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2課の彼の恋~木村涼平~3

いつの間にかすっかり秋の風景に変ったんだと庁舎を出て思いました

まだ夕方6時過ぎ…いつもなら仕事をしている時間だけれど、たまにポツンと空く時があります

今日はそんな日で…

外に出たらもう真っ暗でした

こんなに陽が落ちるのが早くなったと今更気づきます

入道雲がいわし雲に変わったんだろうなと真っ暗な空を見上げました

早く帰れるなら一杯飲みながら録り溜めていた映画を見ようか

じゃあ、まだショッピングセンターがやっているし、瀬名さんが絶賛していた、デパ地下の店で何か買って…といつもと違う道に足を向けたのです

運命ってこういうものなんだと後日実感する事になろうとは…

大型ショッピングセンターの方に向かって歩きはじめて大通りに出ました

相変わらず東京は車が多い…

そんな事を思いながら信号を見ると、横断歩道の歩行者の信号が点滅を早めていました

走って渡る程でもないなと、小走りに僕を抜かして行く人達を見送る

…と、横断歩道の先に車椅子が見えたのです

なんだか動きが変だ

何度も何度も車輪を漕いでいるのに進んでいかない

車道から歩道への段差に苦戦しているのか

頭を前後に必死に動かしている女の子の長い髪が揺れていました

誰も手助けしないのか?

歩行者の信号はもう赤になっている

間もなく車道側が青に変わる!

車椅子は車道側に取り残されたままです

僕は咄嗟に飛び出しました

フライング気味に前に出た車がクラクションを鳴らす

間に合うか!?

青になって車が動きだそうとしている瞬間を僕は駆け抜けました

危ないとか、轢かれるとか考えていなかった

とにかく車椅子を外に出さなきゃ!

手を伸ばして車椅子の背を押すと、僕の真後ろを車が掠めるように通り過ぎて行きました

スーツを擦っていったような感覚が後から湧いてきました

ぎりぎりのタイミングで車椅子は歩道に上がれたのです

「ふう…」

思わず大きく息を吐きました

それは車椅子の女の子も同時

「…大丈夫?」

「大丈夫ですか?」

声を出したのも同じタイミングでした

その時初めて顔を見合わせました

栗色の瞳が不安そうに僕を見上げて

「僕は平気です…あなたは?」

「大丈夫…助けて頂いたから。ありがとうございましたっ!」

勢いよく頭を下げる彼女に思わず笑みが浮かんでしまった

元気のよさがなんだか瀬名さんを思い出させたから

そして瀬名さんを思い出した後ろにふと目の前の彼女とダブる顔が浮かびました

「あ…」

意志の強そうな切れ長な目

なのに笑うと何の曇りもなく人を惹きつける

見覚えのある顔は…

「…天王寺さん?」

「え?」

僕は彼女の顔を凝視してしまった

「ひょっとしたら…天王寺豊さんの妹さん?」

「は、はい…」

「そうでしたか!よく似ておられたので…僕は天王寺さんの同僚で鑑識課の木村涼平と申します」

「お兄ちゃんの同僚の方なんですね!あっ!わかった!《瓶底眼鏡の無駄にキラキラしてる木村さん》ですか?」

「……」

…天王寺さんはどんな説明をしているのか

「ぷっ…」

思わず噴き出しました

「あら!失礼なこと言っちゃった!」

そう言いながら彼女も笑い出しました

「改めてありがとうございます。天王寺夕子です」

彼女が差し出した手を僕はそっと握った


~つづく~







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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

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