

「先生かっこいい!」

「助けてくれてありがとう!先生!」

次々と子供達が彼女に抱きついた

そんな中でちょっと背の大きな男の子が怒った顔で彼女に詰め寄った

「バカだろ○○!」

呼び捨て?

「お前、死んでもいいって言ったろ!代わりに刺せって言ったろ!そう言うのがバカなんだぞ!」

…僕の言いたいこと先に言われちゃった

彼女もキョトンとしている

「○○が死んだら誰も泣かないって誰が言ったんだよ!ぶっ飛ばしてやる!」

「あたし、○○先生が死んじゃったら泣くよ!悲しいもん!」

「僕も!」

「私もいっぱい泣く!」

「僕はたんぽぽ組みで一番泣くよ!」

「私は幼稚園で一番泣くもん!」

「俺は東京で一番泣くぞ!」

「私は日本一!」

「世界一だぞ!」

「宇宙一だもん!」

凄い規模だなぁ~

子供達の競争に彼女もいつの間にか笑顔になっていた

「ありがとう…ありがとー!」

一人ずつを抱きしめる彼女が本当にいじらしくって

ギュンって僕の中で鍵のかかった箱の中にあった《父性本能》が飛び出して来た感じだった

ひとしきり子供達を抱きしめたところで僕は声をかけた

「一応事情聴取っていうのをしなきゃいけないから一緒に来てくれる?」

そう言った僕に彼女はようやく存在に気付いてくれたみたいだった

「えっと…お巡りさん?」

「そうです~通りすがりのお巡りさんです」

おどけて見せると彼女はふんわりと笑った

「立てる?」

手を差し伸べた僕に彼女は困ったように首を振った

「…力が…」

「腰が抜けちゃったか」

怖い思いしたもんね

頑張ったレッサーパンダちゃん

「じゃあ、強制連行しまぁす」

僕はひょいっと彼女をお姫様抱っこした

「えっ…!きゃあ!何?!なにぃ~!?」

クレヨンで塗ったみたいに真っ赤になった彼女が手足をバタつかせた

気にせずスタスタ歩く僕の後ろから子供達の遠慮のない冷やかしの声が飛んだ

もちろん身内からも…

「瑛希が男やん…」

「逞しくみえるな」

「弟にチン…」

「天王寺さん!そのセリフ禁止!」

この時ばかりは冷やかしも気にせずに僕は彼女をパトカーまで抱いて歩いた


~つづく~
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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

2 Comments

chika  

一番最初にエンディングまで浮かんだのが瑛希君だったのです~

いきなりエンディングとか途中経過が浮かんで決まるから京橋さんはなかなか出てこないわねぇ(笑)

天王寺さんは誰とでも合いそうで合わないから意外と難しいわ!

修介の方がふんわり出てきてくれます( ´艸`)

ボスも迷走中~

2015/08/18 (Tue) 13:13 | REPLY |   

ちこりん  

トップバッターは、瑛希クンでしたか~♪
一沙か豊サンかと…
修介は、モフモフつながり???
ボスと豊サンは、いつの間にか一緒に居て、それが当たり前で…以外と香月ちゃんに突っ込まれて気付きそう(笑)
一期一会の二人は………、想像つかないですね…

それより瑛希クン、カピバラの次はレッサーパンダなのね~もしあったら次は、ラスカルかしら↑↑

皆、どんな出会いか、楽しみにしてます♪

2015/08/10 (Mon) 23:15 | REPLY |   

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