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scandal~桐沢洋~8

【洋’s eye】

北陸での会議も終わり、後は東京に帰るだけだ

2課の連中への土産も、詩織への土産も買ったし、真っ直ぐ帰るだけなんだが…

実は行きたい場所があった

まだ詩織と付き合う前…

それでも俺は公休日などで夕方に家に居る時は自然とあいつの出ているニュース番組をつけるようになっていた

何年も会っていない、メールでのやりとりしかない被害者の家族でしかなかった彼女が

それでも元気でいるのかと気になってチャンネルを合わせていた

ある日、ニュースとは違う地方の特産を紹介するようなコーナーだったか

北陸を特集した事があった

通常の海産物や、金箔とかといったものではなく

北陸に住む職人に光を当てたものだったと思う

その時に、とある彫金職人を取材していた

手作業で一つ一つ細かい作業でアクセサリーを作る

そんな頑固そうな親父…になりそうな若い男が黙々と指輪を作っていた

どことなくその職人気質が浅野や氷室を思い起こさせたから記憶に残りやすかったんだろう

その様子をモニターで見ていた詩織が珍しく表情を崩して見入っていた

「すごい…ですね!こんな細かい細工の指輪を初めて見ました!」

明らかに興味を持った様子が印象深かった

あの職人の指輪を詩織に買ってやろう…

北陸への出張が決まった時からそう決めていた

だから会議が終わった後、俺はあちこちからかかる飲み会の誘いを断って、その職人の元に向かった

『ようやく北陸での会議が終わった。他県の課長連中は飲みに行きたいらしいからちょっとだけ付き合ったら東京に戻る。久しぶりに詩織に会いたいしな』

その移動中にLINEとやらを送る

飲みに行くのは嘘だが…遅くなる言い訳には丁度いい

一刻も早く詩織に会いたかったが…

今しかなかった

サプライズで驚かせてやりたいと子供じみた思いだが…

詩織が喜ぶ顔が見たくて俺はその工房へ向かった

ようやくあいつに似合いそうな華奢で繊細な指輪を手にして北陸新幹線に乗り込んだ

そして東京に着く寸前に詩織からLINEにメッセージが入っていたことに初めて気がついた

『ごめんなさい。今日、洋さんのおうちに行けなくなっちゃった』

何かあったか?

いや、たまには仕事仲間と食事ぐらい行くだろう

少しの失望感を大人の理性だと言い聞かせて封じ込める

ポケットの中の指輪が急に重たく感じた


~つづく~
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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

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