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2課の休日~桐沢洋~7

どこかの会社のOLさんかしらっていう感じの女の子が目を輝かせてながら、ぐいぐいと近づいて来た

「一緒に写真撮ってもらっていいですか?!」

言う先にもう2人して自撮りするように私の両端に陣取る

どうしよう…と考える暇さえ与えてくれない

「一緒だった男の人って彼氏ですか?!」

「イケメンだったよねぇ!私、思わず写真撮っちゃった」

「私も~」

えっ…それはダメだわ

彼女達の言葉に固まる

私は表に出ている人間だから撮られてもしょうがない

けれど洋さんは一般人で、刑事で…

彼女達ならきっとSNSに載せてしまう

「それは…」

私が抗議しようとした時に洋さんが戻ってきた

「写真か?じゃあ、俺が撮ってやるよ」

にこやかに微笑みながら近づいてくる

「いいよな?詩織」

「ええ…」

私はいいんだけど…

洋さんは彼女達からスマホを受け取る

「その代わりと言っちゃなんだが…機内で隠し撮りした分は消させてもらうぞ」

「え…」

洋さんは微笑んでいるけれど目が笑っていない

それに気付いたのか彼女達の表情が固まった

「悪いが…表に顔出せない職業なもんでな」

一瞬で彼女達は凍りついた

明らかに洋さんの職業と正反対の位置にいる人達を想像しているのだろう

洋さんはスマホを操作すると画像を確認している

「随分と撮られたもんだな…」

そうなの?

「盗撮に気付かないなんて刑事失格だな」

洋さんの言葉に彼女達は大きく息を吐いた

「…刑事、さん?」

「びっくりしたぁ!そっち系の人かと思った…」

一気に力が抜けるのがわかった

「本当にそっち系の人間だったらただじゃすまねぇぞ」

洋さんの言葉に彼女達はゴクッと息を飲んだ

「ましてやSNSにでも勝手に載せたら一般人でも名誉毀損やら個人情報保護法やらで訴えてくるからな」

「はい…」

「特に外国は言葉がわかり合えないから、いきなり撃たれても文句も言えねぇ」

洋さんの優しくも厳しい言葉に彼女達は黙って頷く

「せっかくグアムまで来たんだ。楽しんだ方がいいだろう?さ、写真撮るぞ。みんな並べ」

「はい!」

洋さんが言うと彼女達はにっこり笑って私の横に並んだ

「いいですか?」

「ええ。もちろん!」

これで全員が笑顔になった

洋さんが女の子一人一人のスマホで写真を撮ってくれる

こんな時…洋さんは凄いと思う

最初に「何やってるんだ!」と怒鳴ればその時点から感情が負の方向にしか向かない

そこから怒鳴り、もめて、言い争い…嫌な感情で全てが包まれる

せっかくの旅行も全員が暗い気持ちになってしまう

かと言って下手に出れば彼女達のしたい放題になる

彼女達に非を認めさせ、最後には笑顔にさせる

それは刑事という仕事柄というだけじゃない洋さんの心の大きさがある

そう思う私の胸はほんのり火照ってくるようだ

「あのぉ…」

彼女達との写真を撮り終わった頃、いつしか周りにいた人達が近づいてくる

「僕も機内で写真を撮っちゃったんですけど…消すから桜庭さんと一緒に写真撮って貰っていいですか?」

一人の男性がそう言うと

「私も…」

「私も消します!」

「俺も!」

次々と人々が洋さんにスマホやデジカメを差し出す

「…俺達どれだけ無防備に撮られたんだ…?」

「…ですね」

顔を見合わす洋さんと私

結局全員のスマホとデジカメから私達の姿を消して、私との写真撮影会になってしまった

それでも心は温かい

私は心底嬉しい笑顔で何度も撮影に応じた

洋さん…

やっぱり貴方を愛してよかった

そして愛してくれてありがとう…

全ての撮影を終えた後、私は洋さんの腕に抱きついて、そしてようやく空港を出られたのだった


~つづく~


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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

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