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夢恋城へ…ようこそ…

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リュークのとある一日~2

「あ、リュークさん!」

瑠璃様は俺を見つけると笑みを浮かべて

そしてお話をされていた者達にちゃんとご挨拶をされた

それを見届けてから頃合いを図ってお側に伺った

「申し訳ありません!車が故障したとかで…」

「ううん、違うんです。故障じゃないの」

「故障じゃない?」

瑠璃様はちょとだけ眉をひそめて首を傾げた

どういう事だろう?

とにかく、まずは車に…

後ろのドアを開けてお乗せしようとして…

「わっ…!」

俺は思わず声を上げていた

そうだ!この前休みの日にこの車に乗って出かけて…

いろんな荷物を後部座席に入れっ放しだった!

慌てて片づけようとアタフタする

これがキース様相手だったら今頃ぼっこぼこにされている!

「リュークさん大丈夫ですよ」

「い、いやいや!申し訳ございません!すぐに片づけますから!」

荷物と瑠璃様を一緒に乗せる訳にはいかない

「あの…私、助手席に乗っちゃダメですか?」

「え?」

「助手席って…彼女しかだめ?」

「そ、そんな事はっ!」

彼女なんていないし!もう何年もいないし!

うわっ…!俺、テンパりすぎ!

「じゃあ、いい?」

「…はい」

俺はそっと助手席のドアを開けた




…落ち着かない

瑠璃様が隣に座ってる…

俺の運転の隣に

うわぁ…





キース様の怒り狂った顔が真っ先に浮かんだけれど

これって不可抗力だし!

瑠璃様からご提案された事だし!

…いいよな

うん

いいとしよう

俺は1人で自分を納得させて車は走らせた

「故障じゃなくって…」

走りだしてすぐに瑠璃様からお声がかかった

「はい」

「猫ちゃんがね、エンジンルームに入り込んじゃったんです」

「猫…ちゃん?」

思わず横を向いて

思いのほか瑠璃様のお顔がすぐそばいにあって、慌てて前を向いた

あ、暑い…

顔が…

「運転手さんがエンジン掛けたらどこかからニャーって聞こえて気づいたんですって」

「それってよくある事なんですけど、気付かずに発車させちゃうと猫が悲惨な事に…」

「でしょう?それに気づいた運転手さんは凄いと思うんです!だから…怒らないであげてくださいね」

「あ、はい…畏まりました」

本当なら猫ですら公用車に近づけさせてはならない

ましてや中に入り込むなんて…

万が一訓練された猫で首輪に爆弾でも付けられていたら…

ドライバーは怒られるどころの騒ぎじゃない

瑠璃様にケガをさせようものなら処刑されるぞ

けれど瑠璃様は猫に気づいて傷つけなかったドライバーを怒らないでとおっしゃる

瑠璃様のお心遣いを無駄にできない

この優しさが瑠璃様なのだから…

俺は大丈夫ですよと精一杯の微笑みを返した




「あ、この歌知ってます!懐かしい!」

俺の私物のCDが流れっぱなしになっていることに今気づいた

「すいません!消しますね!」

いつもリムジンの中はゆったりとクラシックが流れている

瑠璃様がお好きだからとピアノ曲の場合もある

なのに今日は普通にポップだ

しかも最新のCDを買いに行っている暇もなかったから結構前の曲だ

やっべー!

CDプレーヤーのプレイ画面に伸ばした俺の手を瑠璃様は慌てて止めた

手が触れた…

「消さないで!すごく懐かしいです!大学に行ってた頃に聞いてました」

瑠璃様は本当に懐かしそうに口ずさんでいる

初めて聞く瑠璃様の歌声だ

あ…

可愛い…

曲は消さないけれども音量を絞りたかった

もっと瑠璃様の歌声だけを聞いていたい

瑠璃様の歌声を俺だけが独占している

なんて贅沢なんだ

「この歌手がお好きなんですか?」

間奏の間に俺が訊くと瑠璃様は小さく頷いた

「前にお友達とコンサートに行こうって約束していたのに行けなくなっちゃって…ちょっと残念な記憶があるんです」

「それは残念でしたね。用事が入られたんですか?」

俺の声に瑠璃様は小さく首を振った

「…事故に遭っちゃったから…」

ああ…

瑠璃様の乗っていた大学までのバスに車が突っ込んできて

瑠璃様は大ケガをされて生死の境を彷徨われる事になった

意識が戻るまでキース様がずっとずっと付き添われて…

その後も車椅子の生活でしたね

なんか…遠い昔に思えてくる

それ程までに瑠璃様回復されたのだ

普通に歩き

ご公務を1人でこなせるまでになった

「今度コンサートがあったらチケットお取りしますよ」

「本当?結構取りにくいんですよ」

「大丈夫です。私を誰だとお思いですか?」

「…リュークさん、でしょ?」

「キース様専用執事です。だから不可能はないんですよ」

俺はちょっと胸を張った

キース様の名前を使えばコンサートチケットどころか、指名の歌手の1人や2人、城に呼んで個人ライブをやらせるくらいどうって事ない

「もう…ダメですよ。そういう事にキースの名前を使ったら」

瑠璃様はちょっと上目遣いに俺を睨む

ドキッとしてしまう

「ちゃんと正式に申し込んで、それでチケットが取れたらその日はお休みくださいね」

「あ、はい!」

俺は何度も大きく大きく頷いた


~つづく~



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Category - 番外編☆執事編☆

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