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新たな伝説の始まり~第7話~ゼン

日付も変わった頃、ようやくミッシェル城内に静けさが戻ってきた

今宵はフィリップ王国主催のパーティーの中でもウィル様が主導のものであったので時間が短い

ウィル様はパーティーがお嫌いだ

表だってそう仰らないが、必要最低限の接待で終わらすように段取りを取られる

社交的な現国王様とは対照的であり、初めのうちは戸惑う方々もみえたが、主催者の意向に逆らうものではない

滞りなく、予定通りにパーティーは閉会となり

最後に国王様、王妃様
ウィル様とノエル様をお見送りして俺の業務は終わり…ではない

城内の片付けや、今日は少ないがお泊まりになられて行くお客様の対応を夜勤勤務のものに引き継ぐ

予定通りの宿泊客の人数と要望で終わることはまず無い

ふうっと一息だけつくと、進行方向から若い元気な声が響いてくるのに気づいた

「BGI-382aの皿は2日後の6ヶ国合同のパーティーには使わないから!奥に片付けろよ!『この前のパーティーと同じお皿ですわねっ』てぜってぇ-言う婆ぁとかいるからな!ぬかるなよ!」

…テオだ

あいつは何度注意しても上品な言葉使いにならない

だが不思議とあいつの言うことを年配の使用人達が聞く

「この前も偉そーにどこぞかの貴族の姫様が言ってやがってさ!違うつーの!微妙に色彩が違うのに一緒だと言いやがってさ!だから似た奴も奥に入れるぞ!」

「へぇ~お前さんならもう一度あえて同じ皿を出しそうだけどな」

皿の種類ごとにワゴンに詰め込む使用人がニヤリと笑う

「昔の俺ならやってたけどさぁ、ちょっとは大人になったんだよ!」

一体どこが大人なのか…

間違いなく多少なりとも成長はしているのだが…

「その言葉遣いは止めろと言っただろう」

俺が通りすがりに言うとテオは「ほーい」と返事をして肩を竦める

「同じお皿だと言われたお嬢様は色弱の病気をお持ちだ。同じに見えて当然なのだから、最初から全く違う柄で行くべきだったな」

「ふーん…あのお嬢はモノクロの世界で生きてるのかぁ」

「今度お見えになる時はコントラストのはっきりしたブランドで揃えるんだな」

「わかった!」

テオはポケットから小さな手帳を取り出して書き込むとまたズボンの後ろに入れた

「今日のデザートはテオとパティシエで決めたんだったな」

「そうだけど…」

勝ち気な瞳が一瞬揺らぐ

「メインの料理との組み合わせがよかったとウィル様からお褒めのお言葉を頂いた。ノエル様も大変喜ばれていた」

「マジか!よっしゃぁ!」

「ウィル様とノエル様は…だからな」

「ん?ってことは…国王様と王妃様には不評だったのかよ」

「お褒めがなかったという事だ」

「だから無言のダメ出しじゃん」

「来月、フィリップ国王様主催のパーティーがあるが…」

「やる!リベンジ!」

「わかった。任せる」

「マジか!」

「次は無いと思えよ」

「OK!ぜってぇ-国王様に参ったって言わせてやるぜ!」

テオは拳を握り締めて足早に去っていった

「いいねぇ、若いって」

ワゴンに食器を乗せていた使用人がははっと笑った

「ゼン様も丸くなられましたな」

その笑顔が自分に向けられて、言葉の意味を探る

「昔なら全部ご自分で仕切らないと気が済まなかったでしょうに」

…そうか?

…そうだな

「やっぱり女の力は偉大だねぇ」

「…っ」

ニヤリと面白そうに笑うが、不思議と嫌みは感じない

「早く身を固めてくださいな。そうしたらゼン様に片想いのメイド達も諦めて現実を見るでしょうから」

何のことやら…

「自覚がないのも罪ですよ」

使用人はまたニヤリと笑うとワゴンを押して遠ざかって行った

なんだかわからない汗をかいた気がして早々に部屋に戻ってシャワーを浴びたくなった



~つづく~





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Category - 新たな伝説の始まり

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