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第8章-63話

Category - 第8章
さすがに生まれてからずっとお妃教育を受けてきている上流貴族のエミリーである

アンドリューとのダンスもそつなくこなしている

難しいステップにも無理なくついて行っていた

「お上手ですね」

「い、いえ…普通…です」

未だに恥ずかしくて俯きながらエミリーは答えた

それをまたクスッと笑ってアンドリューは腰に回した手を手前に引いた

「…っ!」

アンドリューとの間が密着しすぎて体中が熱くなる

「この後まだお話ししても…?」

「あ、はい…」

意味深な言葉に戸惑いながらエミリーは頷いた

断れない…けれどこの言葉の先の意味がわからない年頃でもない

どうしよう…

急に恐怖心が襲ってくるが

これもチャンスだと思う別のエミリーもいる

相反する本心と思惑に思わず震えてしまう

結論が出ない前に音楽が終わってしまった

「…では、あちらでゆっくり…」

アンドリューがエミリーの手を取って扉の方に歩きだそうとした時…

「失礼…次は私と踊って頂けますか?」

エミリーの手を奪い返した別の手があった




キースだった

まだ16才だが、目力は年々強くなっていく

成長過程のキースは若干見上げ気味にアンドリューを見据えていた

「おや、キース王子はご自分の彼女を放置して他の女性をエスコートしに来られるのか?」

「彼女はその姉君なので私の手中にあるのですよ どちらも…ね」

ニヤリと笑うキースにアンドリューは心の中で舌打ちをする

「リバティの次期国王様は一夫多妻制を復活させるお考えがあるようですね」

「まさかフィリップじゃあるまいし。そんな面倒くさい制度いらないですね。我が国では」

キースはふんっと鼻で笑う

エミリーは2人の間でハラハラ気もそぞろとなる

自分の取り合いのように見えるがそうじゃない

王子同士で牽制しあっているのだ

それにエミリーは妙に興奮した

女を巡る争いではなく男同士の争いがとても高尚なものに思えるのだ

「とりあえず年齢の近い者同士にお譲りください。アンドリュー王子には色気たっぷりの熟女の方がお似合いでしょう」

キースは勝ち気な瞳を逸らす事なくアンドリューに向かう

アンドリューもそれを受けてゆっくりと微笑んだ

なぜならほんの口先まで

『それはティナの事か?』

と出てしまいそうになったから

お前を男にしたのは俺の妹なんだよ…

アンドリューは笑いだしそうになりながらあたかもエミリーを譲ったかのような振る舞いでキースに背を向けた

その口元は笑いを堪えきれずに口角が上がっている

「…どういうつもりだ…」

それを見ていたウィルが呟く

「相変わらず不気味だなぁ叔父上は…」

そう言うスティーヴはあまり深く考えていないようだ

「キースと叔父上が喧嘩したらどっちが強いんだろうな。ウィルはどう思う?」

「今ならまだ叔父上だろうけどな…時間の問題な気がする」

ウィルはとてもスティーヴのように気楽な事を言える気分ではない

「国同士の小競り合いや競争なんて嫌だね」

スティーヴはそう言って肩をすくめる

後から思えばもうこの頃からスティーヴは王位を捨てて医者になろうと思っていたのかもしれない

アンドリューが歩いていく先々でまた女性の輪ができる

それを横目で見ながらキースはエミリーの手を引いていく

「あの…助けて頂いてありがとうございました」

「アンドリューは希代の女ったらしだ。気をつけろよ」

キースがふっと微笑むとエミリーの顔はまた真っ赤になった

キースに取られている手も燃えるように熱い

「ちょっと!お姉様なにしてるのよ!」

キンッとした声がしてキースとエミリーの間にリリィが割り込んできた

「キースは私のものだって言ってるでしょ!私と踊るの!邪魔しないでよ!」

「お前とはさっき踊ったろうが」

キースがムッとしたように言い返すが

「私はキースの彼女なのよ!何回踊ったっていいでしょ!」

キースにまで突っかかる

「あらぁ~なに言ってるの?今日のパートナーは私よ!指名されたパートナーが最優先なのご存じないのかしら?上流貴族だなんて名前だけかしらぁ~?」

キースの腕を引いてリリィの前に仁王立ちになった真っ赤なドレスの女性

ローラ・ニコルソンだった

既に女優として映画に出始めていたローラは貴族の中でも別格だった

さすがのリリィも一瞬たじろいだ

が…

ニコルソン家よりマグレイン家の方が格上なのだ

言い負ける訳にはいかない

「パートナーと彼女は違うでしょ!パートナーは日替わりでも彼女は継続なの!一般常識をご存じないの?」

リリィも黙っていない

「そんなのキースの一瞬の気の迷いよ!なぁにが継続よ!」

2人の女がキースを挟んで睨むあう

「あーめんどくせ!勝手にやってろ!俺は俺の踊りたい女と踊る!指図するな!」

キースは怒鳴るとエミリーの手を引いてホールの真ん中に歩いていく

「え…!キース様!?」

「ちょっとキース!なんでお姉様なのよ!」

「パートナーは私よ!」




キース16才の日常の風景だった


~つづく~





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1 Comments

オババ  

アンドリューの心の声を今のキースが聞いたら………((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

でも、これで確定だよね!?ティナがキースのダンス講師となったのも、キースを誘惑したのもアンドリューが裏で動いてたんだよね!!

このころはスティーブはまだ王位継承放棄してないんだ……王位継承第三位からどうやって自分が登るつもりだったんだろ?この後キースのいないところでエミリーに接触してくるんだよね?悪魔が😈

2020/05/30 (Sat) 15:04 | REPLY |   

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