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夢恋城へ…ようこそ…

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それぞれの年明け~天王寺豊~

「なんでやねん!」

「豊君…5回目やで」

「どないなってんねん!」

「それは7回目」

「いちいち数えんな!ボケ!」

「今年最後の『ボケ!』やな」

「古都葉!冷静過ぎやろ!」

「しゃあないやん…豊君が冷静ちゃうもん」

…こいつはぁ!

俺はぶぱぁ!とビールを飲み干した

当然のようにじゃんけんに勝ち、俺の頭の中の予定では古都葉とのんびり年末を過ごす筈やった

付き合い出して初めての年末年始や

2人でしっぽりと向かい合って年越しそば食いながら、ガキ使見ながら大笑いして

年が明けたら初詣に行って

ゆっくりと普通のデートできるやんって思ったのに!

「おーい!豊!ビールがないで!」

「古都~お好み焼きもう一枚焼いて~」

「本当に古都ちゃんのお好み焼き美味しいわぁ」

「さすがうちの娘や!」





古都の店で最後の大掃除をして終わろうと思ってたら

どういうわけか大阪からうちの親父とオカンと

古都葉の両親が押しかけてきおった

俺と古都葉が結婚間近の付き合いだと聞いて、オカンは俺の連れを伝って古都葉の実家の電話番号を探り当てやがった

どんだけの捜査力やねん

直接電話をかけて、あっという間に意気投合

さっそく4人そろって上京してきて

古都葉の店で宴会を始めたんや

「地元で豊君は有名やで!大阪府警1番の検挙率で東京の警視庁に引き抜かれたんやってな!」

「引き抜きちゃいますって!東京が豊に来てくれって頭下げよったんや」

「そりゃ傑作やなぁ!」

オッサン2人がビールを注ぎ合って騒ぐ

「こんなに料理上手なお嫁さんが来てくれるなんて!豊は幸せ者やわ」

「料理だけは自慢の娘なんよぉ」

オバハン2人が遠慮無くお好み焼きを突く

「普通、両家の顔合わせちゅうもんがあるんちゃうんかい」

俺が呆れかえって言うと親父は豪快に笑いやがった

「それが今やろ」

「順番がちゃうわ!」

大体、お嬢さんを下さいってきちんと言わなあかんやろ

「おお!かまへんかまへん!もろてくれ!」

古都葉の父親がにこやかに手を振った

…こんなあっさりでいいんかい!

「古都ちゃんは豊には勿体ないくらいや!ほんまによくもらってくれたわ」

アホか!貰うのは俺や!

「古都葉が東京行ってしもて、もう孫の顔も見れへんなぁって言ってたんやで。それが結婚する言うてきて、それが天王寺君やなんて…ほんま母ちゃんと抱き合って泣いたわ」

古都葉の親父さんが急にうるうると目を潤ませる

「そうやそうやで!13年ぶりに抱き合ったわ」

「そこは言うなや!」

夫婦漫才に娘の古都葉が頭を抱える

もう笑うしかないわな

古都葉は惚れた男の後を追って大阪を出た

東京まで追ってみたら相手の男には妻子がおった

傷ついた古都葉は大阪にも帰れず東京に根を下ろした

半分親とも縁を切ったような状態だった筈や

それをどう修復作業して、結婚の承諾をどうやってもらって、自分の親にも紹介しなあかんし、休みはどう取ろうか…これでも考えたんやで!

それを一気に打ち砕き、いや、ちゃうな

一気に解決してもうた

うちの親達は…

一応感謝せなあかんけどな

けど、この大宴会状態でどう感謝すんねん!

俺の穏やかな年末を返せ!

「はぁ…」

ため息をつきながらふと壁に掛けてあるつけっぱなしのテレビに目をやる

ガキ使ちゃうやん

まぁ、後でDVD借りよ

普通の年末のレポートやんと思って何気に見ていたら

「あ…」

詩織さんや

俺が詩織さんと最初に会ったのは彼女の両親と兄夫婦の4人が並べられた霊安室やった

立っているのがやっとだった

でも泣き崩れへんかった

気丈な女やって思ったけど、葬式終わった後にぶっ倒れた

ちゃんとやることやるまで気ぃ抜かんかったんやな

その彼女を支えたのがボスやった

事故が事件になり、警察の不祥事になっていくのをボスは真っ向から受け止めた

あの時から俺の上司はこの人しかおらんと思った

そのボスが詩織さんと結婚すると決めたと聞いた時、初めて一沙と肩を抱き合って喜んだもんや

ええ顔になったなぁ…

幸せそうやん

俺はつい目を細めてテレビに見入った

「豊君!何にやけてんの」

「いててて…!」

いきなり頬をビーンと引っ張られた

「綺麗な人にはすぐにやける!」

「ちゃうって!」

知ってるやろ!うちのボスの彼女やで!

ボス、ちゃんと婚約できるんやろうか

まだ、本人同士の約束だけやろ

まぁ、ついさっきまでは俺もそうやったけど…

『詩織さんの年末の予定は?』

『…広島まで』

「おわっ!」

スタジオとのやり取りに思わず声が出た

「な、なんやの!」

古都葉が鳩が豆鉄砲食らったような顔しとる

「ボス!やったなぁ!」

ちゃんと実家に連れて行くと言ったんや!

俺はすぐにメールを送った

めでたい!今年ラストのめでたさや!

…俺もちゃんと言わなあかん

不意にそう思った

こんなどさくさはあかん

男のけじめや

俺は古都葉の両親の前に正座した

「ん?どないしたんや?」

少々目が据わり気味の赤ら顔の古都葉のお父さんがキョトンとした顔で俺を見た

「お義父さん、お義母さん」

俺は真正面から古都葉の両親に頭を下げた

「改めてお願いします。古都葉さんを俺の嫁さんにください」

「……」

「……」

「……」

「……」

4人の親が一斉に無言になった

「豊君…」

古都葉までがキョトンとしている

「絶対幸せにします!約束します!阪神の優勝より確実に約束します!」

「…阪神かて来年こそ優勝やねんで…」

古都葉の父親の声が震えていた

顔を上げると、お義父さんはくしゃくしゃな顔で目に涙を溜めていた

「昔っからな…嫁にくださいって言われたら、アホンダラ!出直してこんかい!ボケ!って言おうと思っとったんやで…それが…言えん…やないか…」

お義父さんは急にオイオイと泣き出した

「豊君!よろしくお願いします!ほんまに古都葉の事、頼んます!」

ガバッとお義父さんは俺の前で土下座をして頭を畳に擦りつけた

「ちょっ…!お義父さん!あかんて!顔上げてください!」

慌てる横でお義母さんまでが頭を下げた

「おい!古都!何とかせぇや!」

振り向くと古都葉までが泣いていた

…ったく

見回すとうちの親父とオカンはドヤ顔で親指を立てていた

今年最後の日になんやねん

この急展開は

俺は呆然としながら除夜の鐘を聞いていた




「…今日何日や」

「正月やで…1月1日に決まってるやん」

「めっちゃ回転が早かったな…」

「うん…」

あれから酔っ払いの4人をホテルまで送り、俺達が家に着いたのはもう2時を回っていた

それから泥のように眠り…

目を覚ました時はもう昼近かった

起きれないまま、俺はベッドの中で寝返りを打つ

そんな俺を横にいる古都葉が微笑んで見ていた

「豊君…ありがとう」

「ん?」

「それとあけましておめでとう…」

「おお…」

なんかベッドの中で言うのも変やな

「古都葉、おめでとう。それと…」

「それと?」

「大好きやで…」

俺は古都葉の細っこい体をギュッと抱き締めた

「10年後も20年後も50年後も大好きやで」

「うん…」

おっちゃんになっても爺さんになってもお前の事をずっとずっと愛してる

いつまでも仲良くいような

俺はそっと古都葉の唇に触れた

触れながら素肌をなぞる

まだ雑煮は当分おあずけや

2人分のパジャマが滑って落ちていった

正月の男のけじめ、つけたるで…


🍀END🍀
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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

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