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2課の彼の恋~野村忠信~5

季節がゆるりと移り変わっていく

俺の日常は相変わらずで…

氷室も桐沢もいわゆるリア充ってやつ?

ちゃんと一歩ずつ育んで進んでいるらしい

この前、休日の氷室と香月ちゃんにばったりあった

その時のいつもと違って女の子らしい姿をしている香月ちゃんの左手の薬指に光る指輪を見て

やっぱり浮き上がる羨望と自己嫌悪

焦ってるつもりは全然ないけど

心を図案化したら某ネズミキャラが持って走る穴あきチーズみたいだろうな

深い溜息を上書きするような事件が起きたのはそんな頃だった

面倒だな…

俺ですらそう思うんだから露骨に嫌な顔をする連中が頭を過ぎる

その数は結構な数かも

俺は重い腰を上げてまずは一番嵐が吹き荒れているであろう部署に向かった

「どうしてですか!?」

予想どおりの声が廊下にも響いていた

「子供が2人も亡くなっているんですよっ!なのに捜査中止ってどういう事ですかっ!」

バンっ!

…机が叩かれたね
いや、蹴ったかも

廊下を歩く署員達もさすがに通り過ぎきれず立ち止まる

「ボス!落ち着いて!」

「手ぇ出したらだめですって!」

「ボス!我慢っす!」

○○ちゃんを部下達が必死で止めている

「こんな理不尽な事されてなにが警察官よっ!」

「○○!いい加減にしろ!これは上の命令なんだ」

怯えて固まる交通捜査課長と

逃げ腰ながら必死に上司らしさを出そうと腹、じゃない 胸を反り出す交通部長

一触即発の睨み合いが続いている

熱いね…さすが女桐沢だ

「上!上上上!そんなに上にゴマすって出世したいんですか!幼い子供を見殺しにして出世して何が楽しいんですか!何しに警察に入庁したんですかっ!」

「○○っ…!」

部長の顔がゆでだこみたいに真っ赤に膨れ上がる

あれじゃあ血管切れて公務災害扱いにされる

「はいはい!そこまで!上の登場ですよ」

俺はパンパンっと手を叩いて○○と部長課長の間に入った

「の、野村さんっ…」

目を丸くする○○ちゃんと

酸欠の鯉みたいに口をパクパクするだけの部長

「のののの…野村副参事官っ!」

部長の声が合図だったように課長も、それから○○ちゃんを押さえていたひき逃げ班の連中も弾かれたように直立不動になって敬礼をした

「○○、これは部長の言うとおり捜査中止になった」

「どうして!?幼い子供が犠牲になってるのに無かった事にするんですか!理由を教えてください!犯人は身内の上の人なんですか!」

「それは例えそうであっても言えないね」

俺は努めて冷静に彼女に言い放った

「…っ!」

彼女はキッと俺を睨んだ

「野村さんだけは…違うキャリアだと思ったのに!」

燃え盛る瞳の中はうっすら潤んでいた

「見損ないました!」

彼女の手が上がるのがスローモーションのように見えた

パシッ!!

容赦の無い平手は…

俺じゃなくて

間に割り込んだ丸山が受けて吹っ飛んだ

「丸ちゃんっ!」

「ダメっす!ボスが俺のボスじゃ無くなるのは嫌っす!」

真っ赤な頬に手を当てて机まで吹っ飛んだ丸山は必死に○○を見上げた

「ボスは上司殴ってクビになるような事はダメっす!偉くなってずっとボスでいてくれないとダメっす!」

丸山は必死で俺の前まで這いずってきて両手を広げた

「…馬鹿だね。相変わらず…」

「ういっす!」

○○は丸山の真っ赤になった頬をひと撫でして、頭をぐしゃぐしゃっと撫でた

それからコツンと頭を叩くと丸山は満面の笑みを浮かべた

「○○っ!お前は副参事官になんて事をっ!」

部長の血管がそろそろ限界…

「そうだね…お説教は俺の部屋でじっくりしようか」

俺は真面目な表情のまま○○を見据えた

さすがに血の気が引いている

「しばらく○○警部補は預かるよ。それから命令通りこの件は交通課は手を引くように」

俺がそう言うと部長と課長は窒息しそうなくらい息を止めて敬礼をした

○○は俺が顎で示すとキッと唇をかみしめたままついてきた

「ボスっ!」

丸山達の声にちょとだけ振り返って微笑んで手を上げた

エレベーターが止まったのは俺の個室のある階ではなく…

「どちらに行かれるんですか…」

訝しげに問う○○に俺は黙って歩き続けた

怒ってる…と思っているのだろう

○○はそれ以上何も言わなかった

「いい部下を持った…いや、育てたね」

俺が振り返らず言うと、ピタッと足音が止まった

「この広い警視庁の中で自分の上司を庇える部下が何人いるんだろうね」

俺は思う

人間誰しも自分が一番可愛い

それを差し置いて何かができる人間が何人いる?

ふと、部下を庇って殉職したミナコーを思う

殉職はしないにこしたことはない

けれど大切な人は守りたい

ミナコーは大切な部下を守ったけど最愛の知美ちゃんを独りぼっちにさせた

人生最大の罪だぞ…

「○○のおかげで丸山も他の部下もいい刑事人生が送れると思うよ。それは副参事官としてお礼を言わないとね」

振り返ると○○は泣いていいのか怒っていいのか喜んでいいのか

ずいぶんと複雑な顔をしていた

ようやく目的地に着いた

「…ここは」

○○が入口で固まる

そう、ここは君が来たがっていた



特命2課だよ



~つづく~
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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

1 Comments

K  

自分で解決したかったですよね(--;)
でも二課が解決してくれるはず。

交通課は手を引く『交通課は』ですからね(^^)
これで野村さんが裏表の顔があることが分かるのかな。

2015/09/06 (Sun) 22:16 | REPLY |   

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