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Love song at the end of a year~年の終わりのラブソング~キース~1

Category - 番外編
おずおずと一枚の書類が目の前に出される

ぎろっと目だけを上げるとリュークの野郎が肩をビクつかせた

「さ、先ほどサイン頂いた書類に不備が見つかりまして…」

「そんなのは俺に見せる前にチェックするべきだろうがっ!」

「も、申し訳ございません!」

リュークは膝に額が付くほどに頭を下げた

俺は乱暴に机の上に置かれた書類を手にして目を落とす

「ちっ…!」

俺ともあろう者がこのミスに気づかずサインしていたのか

自分にも腹がたつ

12月に入って殆ど休んでいない

公務の割合が日に日に父上から俺へと増ながら移行していく

それは父上から俺への期待の表れだといいように解釈しているが…

今年はクリスマスも徹夜だった

クリスマスに瑠璃と一緒に過ごせなかった

クリスマスプレゼントもクリスマスディナーもクリスマスデートも全て無かった

こんな事は初めてだ…

それでもあいつは俺を責めずにいつも通りに笑っていた

それが余計に辛い

なるべく早く終わらせてあいつの元に帰ろうと思うのに

働き過ぎた脳は誤作動を起こしやがる

この俺がこんなイージーミスをするなど自分で自分が許せねぇ

「リューク!」

「は、はい!」

「さっきまでの書類を全部戻せ!」

「はいっ!?」

「もう一度チェックし直す!俺にミスなんかあったらいけねぇんだよ!」

「は、はい!はいっ!」

リュークは慌てて執務室を飛び出して行った




結局、俺のミスはあの1枚だけだった

それを確認して目頭を押さえる

「…日にちを超えたか」

すっかり夜中だ

クリスマスは遠い昔になっちまった

俺はソファーにへたり込んだリュークの頭をバシッと叩く

何かが潰れたような声を背中に聞きながら、ようやくネクタイを緩めて執務室を出た

部屋に帰ると瑠璃は寝て…

「お帰りなさい」

寝ていなかった

瑠璃はにっこり笑って俺を迎えに来た

「お疲れ様でした」

そう言ってスーツを脱がせてブラシをかけ始める

「寝ていなかったのか?」

呆れたように言う俺に瑠璃は何でもないかのように頷く

「ご飯は食べました?」

「ん…?食ったか?ああ、昼に食ったか」

書類を見ながらサンドイッチにかぶりついたな

それすら遠い過去に思える

「お腹すいてます?」

言われてみれば…

「すいたかな…」

「じゃあ、お風呂入ってる間に作ります。ピザとスープでいい?」

「ああ…」

あっと言う間に背中を押されて浴室に追いやられる

まぁ…瑠璃のこんな行動にも慣れたな

今までの俺なら

「そんなメイドの真似事はするな!」

「お前は次期王妃なんだぞ!」

と怒っていたところだが

あいつの作る一流シェフの料理にはない温かみにいつしか惹きつけられている自分に気付いた

決して高価な食材も使っていないのに、また食いたくなる味に俺はやすらぎを覚えていた

シャワーを浴びて頭から熱湯をかぶると疲れが泡と一緒に流れていくようだ

滑り落ちる泡を目で追うと自分の腹筋が目に入る

トレーニングもしばらくしてねぇなぁ…

衰えたとは思わないがイマイチ気に入らない

いつまでも『男』でいたい

瑠璃の前では特に

年末はトレーニングに集中しよう

そんな事を思いながら部屋に戻るとピザのいい香りがしていた

部屋の中に作った瑠璃専用のキッチンでスープが皿に移されようとしていた

今まで俺がそんなに好きじゃ無かったコーンスープだ

なんか貧相だろ

トリフやキャビアが入るわけじゃねぇし

けど瑠璃が庭で作ったトウモロコシでスープを作ってくれた時、一気に疲れが取れて胃じゃなくってなんだろう…腹の中の奥の方が暖かくなった

あれ以来、疲れるとコーンスープが定番になっていた

だから今夜も瑠璃はコーンスープを用意してくれた

瑠璃はなんかわからない歌を口ずさみながら皿に盛り付ける

それを見ながらソファに行きかけて…

戻ってワインセラーからワインを取り出した

「お前も飲むか?」

「あ、はいっ!」

瑠璃は嬉しそうに頷くと、コーンスープをテーブルに置いて、オーブンを開けてピザを取り出した

「クリスマスの時のチキンが残っちゃって」

残り物かよ!と思ったが、ピザの上に乗ったチキンとこれも瑠璃が作ったトマトやパセリが乗ったピザの匂いに不覚にも腹が鳴った

誤魔化すように俺は2つのグラスにワインを注いだ


~つづく~


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