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Un cigno e un filo rosso~アルタリア国王~1

ちょっと遅い冬季休暇を取れたのはもう春も近い頃

なにが冬季休暇だっていうのさ!

公務が多すぎだよ!

俺は別荘のあるアルタリア領土の小さな島に来ていた

父上はせっかくの休みなのだからパーッと遊ばんのかとびっくりしていたが、たまにはいいだろうとこの小さな島に来た

だってアルタリアは年中お祭り騒ぎな国なのだから、たまには息抜きしたいでしょ

いくら18の遊び盛りとはいえさ

親友のリバティのジェームス王子にも不思議がられたけど、俺だってのんびりしたい時はあるんだ

王子が王子でいる事に疲れただなんて…うかうか言えないしね

山と海と湖と遺跡と…そんなものくらいしかない小さな島は空気が綺麗だから療養中の人が長期滞在するって聞いていた

だから…

彼女に出逢った


湖のほとりにそっと立っていた彼女はまるで湖から上がってきた人魚みたいだった

別に足が魚だったとか
胸が貝殻だけで覆われてたとかそんなベタなものじゃなくて

…雰囲気がね

そう思ったんだ

引き寄せられるようにそばに行くと

俺が踏んでしまった小枝の折れる音で彼女は振り返った

茶色のまんまるの瞳

人魚が今度は子猫になった

可愛い以外の表現があるなら教えて欲しい

俺は一瞬で魅せられた

そのまんまる子猫の瞳が俺を見るなり揺れた

「あの…」

うん、声も可愛い…

「あそこ…」

彼女は湖の畔(ほとり)を指さした

俺は首を傾げながら近づくと

ようやく彼女が言わんとするところがわかった

小さく波打つ湖畔

そこに白い物体が横たわっていた

…鳥、かな

死んでる?

立ちすくむ彼女を追い抜いて近寄ると、それは大きな白鳥だった

…生きていた

「羽根をケガしてるね」

おそらく野良犬とか、タヌキとか

野生の動物に襲われたのだろう

真っ白な羽根が乱れて、赤く血で染まっていた

「…大丈夫?」

俺の後ろから彼女がそっとのぞき込む

白鳥は力無く、がぁ…と鳴いた

「このままじゃ死んじゃう…」

泣きそうな彼女の声に俺の男としての責任感のスイッチがパチンと音を立てて入った

…単純って自分でも思う

「とりあえずここに置いておいたら間違いなく死んじゃうね」

「どうしよう…連れて帰れない…」

彼女の瞳にみるみるうちに涙盛り上がってくる

まぁ、普通の家なら白鳥を抱えて帰って来たらびっくりするよね

それに野生の動物にどんな雑菌があるかわからないし

見たところ《静養》じゃなくて《療養》でここにいるように思えた

俺んちなら…

執事に怒られるだけで済むね

はい、決定

「大丈夫だよ。俺が連れて帰って医者に診せるよ」

「本当?」

「本当!初対面の子に嘘つかないよ」

にっと笑うと彼女は涙を引っ込めてひまわりみたいに笑ってくれた

人魚だったり、子猫だったり、ひまわりだったり…

正体不明なミステリアスな子だね

「明日、またここにこれる?ちゃんと報告するよ」

俺は白鳥をよっこいしょと抱き上げて彼女を振り返った

「大丈夫!来れます!」

「OK~♪」

「あの…私、ルイーザ。貴方は?」

「俺は…」

アルタリアの王子ってバレたくないって咄嗟に思った

「ギル…だよ」

本当はギルベルトだけど

愛称だし

嘘じゃないし

「じゃあ、ギルお願い」

「まかせとけって」

そう言って彼女と別れた

もちろん、執事にはずぅぅっ~と文句言われたけど、ちゃんと獣医に診せた

見た目の割にはケガは浅かったみたいだ

それを早速、翌日彼女に報告した

「ありがとう!」

ルイーザは今日もひまわりみたいな笑顔で微笑んでくれた

可愛いなぁ…

俺の心は2回目にして真夏のソフトクリームみたいに溶け始めている

俺達は昨日出逢った湖畔で地面に座って話しに夢中になった

なんだか話しが尽きない

すっかり王子だって忘れてる俺

そんな話しなくたってどんどん話題が出てくるんだ

不思議だね

彼女がころころと笑うと、もっと頑張って喋っちゃう

「ギルって面白い~!」

やったね!褒められた

「ねぇギル、あの白鳥さんの名前付けない?」

「そうだね~なんにしようか?」

2人でいろいろ候補を出していく

けどなかなか決まらない

「あの白鳥はルイーザが見つけなかったら死んでたし」

「ギルがいなくても死んじゃってた」

「それに俺達が出逢って、話して、また次の日に逢えるなんて、これも奇跡だね」

奇跡って言う意味で…

「《アルバトロス》って知ってる?」

「アルバトロス?」

女の子は知らないかなぁ

ゴルフ用語でね

えっと…

「3つ打ってOKのコースを1回で入れちゃうのがホールインワンね」

「うん」

「これは距離が短いから結構出やすいんだよ」

「ギルはあるの?」

「…ない」

そんなに得意じゃないんだ

いっつもジェームスに負ける

「でね、6つ打って入ればOKの長いコースを2つで入れるのってホールインワンより難しいんだよ」

だってどっちも長距離打たなきゃいけない

しかも2打目はティーアップ無しの直接地面から

「だから奇跡なんだよ」

「ふ~ん…で?白鳥さんの名前と関係あるの?」

「そう!奇跡って意味でアルバトロス。だからその名前にしない?」

「白鳥さん、アルバトロス?じゃあアルでいいね」

「そうだね~アルにしようか」

こうして俺達が助けた白鳥はアルバトロス、通称アルって名前になった


~つづく~

※※Un cigno e un filo rossoはイタリア語で《白鳥と赤い糸》です
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Category - 番外編☆国王編☆

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