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夢恋城へ…ようこそ…

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scandal~桐沢洋~1

「今日の主なニュースをお伝えいたしました。それではまた明日お会いいたしましょう」

いつもの言葉を添えて一礼をする

エンディングの音楽が流れてカメラがゆっくりと私からフェイドアウトする

「…はい!OKです!」

指を折ってカウントしていたADさんの声がスタジオに響いて

張り詰めていた空気がふわっと溶ける

私はこの瞬間が好きだ

「お疲れさま~!」

「お疲れッス!」

スタジオのあちこちから声がかかる

ニュースは思い通りにいかない

何日もかけて取材したものも、大きな事故や事件が起これば瞬時に飛んでしまう

平和で穏やかなニュースが続く時もあるし

先日のように何十人も亡くなったトンネル事故の場合もある

それをみんなで汗水垂らして取材して

時間に追われて編集して

そして最後に私にバトンが渡される

みんなの努力は無駄にできない

心を込めて言葉で伝える

それがニュースキャスターという私のお仕事

毎日毎日が充実していて私はこの仕事が好き

「お疲れ~詩織ちゃん!今から一杯どう?」

オンエア後の反省会に向かう私にディレクターが声を掛けてくる

これは嫌…

「だよね~」

私が返事を返す前に肩を竦められた

私の付き合いの悪さはみんなに知れ渡っている

本当は食事に行ったり、飲みに行ったり、カラオケに行ったり

コミュニケーションを取るべきなんだろうけど

入社したての頃は頑張ってしたんだけど…

私の言葉に勝手に尾ひれがついて一人歩きしてしまう

いつの間にか言ったとされる私が全く蚊帳の外…なんて当たり前

それを愚痴れば

あの子は細かい事を気にするって言われる

私の小さな言葉がモンスターに成長して人も自分も傷つけるくらいなら寡黙を通したい

私は…洋さんがいればそれでいい

デスクに置いておいたスマホを取り出して暗証番号を入れると

洋さんからLINEが届いていた

ついこの間、一生懸命説明してLINEデビューしてもらったの

やり始めたら便利だって喜んでいた

『LINEのグループとかいう奴を天王寺が作って、入れって言うんだけどさっぱり意味がわからなくてよ』

洋さんはゆっくりと焼酎を飲みながら苦笑していたっけ

『瀬名にスマホ渡してやってもらった。《チームはみだし》とかいうグループ名で2課の連中だけと会話できるんだってな』

洋さんは新しい事を覚えて嬉しそうだった

『これが水瀬が作った《美女と野獣の同期会》だろ?水瀬と野村と俺と藤宮だな。氷室には断られた』

『氷室は坂巻が作った《医学を語っちゃうよぉ~会》とかに強制的に入れられて…俺と鑑識の木村も入れられた。まぁ、仕事の情報が4人で共有できるからいいよな』

洋さんは私に何もかもオープンにして喋ってくれる

『俺がスマホにしたってどうしてみんなにわかるんだ?あちこちから連絡が来るんだが…』

大きな手でスマホを持って何度も首を傾げる洋さんが可愛くって

私なりに説明してるけどわかってくれたかしら

見れば色んなグループができていて、本人もわからないまま入っているみたい

『阪神を優勝させるで!』
『大盛特盛情報交換会』
『一期一会を楽しもう(≧∇≦)b』
『もふもふ大好き…』
『クラシック愛好会』
『あなたはSですか?Mですか?』
『漫画オタク集まれ~』

「…いります?」

「あいつら勝手に入れやがったなっ!消してくれ!本人達には明日断っておくからよ」

洋さんに言われてクスクス笑いながら1つずつ退会していく

こんなに勝手に入れられて…スマホをみんなに渡してるのかしら

だったら私と洋さんのやり取りも…

急に顔が熱くなった

「それは大丈夫だ。あいつら、ちゃんとわきまえてるからな」

揺るがない信頼があるのね

部下を信じて疑わない

みんなから慕われる明るい性格

私とは正反対だなって思う

「詩織とのやり取りを見られたら…天王寺が痒いって大騒ぎしてすぐにわかる…」

なぜか洋さんまで赤くなってた

そんな光景を思い出しながら、洋さんとのLINEを開いた

『ようやく北陸での会議が終わった。他県の課長連中は飲みに行きたいらしいからちょっとだけ付き合ったら東京に戻る。久しぶりに詩織に会いたいしな』

…ちゃんと私の心を掴んでいてくれる

『北陸の土産を持って帰るから楽しみに待ってろ』

そんな言葉に顔が緩みそうになるのを抑えて

『はい!待ってます』

とだけ返した

今夜洋さんに会える…

それだけで胸がギュッとなる

ああ私…恋してる

そんな幸せをかみしめていた時…

報道部長が私を呼んだ


~つづく~
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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

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