FC2ブログ

Welcome to my blog

夢恋城へ…ようこそ…

Article page

2課の休日~桐沢洋~25

日が傾き始めた空にプロペラ機の後ろ姿が消えていく

さっきまで一緒にいた人達が予定を変更してグアムへと戻って行ったのだ

「本当に俺達だけになっちまったな…」

洋さんの声と波音だけが耳に届く

けれど何の不安もない

洋さんさえいてくれるのなら怖いものもなにもない

「これ以上無いくらいジープ島を堪能できるわね」

「いっそのこと全裸でいてもいいくらいか…」

「全裸!?」

「…冗談だ」

言った洋さんが顔を赤らめて横を向く

いくら2人きりとはいえ…恥ずかしい

「とりあえず…夕陽を俺達だけで独り占めするか」

「うん…」

私達はいつしか手を取り合って砂浜を歩き出した

寄せては返す静かな波音

微かに軋む砂

水平線以外なにもない水面に夕日が近づいていく

空全体がオレンジ色に染まっていく

グアムのタモンビーチの夕日も綺麗だったけれど、ジープ島はまた全く違う

なんて言ったらいいんだろう…

純粋極まりない夕日

自然のものしか映っていない夕日

混じりっけゼロの夕日

う~ん…上手く言えない

レポートが下手だわ、私

「なぁ、詩織」

洋さんが私と繋いだ手を恋人つなぎに換えながらそっと呟く

見上げるとオレンジ色に染まった洋さんの優しい瞳が私を見つめていた

「なぁに?」

「今回いろんな事があって…怖い思いをしただろうが、俺の嫁になるということは普通のサラリーマンと結婚するより可能性があるつーことだ」

「うん…わかってる」

「俺を…見送る覚悟はあるか」

見送る覚悟…

それは洋さんが私より先に逝ってしまうという事?

言葉に詰まる私に洋さんは立ち止まって私の肩に手を置く

「一般の人間と比べれば遙かに危険は増す。俺だってお前を泣かせたくないし、一生幸せに暮らしたい。だが、俺に万が一の場合、取り乱して回りが見えなくなるような姿は…」

もし私がそうなったら洋さんはこの世に念を残したままいつまでたっても成仏できないわね

「覚悟…できるようにします。ちょっとずつ…」

今すぐには難しい

洋さんを失う覚悟なんて今すぐじゃなくても辛い

「仕事上連絡が何時間、何日と取れない時も出てくる。不安に潰れそうになるかもしれない」

「…覚悟してます」

私は決心を固めて洋さんの視線を真っ直ぐ受け止めた

「それでも…貴方が帰って来た時には最高の笑顔で迎えたい。帰ってきてよかったと笑ってほしい」

「そうか…」

ほっとしたように洋さんは微笑みを返してくれた

「じゃあ改めて…俺と結婚してくれるか?」

「はい…」

頷く私に洋さんはそっと左手の薬指に指輪をはめた

「え?」

指輪…いつの間に…

それにこれって…

何ヶ月か前に洋さんが天王寺さんに買ったゼクシィを持って帰ってきて…

そこに載っていたダイヤの指輪がとっても素敵で

でも高価で…

とても洋さんにこれがいいって言えなくって、見ているだけだった指輪

「洋さん…これ」

「お前が何度もページを戻して見てたから欲しいんだろうなと思ってな。あっていたか?」

「もちろん!」

この人のどこが恋愛音痴なのだろう!

こんなに、こんなに私を見ていてくれた!

私は洋さんに抱きついた

「私を…お嫁さんにしてくれますか?」

「…当たり前だろ」

そう来るか…と洋さんは小さく呟いた

世界一の夕日の中で世界一綺麗な婚約指輪をはめてもらって私は彼の大きな胸に顔を埋めた


~つづく~


拍手をポチッと押していただけると嬉しいです󾬏
私の明日からの活力になります┏○ペコッ


Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

0 Comments

Post a comment