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2課の彼の恋~花井一沙~2

花井さんがメールを開くと京橋さんの言うとおり、『身辺調査』の文字が飛び込んできた

彼女の名前、年齢、住所、学歴、職業、家族、その第3親等までの細かな身辺調査

それ以外の友人関係、宗教、思想、犯罪の前歴や政治活動の有無…

「結婚しようと思ったらこんなに調べられるんやな」

「…すごい」

天王寺さんと浅野さんが唖然としている

「警察官の家族がカルト宗教に傾倒していたり、犯罪歴があってはなりませんからね…某党への支持もです」

京橋さんも苦笑しながら肩をすくめる

「アメリカはもっと人種や宗教絡みがうるさいですけどね」

瑛希君がニューヨークにいたままならもっと調べられちゃうんだ

「俺達だからその程度だと楽天的に考えろ。キャリア組の野村なら警視庁総力で根こそぎ調査されるぞ」

桐沢さんが言うと

「そうなんだよねぇ~」

と声がした

いつの間にか野村さんがいた

「おお?いつ涌いてきた?!」

「人をボウフラみたいに言わないでよ…」

相変わらずの上司2人はこの際放置した

「同じ警視庁っていう組織に属していても、キャリア組と公安と会計課は特に調査が厳しいんだよぉ~」

「よくよく存じております。ですからいくら一期一会の会とは言えキャリアの女性と公安と会計課の女性は除外してます」

「さ~すが京橋は抜け目がないねぇ」

ついでに一期一会の会2名も放置する

「そんなことより…エラい経歴ちゅうか、家系の女やんか。一沙知ってたんか?」

天王寺さんが画面を指さすと花井さんは小さく頷いた

つられて見てしまう

花井さんの彼女は…

国立の音楽大学を卒業し、プロのハープ奏者になっていた

父親はクラシックオーケストラの指揮者

母親はプロのヴァイオリ二スト

姉はプロのピアニスト

他に親戚一同もれなく楽器演奏のプロだ

チェロ、フルート、クラリネット、ヴィオラ、トランペット、コントラバス…オペラ歌手もいる

「見事に刑事の入る隙間はありませんね」

京橋さんがあまりにもストレートに言い放つ

「確かにそれに悩んだ時期もあった」

花井さんは溜め息をつきながら報告書を見つめる

でもでも!それを乗り越えて結婚しようとしてるんですよね?

「昨日、ちゃんと別れを告げてきた。ボスへの報告は付き合ってすぐだったからな…時差はある」

そんな!

昨日、あんなに仲良く手を繋いでいたじゃない!

「最後のデートだって決めていたから、笑って終わりたいだろう?」

そんなの変!

「…じゃあ嫌いじゃないんだ」

浅野さんがボソッと言った

お互いに好きで、でも住む世界が違うから別れちゃうの?

「このままだったら続けたかもしれないが…彼女はフランスに3年間留学するんだ」

花井さんの声は暗く沈んでいた

フランス…3年間…

遠くて、長い

私だったらどうするだろう

征司さんが3年間外国に行ってしまう

ついて行く?刑事を辞めて…

それとも待つ?待てる?

「惚れた女が夢を叶えようと羽根を広げた所を捕まえてかごに入れて手元に置く…なんてエゴを貫けるか」

花井さんの言葉に全員が黙った

「フランス…そんなに遠い?」

沈黙を破ったのは浅野さんだった

「彼女がかぐや姫でも諦めない…今は月だって行ける」

「ははは!せやな!修介の言うとおりやん!飛行機乗ればいいだけやないか」

天王寺さんが笑うと花井さんはキッと睨んだ

「そんな簡単にいくか!」

ごもっともです…

「だけどな花井」

桐沢さんがやんわりと間に入った

「別れる理由を距離のせいにするのは悔しくないか?」

「しかしボス…」

「距離のせいにして諦められるのなら、その程度の思いだったって事だぞ」

桐沢さんの言葉が重く響いた

「氷室がさ、クラシック詳しいんだよね。で、彼女の事聞いてみたら知ってたよ」

野村さんもいつもと変わらずゆっくり喋る

「それまで確かに上手い演奏者ではあったけれど、この数ヶ月で見違える程、音に深みが出るようになったって評判らしいね~ちょうどお前と付き合いだした頃なんじゃない?」

花井さんはポカンとしたまま野村さんを見上げた

「だから今回の留学の話が舞い込んだんじゃないかなぁ~」

野村さんの言うとおりだったら…

留学のきっかけを作ったのは花井さん自身だ

「花井と付き合って、恋をして、その幸せな気持ちや熱い思いが演奏にプラスになったのなら、彼女の為にも別れるべきじゃないんじゃないか?」

「野村にしちゃ正当な意見だな…」

桐沢さんは妙な所で感心をする

「恋愛マスターって呼んで~」

「却下だ」

「ちぇっ…」

2人の上司がふざける前で花井さんはじっと報告書を見つめていた


~つづく~
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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

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