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夢恋城へ…ようこそ…

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リュークのとある一日~3

行きの道のりは焦って走らせていたせいか凄く長かった

けれど帰りは瑠璃様と一緒だからかやたらと早く感じる

なんか…残念だなぁ

なんて思ってしまう

絶対キース様には口が避けて頭の後ろで繋がっても言えない

遠くにリバティ城のシルエットが見え隠れするのが悔しい

「あ、リュークさん!」

「はい?」

不意に瑠璃様に呼ばれて間抜けな声が出てしまった

「次の角を左に曲がってもらってもいいですか?」

「次ですか?」

お城に帰る道から外れるけど…

俺は言われた通りにハンドルを切った

「えっと…次のお花屋さんの角を曲がって…」

「はい」

どんどん道が狭くなっていく

「あ!そこ!」

「止めますよ」

「はい!ありがとうございます」

瑠璃様はにっこり笑って頭を下げた

瑠璃様は次期王妃様なのだからもっと横柄でいいのになぁ

でも横柄な瑠璃様なんて想像つかないし

そんな事を思いながら助手席側に回ってドアを開ける

「ずっと来たかったんですけどリムジンじゃここまで入って来れないんです」

…でしょうね

リムジンは必要以上に胴長だからな

俺の車でよかった

瑠璃様が向かったのは小さなアイスクリーム屋だった

「こんにちは」

「いらっしゃっ…って、瑠璃ちゃん?!い、いや瑠璃様!」

パステルカラーのエプロンを付けた中年の店長らしき男が目を丸くして口をあんぐり開けた

「店長さん!お久しぶりです!」

「いやぁ~!瑠璃ちゃん!」

気安く呼ぶなっつーの

仮にも自国の次期王妃様だぞ!

ここは瑠璃様が大学時代にアルバイトをされていたアイスクリーム屋らしい

店長は抱きつかんばかりに手を握ろうとするのを俺は体を張って止めた

2人は懐かしい懐かしいと言いながら話に花が咲いている

なんか瑠璃様、大学生に戻ったみたいだな

まだまだ現役の大学生として勉強して遊んで、就活して悩んで
身分相応の恋をして
女友達と恋バナなんかカフェでして
同級生の男達にコンパに誘われて
きっとモテモテで
何人もの男達がふられて



…普通の大学生だったんだよな

俺が初めて瑠璃様に逢った時は…

あれからいろんな事が津波のように押し寄せてきて

誰一人想像できなかった未来に人生のベクトルを向けられた

今や次期王妃様として公務に勤しむ毎日だ

「お店のHP見たら新しいアイスクリームが発売されたってあったのでどうしても食べたくって…執事さんにお願いして来ちゃいました」

「そうなの!いやぁ~載せて良かったぁ!食べていって!」

すっかり敬語の消え失せた店長をちょっと睨んでみるものの全く気付かれない

俺は空気か

「じゃあ2つください」

「畏まりました~!あ、もちろんお代はいいからね」

「ダメですよ!お支払します!」

「いーのいーの!その代わり、《瑠璃様も召し上がったアイスクリーム》って宣伝していい?」

「そんなの全然大丈夫です!」

大丈夫じゃないです!王家の肖像権ってものがあるんですから!

俺は丁寧に説明してきちんと代金を支払った

「もう…お堅いんだから」

ちょっとむくれる瑠璃様も可愛いけれど

これも王家のルールですから

執事たるものビシッと言わなくっちゃ!

「はい、これはリュークさんの分です」

「へ?」

瑠璃様は新商品とかいうアイスクリームを俺に差し出した

「一緒に食べましょ」

「…はい」

うわぁ…

うわぁ…

まじかぁ~…

今時の言葉で言うとキュン死しそうだ!

(俺だって若者言葉は知ってるんだ!)

俺はこの数年で最高の薔薇色の日を過ごした






瑠璃様はこの日の出来事を瑠璃様付きのメイドのリンに話したらしく

リンから爺ちゃんに伝わり

爺ちゃんからキース様に伝わり…




俺はここ数年で最悪の地獄の最奥地の日を迎える羽目になったのだった…


でも…


あれから50年経って

目の前でキース様のお孫様であるケヴィン様が婚約中のお嬢様と美味しそうにアイスクリームを食べている姿を見ると

今でも甘酸っぱい気持ちで胸がいっぱいになる

遠い遠い昔の淡い気持ちは何年経っても色褪せない

…瑠璃様は可愛かった…


それは今でも口が裂けて体が二つに裂けようともキース様に言えない

…変わらない、いや変われないものだな…



🍀END🍀



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Category - 番外編☆執事編☆

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