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2課の彼の恋~花井一沙~3

花井さんは黙ったままパソコンの画面を見つめている

昨日、花井さんと彼女はとっても幸せそうだった

人混みでそっと手を繋いで微笑みあって楽しそうにお喋りしていた

あれが別れを決めた2人だったのかな

東京とフランス…

約13時間

半日もかかるんだ

そこからまだ移動するんだろうし

遠い

遠すぎる

遠距離恋愛を簡単に諦めるなって言っていいものだろうか

「無理にとは言わんが…後悔だけはするなよ」

桐沢さんはお父さんのような眼差しで微笑んだ

「それで、いつ彼女は行かれるのですか?」

「今日の午後だ」

「ええ~?!」

京橋さんの質問に答えた花井さんの言葉に全員が声をあげた

今日の午後?!

反射的に腕時計を見た

始業直後だから9時半

午後って何時?!

「ちゃんとさよなら言った?」

浅野さんが寂しそうに呟く

「ああ…ちゃんと昨日、最後に言ったぞ。それはケジメだからな」

花井さんはキチンとした人だ

別れも曖昧にはしないんだろう

「3年待ってくれないんですか?」

私は思わず口にしていた

「待たれたら、彼女の重荷になる」

「それは…花井さんの意見じゃないですか!」

「なんだと?」

花井さんがギロッと私を睨んだ

けれど止まらなかった

「重荷になるかならないかは彼女が決める事だし!待っててくれるって思ったら頑張れるかもしれないじゃないですか」

言ってて悲しくなってくる

『お前の重荷にはなりたくないから別れよう。それがお前のためだ』

なんて言われたら頷くしかない

『そんなことない!私は一沙がいなきゃダメなの!』

って言う子ならそもそも留学しない

花井さんのそばから離れない

それは今度は花井さんの重荷になるだろう

彼女の将来のためで、花井さんの重荷にならない方法が別れることなら…寂しすぎる

「ああもう!うじうじグジグジうっとおしいねん!」

天王寺さんが花井さんの胸倉を掴んだ

「何をするんだ!」

「だいたいやな!お前は3年間女無しで過ごせん欲求不満変態男か!」

「勝手に京橋扱いするな!」

「…場外で傷つけられるのもどうなんでしょう…」

京橋さんがボソッと呟く

「3年くらい我慢せぇ!アホ!」

「アホはお前だ!男と女を体の繋がりだけで判断するな!」

「…体以外に何が…んぐ!」

京橋さんの口を浅野さんが手で塞いだ

「重荷になるかならないかは今わかるもんちゃうやろ!1年位経って重かったら彼女から言ってくるわ!そしたら胸張って別れたれや!堂々と振られて来い!」

振られたらいくらでも飲みにつき合ってやる

天王寺さんはそう言って手を離した

手荒いけど、暖かい男の友情だ

「花井、今から有給取ってこい。貯まってて人事から文句言われてんだよ」

桐沢さんがのんびりと普通に言って笑った

目の前で部下がもめていたのに全く動じていない

「そうだよ~俺も管理不足って怒られちゃうし~ほら!」

野村さんはポケットから何かを出して花井さんに投げて渡した

慌てて受け取った花井さんの手の中でチャラン…と音がした

「俺、会議で最低でも10時までは帰れないんだよね~それまでに返してくれたらいいし」

「野村さん…ボス…」

花井さんは手の中の車のキーを見つめて握りしめた

「…行ってきます!」

花井さんは上着を掴むと部屋を飛び出して行った

「青春だねぇ~」

「お節介すぎたかもな」

「あいつなら間違わないよ~遠回りしてもさ」

「だな」

上司2人は穏やかに笑いながら缶コーヒーに手を伸ばした

「香月ちゃん、目がうるうるしてるよ」

瑛希君がスニッカーズでおでこをコツンとつついた

だって…だって!

いいなぁ!男同士って!

「瀬名もオトコマエだった」

浅野さんがアルフォートのミルクチョコを1箱くれた

「えさを与えないのではなかったのですか?」

京橋さんも呆れながら缶コーヒーを渡してくれた

「3年の間に彼女作ったる!俺の方が先に結婚したるんやぁぁぁ!」

天王寺さんが窓の外に向かって吠えた

水槽の中のカエル達がビックリして一斉に跳ねた


~つづく~

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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

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