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2課の彼の恋~桐沢洋~3

墓の前で再会した俺達はたまに連絡しあっていたせいか、自然と慣れ親しんだようにその後食事に行くことにした

『桐沢さんが直帰?!』

2課に直帰する連絡を入れると、瀬名の声に電話の向こうがざわついているのがわかった

「何か事件が起きているか?」

『何かって…ワーカーホリックの桐沢さんが直帰する事が事件です!』

…俺はそんなにワーカーホリックだろうか

「たい焼き屋が休みだったんだから構わないだろ?」

『その件は次回リベンジでお願いします!お疲れさまです!』

瀬名はまるで敬礼しているのがわかるかのように勢いよく挨拶を返す

本当に元気な奴だ

「よかったんですか?」

電話を切ると彼女は少し心配そうに俺を見上げた

「俺がいなくても十二分に優秀な連中が揃っているからな。花井と天王寺は覚えているか?」

「えっと…エリートっぽい冷静な人と、関西弁の熱い人ですね」

「あれから更に優秀な部下が増えた。動物園と言われてるけどな」

「動物園…?」

たわいない話をしながら都心へと戻る

どこかの店に入ろうと思うのだが、やたらと視線を感じる

時々シャッター音が聞こえる

「そうか…」

彼女はテレビに出ているから多くの人間に面が割れている

…いや、業界用語だな

顔が知られている

「…俺の家で飯食うか?」

「えっ…?」

キョトンとする彼女を見て、言い過ぎだったかと気付いた

まるでナンパしてるみたいじゃねぇか

けれど彼女は嬉しそうに頷いた

家の冷蔵庫を見て適当に作った

あいつも手伝うと言って2人でキッチンに並んだ

「よかった…桐沢さんの家で」

作った料理を摘まみながら彼女ははにかみながら笑った

「本当によかったのか?」

無防備過ぎねぇかと気をもむ

普段も簡単に男の誘いに軽く乗ってやしないか不安になる

テレビ業界はやたら軽いイメージを持っちまう

「桐沢さん、お父さんみたい」

…よく言われる

彼女は屈託なく笑った

「私は付き合いが悪いって有名なんです。夕方のニュース終わったらデスクに行って残務処理したら帰っちゃう」

「飲みに行くのにちょうどいい時間なのにな」

「局の人と飲みに行って愚痴や将来やりたい事とか言おうものならすぐに広まっちゃうんです。あることないこと付いて…」

同じ職場に腹割って喋れる相手がいないって事か

それは辛いだろう

同じ職場だからこそ共有できる悩みも夢もあるだろうに

2課を思うと、厳しい現実や苦しい立場、悔しい結末に耐えていけるのは同じ気持ちを共有できる仲間がいるからだ

「俺でよければいくらでも聞くぞ…ぶちまけてみないか?」

俺がそう言うといつも強気な瞳がやんわりと緩んだ気がした

それから彼女は時々仕事帰りに俺の家に寄って飯を作っておいてくれたり、俺も時間が合えば一緒に飯を食ったりする日々が続いた

「それってさぁ~合鍵も渡してるって事?」

モンステで飲んでいる時に野村が目を丸くして身を乗り出した

「まぁ…そういうこった」

「なのに付き合っていないって?」

「部屋で飯食って話してるだけだ。2課の連中と変わんねぇだろ」

「……」

野村はあんぐりと口を開けっ放しになる

同じカウンターに並ぶ氷室がふっと笑う

「基本的に桐沢と野村では脳と下半身の接続回路が違うのだろう」

「男なんて基本一緒だと思うけどぉ」

「少なくとも俺とお前は違う」

相変わらずの口戦になる

「もう一回聞くけどさぁ~マジで手を出してない?」

「おう」

「即答だな」

突っ伏す野村と口角を上げてグラスに口をつける氷室に挟まれて俺は思う

…俺だって男なんだが


~つづく~


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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

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