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夢恋城へ…ようこそ…

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過去から未来へ…~キースとゼン~1

一通り指示を与え終わってふっと一息つく

一日一日確実に近づいて来る特別な日…

それを思って感慨深い想いに駆られる

あれからどれ位の時間が過ぎ去ったのか

あの日…

王子と執事という立場を一瞬忘れて語り合ったあの夜から…

*・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・*:.。.*.。.:*


ミッシェル城は島の殆どを占めている

城下にある数多くの飲食店や日常雑貨店はいわゆる城壁の内側にある

使用するのは殆どミッシェル島の住人だ

つまりはミッシェル城お抱えの者のみが居住を構え、生活をおくれるのだ

ミッシェル城は遠くから観賞するために旅行ツアーは組まれるが、一般人が島に上陸する事はできない

唯一、パーティーの行われる時に取材する記者連中が許可される程度で…

だからこそ治安が保たれているとも言えるのだが

…それにしても大胆過ぎる…





夜も更けて、一仕事終えて部屋に戻ろうかとした時に携帯が鳴った

こんな時間に誰だと訝しげにディスプレイを見て、一瞬息を飲んで即座にボタンを押した

『ゼン。終わったか』

単刀直入に告げる声は紛れもなくキース様の声だった

「はい。如何なさいました?」

キース様は今宵ミッシェル城にお泊まり頂いている

明日は早朝から6ヶ国合同の会議があるため各国の王子様方が前日からいらしているのだ

当然各国担当の執事が付きっ切りでお世話をしているはず

キース様にもちろん専属でリュークが付いているのでわざわざ私を呼ぶ必要はないはずなのだが…

何か不備があっただろうか

『城下にある《BC》にいる。すぐに来い』

それだけを伝えるとツーツーと携帯は無機質な音へと変わった

…BC?

たったそれだけのヒントで俺は外に飛び出した

キース様の性格

キース様の行動

キース様の趣味嗜好

頭の中をフル回転させながら城下へと走る

《BC》に着いたのは電話が切れてから約5分後だった

《BC》…Black Cat

古びた木の看板に黒猫のシルエットが焼き印されただけの

一見何の店かわからないショットバーが小径の一角に佇んでいた

その年代物の重厚な扉を開けた先のカウンターにキース様はおみえになった

「さすがゼンだな。リュークなら30分はかかるところだ」

ニヤリと笑うとキース様はショットグラスを軽く上げた

「普段のキース様でしたらホテルのバーを想像致しましたが…BCと言われてここしかないと思いました」

「何でだよ」

「ご存じありませんでしたか?この店は先代国王クラウス様もよく隠密にお通いになった店ですよ」

「爺様が?そうなのか?」

キース様は驚いたようにカウンターの中の初老のマスターに目を向けると、マスターはグラスを拭く手を止めてにっこりと笑顔を見せた

「私共の先代からそのように聞いております」

「チッ…まるで爺様の真似したみたいじゃねぇか」

むくれるキース様は顎をクイッと動かした

俺に横に座れとの合図だ

普段ならば執事がご奉仕するお客様の横に対等に座ることなど許されない

だがここで断ればご機嫌を損ねるのがキース様だ

気持ちよく余暇をお過ごしなのだから、その雰囲気を壊してはならない

「失礼致します」

腰高の椅子に座ると同時にコースターがスッと置かれる

「…いつもので?」

「ああ…」

マスターと目で言葉を交わすとショットグラスに透明な球体に削られた氷が琥珀色の液体を滑らせていった

「なんだ、お前も常連か」

「たまに…ですよ。城下の情報を頭に入れておくのも仕事の一つです」

「ロベルトがすぐに見つかるのもそのせいか」

「あれはアルベルトの努力です」

「お前の指導だろうが」

「私はもっぱら足での捜索です」

お仕えする主にGPSを取り付ける方法を教えた覚えはない

そう言うとキース様はくくっと可笑しそうに笑われた


~つづく~





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Category - 番外編☆執事編☆

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