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2課の彼の恋~木村涼平~8

夕子さんの姿を見た途端、僕は車から飛び出していました

行きかう人達も自分の事が精一杯で誰も彼女に傘を差し出す人はいない

「夕子さん!」

僕は駆け寄ってすぐに顔を覗き込みました

「…木村さん?」

雨に濡れて長い髪が額にくっついて、その先端から雨粒が滴っていました

「傘を会社に忘れてきちゃった」

ペロッと舌を出す仕草が可愛さより抱きしめたくなるほど切なく見えました

普通なら雨が降ってきたらどこか屋根のある所に走り込めるのに

雨に濡れた車椅子のタイヤを漕いだその手は泥だらけでした

「送ります!」

僕はそう言うと夕子さんの承諾も得ないまま彼女を抱き上げました

「き、木村さんっ!」

「風邪を引きます!車に乗ってください」

僕は彼女を半ば強引に助手席に乗せました

「車のシートが濡れちゃう!」

「そんなのは乾きます!」

僕は彼女の乗せると歩道に残っていた車椅子を手早く折りたたんで後部座席に積み込みました

「木村さん…よく車椅子のたたみ方知っていましたね。すごい手慣れてた…」

目を丸くしている夕子さんのその頭に積んでいたタオルをパサッと被せました

「風邪を引きますから拭いてください。あっ…暖房強めにしますね」

僕は夕子さんの言葉を無視するように喋り続けました

車椅子の扱いに慣れているのは…そんな役をやった事があるから…

車椅子生活になってしまった少年の役は僕の代表作の1つだったから

そこから二階堂涼平だと悟られたくない…

僕は夕子さんが頭を拭いている姿を横目に車を発車させました

夕子さんの家はここからまだ3つ向こうの駅

行けるか…と思った時に

「クシュン!」

夕子さんがくしゃみをして体を震わせました

僕の家の方が近い

「すぐに温まった方がいいです」

「え…でも…」

「大丈夫です。僕は天王寺さんお墨付きの羊ですから」

「…狼がかぶってない?」

「せめて警察犬だと思います」

「ふふっ」

夕子さんが小さく笑ってくれました



~つづく~


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Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

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