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迷える2人の王子~8~グレン

Category - 番外編
その頃、オリエンスもグレンを取り巻く環境が変わっていた

パーティーでの様子がオリエンス国内にニュースとして流された直後、国王は大激怒したのだ

王子らしからぬ振る舞いだと、国王を始め、親戚で固められた大臣達からも非難が相次いだ

それに対してグレンはずっと寡黙を通した

とにかく今は練習で割かれた時間を埋めなくてはいけない

学業も公務も手を抜けば更に非難が高まるのはわかりきっていた

「相変わらず石頭よねぇ…」

「グレン兄ちゃんかわいそうだぞ」

ミラとアランは黙々と書類に向き合うグレンを遠くから見守る事しかできない

「グレン兄ちゃんすっごく格好良かったって学校で大人気だったぞ」

「大学もだよ。女の子達がキャーキャー言ってるもん!もうあの《王子様風アイドルチックな舞台衣装》の後に《正式な王族の衣装》で登場して、プリンセス達と踊った時には私でもクラッときちゃった」

「父上は自分がそうなった事がないからひがんでるんだろ」

「う~ん…そこは私の立場ではコメントできないなぁ」

「母上が言えばいいのにな。俺から言ってやろうか」

「ちょ、ちょっと待って!アラン君!」

王妃に直訴しそうになるアランをミラは必死で抱き止めた

「そのうちみんなわかってくれるから」

「そうかぁ~?」

首を傾げるアランを何とかなだめて、ユウに預ける

「もうすぐわかって頂けますよ」

何か知っているのか、ユウはそう言ってアランに微笑んだ

そんな城内の雰囲気が一変したのはグレンが国王と共に公務に出ようと別々のリムジンで出発した時だった

国王の乗った車が出た時には門の外で見物していた国民や、旅行客はただ見送るだけだったのだが、グレンの乗った車が出た途端に黄色い歓声が一気に上がったのだ

「グレン様ぁ~!」

「きゃぁ~!こっち向いてっ!」

そんな歓声にグレンは目を丸くして、とりあえず手を振ってみる

すると更に歓声が上がった

「…どうなってるんだ?」

戸惑うグレンに運転席のユウはふっと笑った

「テレビのおかげでしょう。若年層からの支持率が急上昇していますよ」

「また父上にグダグダ言われるな…」

「いえ、逆かと」

「ん?なんでだよ」

「まだ国王様にご報告していませんが…若年層以外からの支持率も上がっています」

ユウの言葉にグレンは首を傾げる

あのパフォーマンスで年配者に受けるとは思えないが…

「他国から嫁いでいらっしゃったプリンセスに対する心のこもったおもてなしと…」

そこまで言ってユウはまたクスッと笑った

「最後にロベルト様とハイタッチされたでしょう?」

「ハイタッチ…ああ、したな、そういえば」

やり遂げた達成感から思わずロベルトと喜びを爆発させた

「わが国は今の国王様も他国の国王様方と友好は結んでいますが、親しげな様子は晩餐会など公的な場所で談笑される映像しかありません」

「まぁ…国王様達は俺達程フランクじゃないからなぁ…せめてアルタリアとリバティの国王様ぐらいか」

「それをオリエンスの国民は少なからずとも不満に思っていたのですよ」

「そうなのか?聞いたことないけど…」

「そういった下世話な噂はまわりの者が国王様に届く前に遮断してしまいますからね」

「国民の声が届いてないってい事か…」

「そういう事です」

ユウは平然と言ってハンドルを切る

まぁ、あの国王なら聞き流すだけだから同じだろうが

「ですからグレン様がロベルト様とあのようにお二人でパフォーマンスをなさり、最後にハイタッチされた光景を見て、オリエンスとアルタリアがいかに良好な間柄なのかを国民は知ったわけです」

「へぇ…」

「更にリバティ、ドレスヴァン両国のプリンセス共にとても感激しておいででした。これ以上の外交はないと評価が上がっているんですよ」

「ふ~ん…」

そういうものかとグレンは唸る

国民がなにを望み、なにを求めているのか

もっと情報を吸い上げないといけいなと思う

まだまだ閉鎖的過ぎる…

「アルタリアではロベルト様を関連させての旅行ツアーのオファーが日本から殺到しているようです」

「ロベルトは大喜びだろうな」

「実は…」

そう言ってユウはまた笑った

今日はいつになく喋るなとグレンは思うが、この雰囲気は嫌じゃない

「オリエンスにも日本から多くの旅行ツアーの申し込みが来ているようです」

「俺はロベルトみたいに社交的にできないぞ」

さっきのように車の中から手を振るくらいだ

「承知しております」

少しは否定しろよ…と思いつつ黙っておく

「では、別の案をお考えください。アルタリアに負ける訳にはいかないでしょう」

そう言われてもな…

グレンは過ぎ去っていく車窓を見つめる

…通りすぎていく季節を君と歩きたい…

そんな歌詞があったなと思い出す

何度も何度もDVDを繰り返し見て覚えた歌詞とダンス

今はもう懐かしくさえある

「…あの歌手に会ってみたいな」

自分より年上だったと思うが、ダンスが凄く上手かった

声もよくてグレンは結構好きになっていたのだ

「それもいいですね」

ユウはそう言ってまた微笑んだ

「では呼びましょうか」

「外貨稼ぎになるか…」

グレンの顔付きが変わった

「アルタリアはツアーで客を寄せるなら、うちは客ごと呼び込むってどうだ?」

「なるほど…海外ツアーをさせてファンごと…」

「1公演1万5000人くらいのコンサートなら彼らは普通だろ?オリエンスでの海外コンサートツアーと観光をセットにして…」

「いっそグレン様も会場に上がられますか?」

「面白そうだな」

本物の歌手と実物の王子であるグレンとのコラボ企画

日本でグレンの人気が上がっているのならば今がいいチャンスだろう

「まぁ、親父達は反対するだろうけどさ」

「集客見込みと損益の計算書を出させましょう」

「いいけど…どうしたんだユウ…ずいぶんと乗り気だけど」

グレンの問いかけに丁度現地に到着したユウは車から降り、後部座席の扉を開けながら頭を下げた

「ちょっと他国の執事のように主と前向きに国の事を考えるという事をしてみたかったんですよ」

「ふ~ん…まぁ、頼むな」

グレンは通り過ぎ際にユウの肩をポンと叩いていった

少しずつグレンとユウの間に爽やかな風が吹き抜け

そして頑固な壁の一部が崩れ始めていったような気がした



数ヶ月後、本当に行われたツアーのコンサート会場に一度限りということでグレンがシークレットゲストとして登場し、そして一緒になって歌声とダンスを披露した

それがまた日本で放送され、グレンの人気は今や世界的に有名だったウィルに迫ろうとしている

いつしか無愛想でツンデレで可愛げがない若さだけと言われていた王子は国民の認知度と共に好感度が急上昇し

今では国王も黙って認めるしかなくなっていた

「普通にカフェでお茶したいのにぃ~!」

ちょっとふくれっ面のミラだが仕方なくSPに囲まれながらグレンと2人して大学の帰りにカフェでクレープを頬張る

そこは変わらない2人である

「でも人気が出てよかったね」

そう言って微笑むミラの口元のクリームを指ですくってグレンが口にすると瞬く間に悲鳴が上がった

「もう!グレン君っ!」

「バレないと寂しいって言ったのアンタだろ」

「そうだけどぉ~ま、いいか」

嬉しくも恥ずかしくもありながらミラは幸せをかみしめる

この出来事で国内は外貨で潤い、グレンの人気も高まり、そして国王が認めた

それで十分だ

ただ…

そのコンサートになぜ呼んでくれなかったといじけ続けるロベルトの処理だけが未だ未解決となっている

解決の予定は…未定だった


🍀END🍀





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