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夢恋城へ…ようこそ…

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それぞれの年明け~八千草瑛希~

また今年も勝っちゃった…

最初のジャンケンで僕と克之さんが抜けた

「この人達相手にプロファイリングしたと思われるのも癪ですが…当然の結果です」

克之さんはのんびりと笑顔を浮かべてる

「負けられるか…っ」

気合いの入ってる一沙さんと

「余裕や!」

と手を振り上げる豊さん

「多分…勝つし」

「クリスマスがつぶれた分は取り返すもん!」

脩介さんと香月ちゃんが睨み合う

「ジャンケンは平等だからな!」

「…そうかなぁ…」

なぜか自信満々のボスを哀れむように野村さんが見守っている

みんな年末の予定ってあるのかな

別に僕がやってもいいんだけど…ジャンケン勝っちゃうんだもん

「じゃあ、2回戦行くぞ!」

ボスが手を上げて

「ジャンケン…!」





ボス以外が勝った

「……」

自分の手を見つめるボスと

必死で笑いを堪える野村さんを2課に残して僕らは帰ることにした

真っ直ぐ帰るのも寂しいし、脩介さんを飲みに誘ったけど

「娘が待ってるから帰る…」

って謎の言葉を残して帰っちゃった

他のみんなも予定があるみたいで、いそいそと消えていった

う~ん…

僕だけ1人?

気になるあの子とは一進一退状態

彼女、結衣ちゃんの人間不信は根深くって

明るく喋ってくれるけど心から笑ってないというか…

気持ちはわかるんだ

僕も笑顔の鉄仮面かぶって《いい子チャンの瑛希君》でいるのが楽だって思ってる

でも随分と更生したんだよ

2課の人達と付き合うようになってから

心から信じていなきゃたった1つの命を預けられないし、預かる事もできない

刑事でいるからそう思えたけど、保母さんの結衣ちゃんはどうしたら打ち解けてくれるんだろう

犯罪者もジャンケンもプロファイリングできてもたった1人の女の子の心が読めない

天才だなんて言わないでって感じだよ

とりあえず…電話してみよう

年末だし家にいるよね

『もしもし…』

「結衣ちゃん?」

『瑛希君?』

「うん」

ディスプレイに名前出てない?

「何してるの?」

『お面作ってる』

「お面?」

咄嗟にKABUKIのマスクが頭に浮かんだけど

「えっと…家まで行っていい?」

『うん。散らかってるけど』

「気にしないよ」

とりあえず断られなかったことに心が浮き足立つ

僕って単純

蕎麦くらい買って行こうかな

茹でるくらいなら僕でもできる

……多分

蕎麦セットっていうのならスープ付きだし

年末のデパ地下(香月ちゃんに教えてもらった)に買い出しに行ってから結衣ちゃんの家に向かった

何回かデートらしき事はして、何回かはお邪魔してコーヒー飲んで帰った結衣ちゃんのアパート

友達とかは家賃を節約するのにルームシェアしてたりするけど、ちゃんと1人で安心できる《巣》がないと息が詰まっちゃう結衣ちゃんは、他を切り詰めてでも1人で暮らしてる

保母さんは公務員だから苦しくっても副業できない

まぁ、保母さんしてたらそんな時間はないけどね

「おじゃましま~す」

結衣ちゃんの部屋に入ると、一瞬まばたきを忘れた

えっと…

今日は何日だっけ

12月31日…うん。間違ってないよね

ジャンケンしたし

一般的な日本で言う《OOMISOKA》っていう日

飾り付けするなら《KADOMATSU》とか《KAGAMIMOCHI》とかだよね

けど、結衣ちゃんの部屋いっぱいにあったのは…

「鬼のお面?」

赤や青や…黄色、緑、ピンク、ストライプにドット

豊さんなら「ダルメシアンの鬼バージョンかい!」ってツッコむだろう

「結衣ちゃん…これって」

「節分の時の準備なの」

「子供達がかぶるの?」

「うん。で、鬼ごっこするの」

へぇ…節分ってそんなイベントだったっけ?

それよりも…

「子供達の分、全部結衣ちゃんが作るの?」

「だって先輩達忙しいから…」

体よく押し付けられちゃったわけか

園児が何人いるかわからないけど、まだずいぶん真っ白な鬼さんが並んでる

2ヶ月近くあるけどできるのかな

「ねぇ、結衣ちゃん」

「うん」

「子供達にさ、自分の好きな色で塗ってもらったらどうかな」

「……?」

僕の提案に結衣ちゃんの手が止まった

「だってさ、ピンクの鬼が好きな子が3人いるのに2枚しかなかったらケンカしないの?」

「えっと…する。じゃあみんなの希望を聞いて…」

「じゃなくって~自分で塗ってもらったらいいんじゃない?」

「…そうか」

「自分で好きな色で好きな模様で自分だけの鬼さんのお面つけた方が楽しいよ」

「……うん」

何でも抱え込む結衣ちゃん

何でも自分で解決しようとする結衣ちゃん

だからパンクしちゃうんだ

もっとみんなでやるように考えないと…

「人に任せて文句言われたり、思った通りにいかなくって、イライラしちゃうだろうけど…みんなでやれば分散されるよ」

連帯感も生まれる

コミュニケーションも生まれる

人を信じられるし、信じてもらえる

人を信じなきゃ信じてもらえない

自分の事だと見えないのに人が同じ事したらわかるんだね

『俺が容疑者にかぁ~っとなるやん。けど一沙がそうなったら、まぁ落ち着けやって言えるやん。人が怒ると冷静になれるもんやで』

豊さんがそう言ってたな

今の僕がそうだね

僕と結衣ちゃんは似た者同士

だから冷静に自分を見つめられる

「結衣ちゃんの存在は大きいんだよ…」

僕の中で日に日に大きくなってくって気づいて…

お面をまとめてテーブルを綺麗にして

結衣ちゃんはお蕎麦を茹でにキッチンに行った

その後ろ姿を見てると、その小ささに僕の中の母性…じゃないや、父性本能が沸いてくる

守ってあげたい…

頑張って自分の足で立とうとしている生まれたての子鹿に手を差し伸べたいけど自立させなきゃってジレンマに陥ってる

「瑛希君はお蕎麦硬め~?」

「うん。硬めがいいな~」

「はぁ~い」

可愛いなぁ…

こんな気持ちになったの初めてかも

結衣ちゃんが蕎麦を作ってくれてる間にふとテレビを見ると

「あ…」

僕の声に結衣ちゃんが首を傾げながら湯気の立つお蕎麦を置いてくれた

「僕のボスの彼女なんだ」

「へぇ…お仕事できそうな女の人だね」

「結構天然らしいよ。ボスの話だと」

ボスに天然って言われるから相当だよ

そういえば…

この仕事もスタッフとのコミュニケーションが大切だろうなぁ

そういうのがちょっと苦手だってボスが言ってたっけ

ボスにしたらそういう所も可愛いんだろう

僕も一緒か

「100%満足して生きてる人なんていないんだよね」

そう呟いた僕の耳にボスの彼女の声が聞こえた

『広島まで…』

僕は思わず笑っちゃった

やった!ボス!

「瑛希君?」

結衣ちゃんがもう一回不思議そうに首を傾げながら僕の前にお箸を置いた

僕は急いでボスにメールをした

「今年最後のびっくりニュースかな」

恋愛音痴で天然で自分の事だけ奥手のボス(…って豊さんが言ってた)

「ちゃんとプロポーズしてちゃんと実家に連れて行くんだ!」

「瑛希君嬉しそう」

「そりゃあみんな仲間だもん」

今だけは彼女は100%満足だよね

「よかったね」

結衣ちゃんもにっこり笑ってくれた

ほら笑えるじゃん

ちゃんと人の幸せを喜んであげられる

「来年は僕が結衣ちゃんを幸せにしてあげるよ」




初めてのキスは蕎麦つゆの味がした

年の最後のキスも最初のキスもみんな僕のもの…

真っ赤になってカチコチに固まってる結衣ちゃんに何度もキスをした

ゴォ~ン…

除夜の鐘が聞こえてくる

僕の中の108つの煩悩は消えるどころか、どんどん増えていった…


🍀END🍀
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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

4 Comments

chika  

Re: タイトルなし

濃ゆくするつもり~(笑)

とりだし(≧∇≦)b

2016/02/08 (Mon) 07:53 | REPLY |   

ちこりん  

野村サン、濃ゆ~い???

ここの二人も、お互い仕事をしてそうな…

詩織ちゃんのコメントを、どんな状況でボスに送信するのか、楽しみにしております(^ω^)

2016/02/05 (Fri) 00:18 | REPLY |   

chika  

Re: タイトルなし

遅くなりました(>o<)

恋人同士になってからの方が書きやすいね~
野村さんで発散させてもらおうっと

2016/02/04 (Thu) 08:11 | REPLY |   

かめ  

瑛希くん、大晦日に一人かとあせっちゃいました。
あー、よかった(*^_^*)

結衣ちゃん、奥手なんですね〜。瑛希くん、頑張れ!

寝る前に良いもの読ませていただきました(≧∇≦)
ありがとうございました&おやすみなさい。

2016/02/03 (Wed) 22:31 | REPLY |   

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