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真夏の夜の怪奇~ウィル~5

Category - 番外編
カチャッと扉を開けるとクレアは勢いよく俺の腕から飛び降りた

そして何か警戒するように体を引いて開いた扉に鼻を近づけた

「ノエル…ただいま」

寝てるかな

一応声を掛けて部屋に入る

「お前はここまででいい…下がれ」

ついてこようとするクロードを制して中に入る

ノエルの可愛い寝顔をクロードに見せるつもりはない

クロードも少しは心得たのか頭を下げて去ろうとした

…その時

「ふぅぅっ!」

いきなりクレアが唸って毛を逆立てた

その声にクロードが振り向く…と同時に俺は部屋に駆け込んだ

ただ事じゃない!

「ノエル!」

叫ぶが返事はない

ベッドを見るがそこは綺麗にベッドメーキングされたままで寝ていた形跡もない

どこに行った?

「ノエル!どこだ!」

俺の声に白い影が横を駆け抜けていく

「グルゥゥゥ…」

クレアがベッドに跳び乗り、ベランダ側の部屋の片隅に向かって牙を剝いていった

クレアの視線を追うとそこには黒い塊が…

それが膝を抱えてうずくまるノエルだと認識できるまでに時間がかかった

「ノエル?どうしたの?」

俺の声が届いたのか

黒い固まりはゆっくりと解け始める

「ノエ…」

「ウゥゥゥゥゥ…」

聞こえてきた声はクレア…じゃなかった

黒い固まりから聞こえてくる

低い唸り声はいつもの可愛いノエルの声とは全く違っていた

そして俺に向けられた瞳は暗闇に真っ赤に光っていた

「……っ!」

言葉が出てこなかった

真っ赤な瞳は明らかに悪意を持って俺を睨み付けていた

幼さの残る愛らしいノエルの面影は消え失せ

柔らかなウェーブの金髪も乱れて逆立ち

微笑むとちょっとできるえくぼの可愛い口元は醜く歪んでいた

クロードが咄嗟に動いて部屋の灯りを付けた

パッと真っ白な光が部屋を照らす

けれどノエルの姿は変わらなかった

いや、それどころか

ノエルは更に唸り声をあげて俺に牙を剝いた

「ウゥゥゥゥゥ…」

「シャァ!」

目の前でノエルが

足元ではクレアが唸っている

まるで獣同士の戦いのようだ

「ノエル…ノエル、俺がわかる?」

声を落として聞いてみるが、その真っ赤な瞳から悪意は消え去らない

「ウゥゥゥゥゥ…」

これは明らかにノエルじゃない

俺はようやくその事実を受け止めた

何かの病気なのか

それとも憑依されたか…

「チ…ガホ…」

「何?」

ノエルの姿をした物が何か言葉を発した

「チガホシイ…」

「ちがほしい…?」

血が欲しい…そう言っているのか?

「チヲヨコセ…ワカイオンナノチヲヨコセ…!」

若い女の血をよこせ…

どういう意味だ?

その時クロードが呟いた

「……エリザベート伯爵夫人…っ!」

その言葉に真っ赤な瞳のノエルはニヤリと笑った



~つづく~



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