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夢恋城へ…ようこそ…

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私の彼は…~桐沢洋~3

放送後の反省会がちょっと長引いてしまった

お天気コーナーで音声のトラブルがあったのと

突然入ってきたニュースの原稿が間に合わずにバタバタしたこと

それは生放送なのだからよくあるトラブル

それをいかにスマートにこなすかがキャスターの腕の見せどころでもあるの

本当に心臓に悪い…

「とりあえず桜庭はよく冷静に対処した」

報道部の部長に言われてそっとふぅ…と息を吐く

「ただ…」

続く言葉にまたドキドキしてしまう

「次のコーナーに繋いだ時に、そっちのコーナーに動揺が移りすぎだ!緊急速報に関係ない時事ネタがアタフタしてどうする!桜庭はそこまで気を配ばれ!何年アナウンサーやっている!出来ないなら辞めちまえ!」

いきなり雷が落ちて

時事ネタコーナーの美乃里ちゃんがビクッと肩を跳ねさせて、見る見る間に泣き出してしまった

部長に泣かされる女子アナは多い

声が大きいし、言葉はきついし

けれど…私は泣いたことが無い

だから影で可愛げがないって言われるのよね…

辞めちまえなんて…何回聞いても嫌な言葉

まだまだテレビ業界にはパワハラの文字は薄い

嫌なら辞めろ…毎日どこかで誰かが言われてるセリフだわ

そんな事情で反省会が長引いていつもより遅く会社を出ることになった

洋さんはもう帰ってるかな

まだだったら夕飯食べるかしら?何にしよう…

私は仕事モードをOFFにした

とりあえずLINEを送ってみたら、意外にもすぐに返信がきた

『飯ならできてるから気にせず帰ってこい』

…私って凄く恵まれてるのかしら…

さっきまでの何か塊を飲み込んでしまったような重苦しい気持ちがスッと流れていく

私はすぐにタクシーを拾った

マンションに着いて

扉を開けるとすぐにいい匂いがしてきた

「おう、お帰り」

「ただいま…」

にこやかに迎えてくれる洋さんを見たらなんだか急に力が抜けた

「今日は牛スジのカレー…ん?どうした?」

「……」

わからない

突然涙がぽろぽろとこぼれ落ちた

OFFにしたはずの仕事の情景が急に蘇る

綿密に打ち合わせした秒刻みのオンエアのスケジュールが一瞬で消える瞬間

慌ただしく書き換えられる原稿

刻々と変わる情報

言っては訂正、私は謝罪して頭を下げる

ガラス張りの向こうで走り回るスタッフの慌ただしさに呑まれないように努めて冷静に伝える

感情を押し殺して淡々とただ正確に情報を伝えつつ…人命を尊重した言いまわしと表情を必死に貼り付ける

放送時間内にこれ以上の進展はないと判断したスタッフは番組後半に放送予定していたデパートでの物産展情報を入れ込むことにした

もう今日の放送は消えたと思っていた美乃里ちゃんはパニックになった

私も予想外のカンペに配慮しきれず美乃里ちゃんに振ってしまった

慌てて咬みまくる彼女の泣きそうな顔が蘇る

もっと間を取ってあげればよかった

もっと優しく呼びかけてあげればよかった

コーナーが終わった後にもっとフォローしてあげなきゃいけなかった

なにもできないまま放送は終わってしまった

自分自身の疲労で頭が回らないまま反省会に突入して…部長に怒られる美乃里ちゃんを見て初めて自分の不甲斐なさに気づく

部長の言うとおり私がもっと気を配らないといけなかった

先輩として、キャリアを積んだキャリアとしてやるべき事はあったはずだ

自覚と反省と同時に辞めろと言う部長の声…

私の頭の中でいろんな事が溢れ出した

それが涙となって洪水を起こしたのか

止まらなかった…

「我慢するな…開放しろ。全部受け止めてやる」

洋さんの大きな腕が私を包み込んで

優しく背中をポンポンと叩いてくれた


~つづく~



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Category - 特捜×ショコラティエ コラボ

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