FC2ブログ

Welcome to my blog

夢恋城へ…ようこそ…

Article page

2課の彼の恋~木村涼平~9

自分の部屋に夕子さんの連れ帰ったはいいけど…どうしたらいいんだろう?

まず浴槽にお湯は入れたけど

「じゃあ、入ってください」

と言ってできるものじゃない

夕子さんは歩けないんだ

僕が一緒に入る訳にもいかないし…

「…すいません。どうしたらいいですか」

我ながら情けないとは思ったけれど

ソファに座らせた夕子さんの前に屈み込んで俺は聞いてみました

「えっと…」

夕子さんも目をしばたたくばかりだ

こんな時野村さんとかだったら何でもスマートにこなせるんだろうけど…さすがに演じきれない

「とりあえず…脱衣所の中まで連れて行ってもらえますか?後は…自分でできますから」

いつも家で一人でやっている事だからと夕子さんは微笑んでくれました

「あ、はい」

僕は真っ赤になりながら、夕子さんのまた抱き上げて脱衣所に連れて行ってそっと床に降ろしました

「本当に大丈夫ですか?その…滑ったりとか」

「あら、じゃあ木村さんがついてきてくれるんですか?」

「い、いえ!それはちょっと!あの、なんだったら瀬名さんでも呼ぼうかと…」

「瀬名さんだってお仕事でしょ?」

そうでした…今頃天王寺さんと取り調べの最中かな

僕がしどろもどろになっているのを見上げながら夕子さんはニコニコと笑っいました

「じゃあ、呼んだら迎えに来てくれますか?」

「あ、はい!着替えはそこに僕のスウェットですけど置いておいたので…」

「ありがとうございます」

夕子さんはペコッと頭を下げました

僕はなぜだかガチガチのギクシャクした動きで脱衣所の扉を閉めました

それから彼女の車椅子を車から下ろして、タイヤを綺麗に拭いて…

いっぱい泥も跳ねている

寒かっただろう…

心細かっただろう…

回りが走って行くのに自分だけ前に進めないもどかしさ

ほんの数年前まで普通に歩いて走っていたのに…

通り魔って何なんだ

なぜ誰でもいいから傷つけたかった、殺したかったなんて言うんだ

『死刑になりたかったなら自分で死ねばいいのに!誰も傷つけず、誰にも迷惑かけずに一人で死ねばいいんだよ!』

通り魔事件が起きる度にコメンテーターとかが口々に言う

けれど僕はそんな気持ちを持って人知れず山奥で命を絶った人を何人も見てきた

全部片付けて

最後の最後まで申し訳ないと、いずれ発見するであろう人にまで気を使って手紙を書いて

そして自ら命を絶ったご遺体を見てきた僕だから、例え通り魔であっても勝手に死ねとは思えなかった

けれど…今は少し思う

なぜ夕子さんがこんな体にならなくてはいけなかった

なぜ人を傷つける…

僕はそんな気持ちを消化しようとひたすら車椅子を磨き続けました

「木村さ~ん!」

夕子さんの明るい声が僕を呼ぶまでずっと…


~つづく~


拍手をポチッと押していただけると嬉しいです󾬏
私の明日からの活力になります┏○ペコッ


Category - 2課の彼の恋(特捜24時)

0 Comments

Post a comment