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scandal~桐沢洋~2

部長は私を呼ぶとちょっと困ったように眉をひそめた

何か今日の放送で失敗があったかしら

緊張して嫌な汗が滲んだ

「生放送が終わったばかりで悪いね」

そう言いながら部長は視聴率表を出す

「君にキャスターが替わってから視聴率が良くなってきてるよ。特に中高年層、つまりは君の親世代からの支持が高い。息子の嫁にしたい有名人とかのアンケートにも名前が上がっていたしね」

「…ありがとうございます」

部長の真意がわからなくて心の中で首を傾げる

「だから、これはどうかと思って聞きたいんだが…」

次に部長は派手な表紙の写真週刊誌を取り出した

「明日発売のものだ。出版社が先に持ってきた」

大きく溜息がつかれた

何かあった?

あったにしても通常は前もって連絡があるはず

製本したものを前日に持って来るなんて…変更は利かないって事

ページが開かれると

そこには大きく私の名前が書かれてあった

私の名前と…

《舞野アナウンサー》の名前

舞野アナウンサーって…

他局の看板アナウンサーだ

報道もバラエティー番組もこなす30代前半のベテランのアナウンサーで…さわやかなルックスと気さくなキャラクターで『好きなアナウンサー』ランキングの1位にずっといる

その舞野アナと私?

写真には風景はぼかしてあるけれど、《洋さんのマンション》に入る私と

朝、出てくる私

それから写真右下にある時刻を見ると

私が洋さんのマンションに入った数時間後に舞野アナが同じエントランスを通っている

そして私が出た数時間後に舞野アナが出ている

『人気アナウンサー同士の熱愛発覚!局の壁に阻まれながらのまるでロミオとジュリエット!』







「あの…」

全く身に覚えがない

「舞野アナウンサーはここにお住まいなんでしょうか?」

「何?」

私の質問に部長は目を向いた

「…住んでいるから君は訪ねたんじゃないのか?」

「いえ!全く面識はありません。有名な方なので画面を通しては存じていますけれど…直接お会いしたこともありません」

「…そうなのか?」

「はい…」

まず他局のアナウンサーと遭遇する事は皆無だ

退職してフリーになればどの局にでも出入りできるけれど、一社員であるうちはよっぽどの特番で集められるか

共通の友人を通してお店で会うか…しかない

それもどちらかがフリーじゃないと問題になってしまう

どちらも局アナである私と舞野アナが…接点がない

「このマンションは君の家か?」

「いえ…」

どう言えばいいのかしら

彼氏の…って言っていいのかな

「ならしばらくは寄らないようにしてくれ。今後の事は向こうサイドとも打ち合わせて決めよう」

どう言おうか悩んでいる間に部長は言い切ってしまった

今夜洋さんが帰って来るのに…

さっきまでの幸せいっぱいだった気持ちが急速にしぼんでしまう

私はその後の反省会も上の空のまま、自宅に帰った

『ごめんなさい。今日は洋さんの部屋に行けなくなっちゃった』

重い気分のままLINEを送る

細かい事件が続いて、ずっと忙しくって

北陸への泊まり掛けの出張も入っていたからかなりハードに仕事を詰め込んでいたみたい

だから洋さんの家に行っておかずの作り置きをしたり、お掃除したりするだけで

しばらく会えていなかった

ようやく会えると思ったのに…

すぐに既読にならない画面をずっと見つめて、大きなため息をついた

暗い気分のままお風呂から上がると、スマホの着信音がなった

洋さんだ!

「も、もしもし!」

慌てすぎ!

『おう、元気か?』

「元気…です」

『ならよかった!来れないっていうから風邪でもひいたかと思ったぞ』

そう言う声が泣けそうなくらい優しい

『都合が悪くないなら顔だけ見に…行っていいか?』

ちょっと照れたような洋さんの言葉に更に胸が熱くなる

「はいっ…!大丈夫です!私も…会いたい」

『よかった…俺もだ』

涙でつけたばかりのテレビ画面が滲む

ちょうど舞野アナがニュースを読んでいた

「洋さん今どこ?」

『実は…お前のマンションの前だ』

「えっ!?」

慌ててカーテンを開けようと思って、ここからが玄関ホールが見えないって気がつく

『開けてくれるか?』

同時にチャイムが鳴って

私はすぐにオートロックを外した


~つづく~
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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

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