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A little bird is to where~小鳥はどこへ…~ウィル~11

Category - 番外編
ぎゅっと抱きしめるとノエルはびっくりしたように体を硬直させた

「だ、ダメだよ!ウィルっ…!」

「なぜ?夫婦なんだけど…?」

「だってだって!ウィルは私の事忘れちゃってるんでしょ?って事は私は逢ったばっかりの知らない女の子なのに…」

「逢ったばっかりの知らない女の子を好きになっちゃダメ?」

「…私が好き?」

「…だと思う」

「それって…私がウィルの事好きって言ったから?」

「好きじゃない子に好きって言われても抱きしめたくならないよ…」

「……」

どう答えていいのかわからないのかノエルは俺の腕の中で俯いたままだ

「嫌?」

沈黙に耐えられなくなったのは俺の方だった

ノエルは黙って首を振った

「そうじゃないけど…」

「グレンならいいけど俺じゃだめ?」

「もう!そういう意味じゃない!」

ノエルは飛び跳ねるように俺を突き放した

「ウィルってばいつからそんなにネガティブになっちゃったの?!ウィルはウィルでしょう?私が好きなのはウィルでグレン様じゃない!」

ノエルは真っ赤な顔をしてキッと俺を睨み付けた

びっくりし過ぎて口が開いてしまう

「ウィルは昨日からおかしいよ!グレン様の話になると頭が痛くなる!それってヤキモチとかじゃなくて心の病気よ!自信がなくなって、私をグレン様に取られると思って心が逃げてるのよ!そんなのウィルじゃない!」

一気に捲し立てたノエルははぁはぁと息を荒くしている

グレンに取られる…

じゃないよ

俺は自分の中で自問自答する

「グレンにはミラというお妃がいる。取ろうにも取れない…」

「だったら…!」

「俺が思っているのは…」

籠の中の小鳥…外に出してと羽根をばたつかせている

周りを取り囲む金色の猫と
真っ黒なカラスと
宝石を纏った高貴な犬…

『出してやれよ!』と周りを飛び回る茶色の鳥……

ノエルを拘束してるんじゃないかって…それが彼女をものすごく苦しめているんじゃないかって…

俺がそう口にするとノエルはキョトンとした顔で目をクルクルさせた

「私がお城から出たがってるように見えるって事?」

「窮屈に感じてるだろうなと…」

「私の事忘れてるのに?」

「…そうだね」

ノエルの事を忘れてるのに、ノエルが苦しんでいると思っている

「変なの…」

ノエルは首を傾げてちょっと笑った

「世界中どこのおうちでもお嫁に行ったら旦那様のおうちのルールになじまなきゃダメなのよ?例えふたりっきりで生活したって旦那様の会社の人とのお付き合いとかぁ、親戚付き合いとかあるの。たまたまウィルのおうちと私のおうちの覚える量が極端に違うだけ」

…そういうもの?

「普通じゃ家系図なんて覚える必要ないけど、私がお嫁に行った所がたまたま覚えなきゃいけない所だったっていうだけでしょう?」

たまたま家系図が複雑で

たまたま礼儀作法が細かくて

たまたま仕事にも携わらなきゃいけなくって

たまたま小うるさい執事がいて…

「たまたま私が人よりちょっと物覚えが悪いだけ」

ノエルはそう言ってふふっと笑った

「でも、他のどのおうちより旦那様に愛されてるって思ってる。それが1番大事!」

その《旦那様》が記憶をなくしたのに…

「嫌われたわけじゃないもん…」

そう言うノエルの瞳は濡れていた

「ウィルがもう私の事嫌いって言うなら籠から出て行く…でもいていいならこのままここにいさせて…」

ギュッと俺のナイトウェアの袖を掴む

籠の鳥は外に出たいんじゃないのか…

「出たいよ…出て、ウィルの肩に掴まりたい」

籠を飛び出した小鳥は高く高く飛び上がって

そして…

金色の猫の背中にチョコンと降りた

嘴で猫の背中の毛を啄んで自分の居心地のいいように整えている

やがて満足したのか小鳥は猫の背中に体を沈めてゆっくりと目を閉じた

籠の扉を塞いでいたのは俺…

自由を奪っていたのは俺…

信じていなかった

小鳥は自由な意思で俺に舞い降りるって…

ノエルの肩に手を置いて目を閉じると…

一気に流れ込んでくる

初めて出逢ったあの日

初めて自分の気持ちに揺れたあの日

抑えきれない愛おしさを必死にクールを装って押し殺していた哀れな俺

初めてキスした日…

初めて抱いた日…

ノエル以外に生涯を共にできる女性はいないと決意した日…

実は心臓が爆発するんじゃないかと思ったプロポーズ

世界一幸せだと感じた結婚式…

何よりもノエルのいろんな笑顔

笑い声

泣き顔

怒った顔

幼い顔だったり、ちょっとだけ色っぽく喘ぐ顔だったり…

「…思い出した」

「え?」

「全部…ノエルの事思い出した」

「本当?」

何を言ったら信じてくれるかな

「先週買ったワンピースをいつのデートで着ようか悩んでるとか…
城のパティシエに美味しかったクッキーの作り方を聞いたけど分量を間違えたとか…」

「あってる!あってるけど!…もうちょっと他にあるでしょ…」

上目使いで睨む顔も記憶にあるノエルの顔だ

籠から出た小鳥がピーピー鳴きながら猫の上を飛んで頭に乗った

ちょっと怒ったように頭の毛を引っ張る

宝石を纏った犬と、カラスが呆れたように離れていく

茶色の鳥は…

安心したようにひと声鳴いて飛んでいった





その夜、まるで初めての時のように大切に大切にノエルを抱いた

「あん…ンン…やぁん…っ」

俺の腕の中で可愛く鳴く小鳥…

俺しか知らない顔…

小さな丘の上のピンクの蕾が熟して膨らんでいく

それも俺の記憶にしかない姿

今夜はちょっと無理させるかも…

そう言うとノエルは大きく深呼吸をして俺の首に腕を回した

広げた足から力が抜けて

お互いの瞳を覗き込む

ゆっくりと腰を落とすとノエルの口から甘い悲鳴が洩れる

もう忘れない…

世界中で1番愛おしい女性を…




真っ白な小鳥と金色の猫は時を忘れてずっとずっと戯れあった



それ以後グレンとノエルが踊っていても頭は痛くならなくなった

ただ…面白くはない


🍀END🍀





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