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夢恋城へ…ようこそ…

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それぞれの年明け~瀬名香月~

じゃんけんに勝ったおかげで年末年始はお休みになった

何年ぶりの平和な年の暮れなんだろう!

桐沢さんには悪いけど

それに年内にやらかした数々の失敗を少しでも帳消しにしたかったら自ら進んで年末年始働けば~?と野村さんが1課に言ったとか言わないとか

だから2課は宿直が1人でいいのだ

「お雑煮!おせち!クリスマスケーキ!チキンの丸焼き!七面鳥!お屠蘇にシャンパン~♪みんなまとめちゃおう!」

「…どこから突っ込んでいいんだ?」

超脳天気にはしゃぐ私を呆れながら隣を歩く征司さんが見下ろす

今日は今から年末の買い出しなのだ

「何かツッコミどころがあります?」

「クリスマスと年末が一緒になっている事を今更ながら突っ込む気にはなれんが…」

「おおらかですね~」

「チキンと七面鳥が一緒というのは…」

「そこ?」

今度は私がポカンと征司さんを見上げた

「オーブンが1台しかない」

「真剣に用意しようとしてくれました?」

「香月が食べたいというなら…」

「そこはビシッと怒ってください」

征司さんは私に甘すぎる

どこの世界にチキンの丸焼きと七面鳥の丸焼きを1人のか弱い乙女に用意しようとする人がいるというのか

「とりあえずおせち料理の材料を買いましょう!」

私は何を買おうかと頭をフル回転させる

「数の子と~」

「すでに塩抜きを始めている」

ん?

「田作りに昆布締め…」

「姉が持ってきた」

「栗の甘露煮…」

「晃用に甘くなっているから、それは俺が作った。黒豆は大人向けにブランデーにつけてある」

作った…?いつ?

「毎日少しずつな。おせち料理とはそういうものだろう?」

マメ過ぎる…

「伊達巻は作る暇がなかった。替わりに厚焼き玉子は当日の朝に作ろう。作りたてに大根おろしの方がいいだろう」

ホカホカ湯気の立っている厚焼き玉子にたっぷりの大根おろし…

思わず生唾が出てしまう

「だから刺身くらいは買っていこうと思ってな」

ぼう然と見上げる私に征司さんはこの上ない優しい笑みを向けてくれた

「こんなに気持ちが高ぶる楽しみな正月は初めてだ」

聞けばお正月というのはお父さんに挨拶に来る会社の重役や取引先の偉い人が出入りする落ち着かない日だという認識しか無いのだという

邪魔になるからと一日中部屋から出なかったらしい

「じゃあ!おせち料理食べたら双六したり羽根付きしたり、負けたら顔に墨を塗ったりしましょう!」

「桐沢のじゃんけんくらい無謀な戦いを挑んでくるんだな」

「…負けないもん!」

私が力を込めて宣言すると征司さんは優しくポンポンと頭を撫でてくれた

子供扱いされるこの瞬間が好きだなって思う

「俺の前では突っ張る必要はない」

そう言って繋いでくれた手をしっかりと握り返して私はにやける顔を必死で隠した




年末恒例のテレビ番組の音を遠くに聞きながら、年越しそばの後片付けをする

「時間があればそばを打ってみたいんだがな…」

しみじみ言う征司さんは本当に来年あたりやりそうだ

「じゃあ、来年もじゃんけん勝たなきゃ!」

「ああ、絶対に勝てよ」

また来年も一緒に年越しを過ごせる約束が妙に嬉しくって、また頬が緩んでしまう

「あ…詩織さんだ」

片付けを終えてソファに戻ると、テレビの中に桐沢さんの彼女の姿を見つけた

長い髪がくるんと巻いて、フェミニンなファーの多いコートがよく似合っている

相変わらず私とは女子力が格段に違うと実感しちゃうなぁ

けど、同性からも好感度の高い理由も納得できる優しい裏表のない顔

知的で意思の強そうな感じが桐沢さんとお似合いだって心から思う

『詩織さんは年明けはどこか行かれるんですか~?』

スタジオからの声に彼女は

『広島まで…』

とはにかみながら答えた

「ということは…実家に挨拶ですね~!」

私が思わず叫ぶと征司さんもにこやかに微笑んでいた

「桐沢もちゃんと言ったようだな」

他人事ながら嬉しくなっちゃう

「メールしとこっと!」

私がメールを打つと隣で征司さんも打っていた

「桐沢さんの結婚式楽しみだなぁ!」

きっと警察の礼装だからめちゃくちゃ格好いいだろうし、詩織さんも凄い綺麗だろう

「普通は自分の方を楽しみにしないか?」

不意に肩を抱き寄せられる

「お互い時間がなかなか合わないだろうが…1年かけてゆっくりと準備しよう」

…私の

私の結婚式…っ!?

うわっ…急に実感が…!

「相変わらずお前の百面相は面白い」

征司さんはくくっと笑いながら私を抱き締めた

除夜の鐘が厳かに響いている

ああ…年が明ける

「征司さんと出会った年が終わっちゃう…」

「更に結ばれる年が始まると思えばいい」

「うん…」

優しく見つめられて

髪を撫でられて

除夜の鐘が響く中、そっと唇を重ねた

それは除夜の鐘が鳴り終わるまで

新しい年に移ってもまだずっと続いた

私の甘い甘い年明けだった


🍀END🍀
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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

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