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A little bird is to where~小鳥はどこへ…~ウィル~3

Category - 番外編
俺の言葉にその場の空気が流れを止めた

ロベルトの笑顔が時を止めたかのようにそのまま固まった

「ウィル…?」

シン…とした沈黙を破ったのは後から入ってきた少女だった

大きな瞳に溜まっていた涙も流れる行き場を失ったのか、そのまま吸い込まれていった

「クロード…」

俺はそばに仕えるクロードに視線を投げる

「ノエル様…の事でしょうか?」

絞り出したような声に俺はその名を復唱した

「ウィル…私よ?」

少女は体を前に寄せてきた

私と言われても…

俺は視線を落として考える

誰だ…

明らかなのは、ここにいる全員が彼女の存在を認知し、俺を《ウィル》と呼び捨てにする事に違和感を感じていないという事だ

それは何者なのか

「ウィル…俺達の事はわかるか?」

キースの声に漫然と頷く

ロベルト、エドワード、ジョシュア、キース、グレン、クロード…

「異常なし…だな」

ジョシュアが呟く

「ウィル、僕達のプリンセスの名前は言えますか?」

エドワードの言葉の真意はわからなかったが、思い付くまま答える

レイラ、真鈴、瑠璃、ルーティア、ミラ…

「じゃあ、自分のプリンセスは?」

ロベルトに言われて

「セ…」

セシルと言いかけて止まった

違う…

セシルはスティーヴの元に行った

俺のプリンセスは…

視線を宙に彷徨わせる

それはきっと…

ノエルと呼ばれたこの少女なのだろう

自分の中の記憶ではなく

この場の雰囲気から推測したに過ぎない

「私を忘れちゃったの…?」

少女の瞳から瞬きする事もないまま涙がこぼれ落ちた

「今暫く休養が必要のようですね…」

クロードがそっとシーツをかけ直した

その表情に若干の笑みが混ざっているように感じたのは錯覚だろうか

「ウィル…どうして…」

震える声が胸に突き刺さる

本当に俺のプリンセスを忘れているとしたら、これ以上に罪深い事はない

俯いて必死で嗚咽を堪えている少女に心苦しい罪悪感はあるが…どこかで感情を伴っていない自覚もある

「大丈夫だって…ウィルがあんたの事を忘れるわけないから」

グレンが少女の震える肩を両手で支えたのが目の端で見えた

「…っ!」

その瞬間、また頭に激痛が走った

「ウィル様!?」

「医者を呼べ!」

遠くなる声を聞きながら、目の裏にチカチカと何かがうごめく

ああ…

小さな小鳥

金の籠に一人ぼっち

いや…

籠の外に別の茶色の小鳥が来ている

籠の扉をくちばしで突いている

ダメだ…

開けたら逃げてしまう…



~つづく~





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