FC2ブログ

Welcome to my blog

夢恋城へ…ようこそ…

Article page

2課の彼の恋~天王寺豊~4

アイツと過ごす時間が少しずつ増えていった

時間があれば店に行って飯を食った

東京ドームまで阪神戦を見に行って大騒ぎした

休みが合えばドライブした

ベタやけど…

花火大会もその一つやった

まさか瀬名に見られたとは思わんかったけど…

結局、野村さんが全員引き連れて店に来るという話は夕方に起きた強盗事件のおかげで延期になった

…ちょっとホッとした

まだ早いねん

まだ彼女やと言い切っていいんやろうかって思ってた

手ぇ繫いだだけやし…

男はコリゴリやって言うアイツの心を無理やりこじ開けたり、自分勝手な薬を塗りつけたりしたくなかった

臆病やろか…俺

らしくないわぁ

自分の中でジレンマに悩む

今はいわゆる《友達以上恋人未満》とか言うヤツや

俺はそれ以上を望んでる

焦ったらあかん

考えれば考えるほど自分の職業とも向き合わなあかん

忙しいと、とことん忙しい

すれ違いの生活なんて当たり前や

刑事の仕事をどれだけ刑事以外の人間が理解してくれるんやろうか

俺はこの先、家庭を持っても守れるんやろうか

色んな事が頭の中をぐるぐる回りよる

厄介なもんや…

そんなある日

アイツから町内で野球大会があるから来ないかと誘われた

ほんまに下町やなぁ

都会の東京と思えんご近所つき合いや

思わず笑って承諾した

その日は夜勤明けで昼で帰れたから途中から参加した

アイツのチームは隣の町内に苦戦をしていた

「あっちのチーム、ズルイねん!元社会人野球の経験者がいんねん」

ふくれっ面のアイツが妙に可愛く思える

「社会人野球言うてもピンキリやで。現役のプロ野球選手やったらビビってやってもいいけどな」

「ほんなら豊君、ビシッと抑えてや」

「まかせとき!」

俺は腕を巻くってマウンドに上がった

丁度バッターはその元社会人野球選手とかいうオッサンや

オッサンやんけ!

だいぶ《元》やな

「しまっていこ~!」

俺が外野を向いて声を出すと、全員から返事が返ってきた

もちろんセカンドのアイツからもや

キャッチャーに向き直る

セットポジションに入ると、アイツが腰を落として身構えるのが見えた

その時感じたんや

ああ…コイツに背中預けられるって

高校の部活でも感じた

2課でも感じた

背中を預けられる安心感

せやけどそれは団体での事や

もちろんバラになっても信頼はしてる

一沙にも脩介にも、克之にも、瑛希にも、瀬名にも…当然ボスもや

けどアイツは単体で安心できるんやと、この時マウンドで感じた

それは俺が投げた球を、元社会人野球のオッサンが打ちやがって

レフトに抜けた!と思った瞬間、アイツが飛びついてキャッチした時に確信した

そしてすぐにファーストに送球してアウト!

アイツは現役そのままやった!

「おっしゃ~!ナイスキャッチ!」

俺の声にアイツは照れくさそうに、でも自信満々に笑って親指を立てやがった

それでこそなにわ女や!

そこからは俺の好投とチームのバッティング爆発で隣町チームに圧勝した

「豊君凄かったわ!まだまだプロ目指せるんちゃう?」

まだ興奮気味のアイツとゆっくりと川べりを歩く

「せやな!秋のドラフト会議楽しみやん!」

「巨人から指名されたらどないするん?」

「アホか!誰が阪神を敵に回すねん!ジャイアンツの指名なんてすぐに蹴ったるわ!」

しょうもない事で笑いあう

ふとした瞬間に手が触れて

そのまま当たり前のように手を繫いで歩いた

「なぁ○○…」

俺は夕陽を眩しいのにずっと見つめていた

「なに?」

アイツは手を繫いだまま俺を見上げた

いつしか恋人つなぎ…っていうのになっていた

「今日な…お前がセカンドにいてくれてめっちゃ安心できたわ」

「ほんまに?」

「おう…背中預けられるのってええなあって思った」

「そうなん?嬉しいな」

「そやけど、キャッチャーに転向せぇへんか?」

「なんで?」

「野球はセカンドでいいねん…その、プライベートでは俺のキャッチャーにならへんかなぁ~って思ったんや」

「プライベートのキャッチャー…」

わかるやろ

俺は立ち止まってアイツに向き直った

アイツの顔が夕陽に染まってオレンジ色に照らされた

「俺の…恋女房にならへんか?」

「……」

唐突やったか

焦り過ぎか?

正式に付き合おうと言うのが先やったか?

もう少し待った方がよかったか?

「……私でいいの?」

アイツはオレンジ色の顔を真っ赤に染めて俺を見上げた

「お前しかあかんねん」

「これはドラフトやの?」

「せやな…単独1位指名や」

「2位はいない?」

「おるかい!俺が外れ1位を作る男や思ってんのか」

「だって…」

「俺はお前を傷つけた男に感謝せなあかん。おかげでお前に会えたんやから…」

「アホ…楽観的すぎや」

「大阪の男は前向きやねん!どうでもいいけどはよ返事くれや!生殺しにすんな」

「…私」

「おう」

「キャッチャー…転向する」

「よっしゃ!!!」

俺は彼女を抱き上げた

「何すんの!」

「胴上げや!」

「無茶や!」

もがくアイツを俺は何度も抱きしめた

大人しくなるまでずっと…

そしてその夜

初めて彼女を抱いた

「ゆ、豊く…っ」

「○○…」

お互いに名前を呼ぶ

ここにおるのに

まだ確かめるように何度も呼んで、何度も抱きしめあって、何度もキスをした

お前の中にある悪い男のイメージは全部消してやる

お前の中の男は俺だけにしてやる

いい男だけや

な…?

耳たぶを噛むと甘い喘ぎ声と、口の中で小さなピアスが転がった

もっと大きなハートのピアス買ったる…

俺の愛情を詰め込んだハートやからな

夜勤明けで草野球した後やのに

俺は朝までアイツを寝かせへんかった…

体が持たないとアイツが拗ねて笑った

結婚したら寝不足必至やで…

明日出勤したらボスに報告せな

それから…

アイツらを店に呼んでいいか?

紹介すんねん

俺の嫁さんやってな

ええやろ…?

コクリとうなずくアイツを抱きしめて俺はようやく眠った


…超ド級のドタバタを予想しながら…


🍀END🍀
拍手とブログランキングの両方をポチッと押して頂けると嬉しいです󾬏


Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

0 Comments

Post a comment